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投票せよ、されど政治活動はするな⁉ 石埼学,猪野亨,久保友仁,菅間正道,野見山杏里,宮武嶺(著) - 社会批評社
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投票せよ、されど政治活動はするな⁉ 18歳選挙権と高校生の政治活動

発行:社会批評社
四六判
198ページ
並製
価格 1,600円+税
ISBN
978-4-907127-20-6
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2016年10月
書店発売日
登録日
2016年9月28日
最終更新日
2019年1月7日
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紹介

18歳選挙権で高校生の「校内政治活動は全面禁止・校外は届け出制」という、文科省の指導! この政府と一部教育委員会の思想・表現の自由への妨害を、憲法学者・弁護士・若者らが徹底批判!

目次

まえがき 6 
第1章 18歳からの選挙と私 11  野見山 杏里(制服向上委員会)
     何故禁止されなければいけないの? 12
     原発、そして安保法制について 13
     平和憲法を守らない安保法 14
     18歳選挙権に懸念すること 15
     自粛招く政治活動への規制 18
     普通の女の子として声を上げる 19
     学校の授業、先生方、そして友人たちと 20
     子どものくせにと否定しないで 22
     私の父と母 24
     デモ・集会も変わらなくては 25
     意見を持って伝えられるのはいいことだ 26
     一人として自分にできるところから行動を 28

第2章 高校生の政治活動禁止をめぐる現状 31  久保 友仁(社会活動家)
     1、変わらなかった文科省 32
     2、政治的中立の名の下に主権者教育は崩壊する 41
     3、高校生の校外政治活動の「届け出制」 45
     4、「届け出制」をめぐる地方での攻防 51
     5、愛媛県教委の暴挙、「届け出制」導入を指示! 58
     6、国会も「届け出制」を問題視 69
     7、「副教材」は日本の未来を拓くのか 76
     8、高校生の政治活動をめぐる2016年度の近況 83

第3章 私は、高校生の政治活動禁止をこう考える 95   宮武 嶺(弁護士)
     言いたいことを言え、やりたいことをやれる世の中を目指して
     1、選挙権とは何か 96
     2、政治活動の自由とは何か 97
     3、高校生の政治活動を学校に届け出る制度の問題点 100
     4、高校生の校内での政治活動に対する制限について  107
     5、まとめ  108

第4章 高校生の政治活動の自由を守るために 111  猪野 亨(弁護士)
     1、高校生の政治活動は自由が大原則  112
     2、政治活動の自由自体を制限する正当な理由はない  113
     3、政治活動の自由と選挙活動の自由は別もの  116
     4、届出制や禁止は憲法違反であること  118
     5、高校生の政治活動の自由を守るために  122

第5章 「自前の社会づくり」としての政治と政治教育 123  菅間 正道(社会科教員)
      生き方としての民主主義と主権者/主体者教育
     1、政治とは何か、政治教育/主権者教育とは何か 124
     2、政治/政治教育をめぐる3つの困難「他者と出会えない」状況 126
     3、教室の中と外をつないで――参加の「三層構造」 132
     おわりに 137 
 
第6章 表現の自由の意義と規制の諸類型 139 石埼 学(憲法学者)
     はじめに 140
     1、表現の自由の意義 144
     2、表現の自由に対する規制 145
      (1)身分 145
      (2)場所 149
     (3)内容 154
      (4)その他 157  
      まとめ 161

あとがき 163   

資  料 168
●高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について(通知) 168
●「高等学校等における政治的教養の教育と高等学校等の生徒による政治的活動等について(通知)」に関するQ&A 178

前書きなど

まえがき


 2016年夏の参院選は、憲法改悪を狙う安倍政権と、それを阻もうとする市民共同の大激突となった。全国で32ある1人区では、全てで「野党共闘」という前例を見ない取り組みが実現した。そして、言うまでもなく、この参議院選挙は、18歳選挙権の実現を受けて、日本の憲政史上初めて、18歳・19歳に選挙権が与えられた選挙であり、その意味においても歴史的な選挙だったのである。

 参院選は、自民党が単独過半数を獲得、与党公明党や、改憲を掲げる野党を合わせた議席数は、非改選議席と合わせて、衆参両院で3分の2を獲得するに至った。いよいよもって、日本国憲法の掲げる平和主義・基本的人権の尊重・主権在民が守られるのか、それとも壊されるのかが問われ、また試される情勢となっている。改憲がいよいよ現実の政治課題として登場することとなっているのだ。

 しかし、そのような国政選挙であったにも関わらず、投票率は依然として高くはならなかった。全体では54・7%、注目された18歳・19歳の投票率は45・45%と報じられている。「投票しない」という投票行動も含めれば、この選挙結果をもってしても、自公与党が支持されたという結果にはならないであろう。まして、福島や沖縄などの1人区では現職閣僚が、野党共闘候補に敗北。全体でも32の1人区は与党の21勝11敗と、与党の数こそ上回ったものの、野党は共闘効果を見せつけた。

 私たちは、このような情勢の下で、次の日本を、世界を展望していくことになる。諸外国においても、アメリカ大統領選挙における排外主義の台頭や、イギリスのEU離脱など、激動の時代を迎えている。これからの社会をどのように築くか、それが「自分ごと」になりつつある。

