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ヒューマンライツ
人権をめぐる旅へ
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2015年12月
- 書店発売日
- 2015年12月10日
- 登録日
- 2015年11月12日
- 最終更新日
- 2015年12月7日
紹介
精神科医・香山リカさんが、「人権をめぐる旅」に出た。
アイヌ否定問題、レイシズム、ファシズム、水俣病、そして世界の人権状況などに取り組む7人との対談集。
「戦争法案」がまかり通る、いまこそ「ヒューマンライツ=人権」を語ろう!
目次
人権をめぐる旅へ(香山リカ)
アイヌ民族否定問題 withマーク・ウィンチェスター
世界の人権状況 with土井香苗
部落解放からの反差別 with小林健治
水俣病患者支援 with永野三智
ジェノサイドの残響 with加藤直樹
マイノリティと反ヘイト with青木陽子
いじめとレイシズム with渡辺雅之
「人権をめぐる旅」のブック&サイトガイド
前書きなど
人権をめぐる旅へ
2015年8月26日、東京・霞ヶ関の弁護士会館で「安全保障関連法案に反対する学者の会」と「日弁連(日本弁護士連合会)」の共同記者会見が行われた。
その会場の片すみに座っていた私にとって、最も印象的だったのは産経新聞記者と村越進・日弁連会長との次のようなやり取りだった。記憶の糸をたぐりながら思い出してみよう。
記者「賛否両論の分かれる政治問題について特定の政治意見を述べることに、強制加入団体である日弁連がかかわわるのはどうなんですか?」
村越会長「政治的活動として行っているのではない。人権擁護を使命とする法律家として行っている」
私は村越会長のこの発言をその後、安全保障関連法に反対する国会前のスピーチや原稿で何度も引用した。日本国憲法はとりもなおさず、「国民の人権を守るために国家権力を縛る」ために存在している。だとするといま日本で起きている立憲主義の破壊は、とりもなおさず、国民の人権を侵害する暴挙でもあるということになる。「そうか、戦争も結局は人権問題ということになるのだ」と、私は膝を打った。
この夏、国会前など全国でデモや抗議行動がさかんになる前から、私は「人権」という問題を考えたくてそれぞれの現場の最前線でそれに取り組んでいる人たちと対話を重ねていた。そのうち、安全保障関連法いわゆる戦争法の問題に人々やマスコミの注目が集まり、夏のはじめには正直に告白すると「いま『人権』なんて言ってもあまり関心を持ってもらえないかな」と思った。
しかし、村越会長と新聞記者の先の問答を聞き、自分なりにいろいろ考えるうちに、「民主主義、立憲主義を考えるためにも『人権』の問題を見つめ、学び直さなければ」と強く思うにようになっていったのである。
上記内容は本書刊行時のものです。