 18歳選挙権導入を決めた2015年第189通常国会以降、「18歳」と冠した公職選挙法の解説や政治についての書籍が多く見受けられるようになった。新聞各紙も同様に、18歳をテーマにした特集や記事を多く組んだ。一方、高校生による学外での政治活動「届け出制」や、自民党による教育公務員特例法改悪論議など、高校生による政治活動や実践的な政治教育を敵視する議論も噴出し、大激論となっている。
 筆者は既に、2015年10月、それまで有効とされていた、高校生の校内外での政治活動を禁じた1969年「69通達」について多面的に展開した『問う! 高校生の政治活動禁止』を刊行。文部科学省による、「新通知」発出に先立つ公選法改正審議などでの同省の姿勢を批判してきた。

 にも関わらず、改めて書籍を発行しようと考えたのは、前著出版後の文科省・教育委員会の動向があまりにも無茶苦茶だったことにある。18歳選挙権が実現し、いわゆる主権者教育、政治的教養の教育の必要性が高まるにも関わらず、実際の動きは、「69通達」を46年ぶりに、しかも強化する形で復権させる方向に進んだ。 促進すべき高校生の政治参加は、 禁止・規制の対象となり、「届け出」が求められるようになったのである。そこには、「思想信条の自由」も「集会・結社・表現の自由」もなかった。

 率直に申し上げれば、頻出した暴論に、「自分が間違っているのか」と自問したこともある。しかし、日本国憲法、子どもの権利条約、教育基本法といった法の規定を想起するまでもなく、そもそも「子ども」とは、「高校生」とはどういう存在であるのかを考えたとき、答えは自ずと明らかになる。高校生は、近い将来有権者となるべく成長し発達する主体なのだ。本書の中で、菅間正道氏は現在の状況を「投票はせよ、されど政治活動はするな」と表現する。総務省や文科省は完全にこのスタンスに立っている。もし投票用紙に候補者名等を記入して投票箱に入れるだけの行為を促しているのなら、何も18歳選挙権などと大喜びすることもない。小学校入学前の子どもたちにだってできるはずだ。

 問われているのは、高校生にいかに現実の政治を理解させ、自らの意思決定をさせていくかにある。それは選挙での投票行動に留まらない。署名、デモ、集会などを通じて「政治参加」の道を大胆に広げていくことこそ肝要だ。なぜなら、それら経験と知識の集積を通じてこそ、自らが主権者として、有権者として、政治に関わる姿勢が培われていくからだ。子どもの権利条約が認めている権利の本質は「成長し、発達する権利」であるということをもう一度強調しておきたい。
 国連子どもの権利委員会は、「子どもと青少年の市民的権利および自由は、健康・発達に対する青少年の権利を保障するうえで基本的な重要性を有するものである」と述べている。これは、前述の「69通達」や、本文で触れる「新通知」のような規制ではなく、子どもの政治的表現の自由、集会・結社の自由の行使こそが教育基本法第14条1項のいう「良識ある公民として必要な政治的教養」を身につけることにつながるということだ。つまり、子どもの権利条約における市民的自由とは、子どもであるがゆえに要請される学習権・成長発達権であると言えるのである。

 本書では、18歳・19歳の「新・有権者」としてアイドルグループ「制服向上委員会」の野見山杏里さんに寄稿頂いたのを皮切りに、弁護士、学校教員、憲法学者の方から議論を深めて頂き、昨今の文科省などの動向について拙稿でまとめている。高校生の政治活動に対する敵視とも言える禁止・制限・規制が、18歳選挙権が認められた今、本当にあるべき姿なのか。

 昨夏、戦争法とも称される安保法制反対の闘いの中で、高校生・大学生や若い労働者は、採決を強行した国会に向かって「民主主義って何だ!」の声を叩きつけた。筆者は、その答えを永田町からも霞ヶ関からも見出せずにいる。有権者として、公民として育たねばならない高校生が自ら声を上げようとすることを禁圧しておきながら、何が民主主義なんだろう。どこが主権在民なのだろう。筆者は、前掲著書あとがきの中で、政治に関する学校教育の現状を「両手両足を縛りつけておきながら行われる暗記教育」だと批判した。今、多くの学校現場で始められようとする主権者教育もまた、身体を縛り、耳も口もふさいだ上での「暗記教育」になるのではないかと懸念してしまう。

 高校生だって学んでいいんだ。興味を持っていいんだ。その中で、自らの考えを持ち、それを他者に伝えていく権利が高校生にはある。本書が、高校生が声を上げ、市民・公民として育ち、有権者となっていく、そのような社会へつながる一つのきっかけとなれば幸いである。

注1:1969年10月31日、文部省初等中等教育局長通知「高等学校における政治的教養と政治的活動について」
注2:国連子どもの権利委員会「一般的意見第4号(2003年)思春期の健康・発達」
                            2016年10月1日
                                                                        久保友仁

版元から一言

久保友仁の前著『問う! 高校生の政治活動禁止』は、旧文部省の「69通達」の全面批判を通して高校生の政治活動の自由を論じたが、18歳選挙権の実現を通した文科省の新しい指導は、この「69通達」を再び再現するものだった。つまり、高校生の政治活動について「校内禁止・校外届け出制」という、表現の自由=政治活動の自由を封じ込めるものだ。
この徹底批判が、憲法学者・弁護士などでなされる。

著者プロフィール

石埼学,猪野亨,久保友仁,菅間正道,野見山杏里,宮武嶺  (イシザキマナブ,イノトオル,クボトモヒコ,スガママサミチ,ノミヤマアンリ,ミヤタケレイ)  (

久保友仁+小川杏奈・清水花梨(制服向上委員会)著『問う! 高校生の政治活動禁止―18歳選挙権が認められた今』で問うた、旧文部省「69通達」の問題と、文科省の高校内の政治活動の禁止・高校外の届け出制の問題を今、徹底批判する。

上記内容は本書刊行時のものです。