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徳兵衛はん
- 出版社在庫情報
- 不明
- 初版年月日
- 2025年10月10日
- 書店発売日
- 2025年10月8日
- 登録日
- 2025年9月15日
- 最終更新日
- 2025年9月25日
紹介
第1句集『鶴の鬱』(2007)、第2句集『拔辨天』(2014)に続く、現世冥界あまた知友と手に手を携えた道行第3句集。
【自選15句】
病む蝶に二階一閒を明け渡す
唐さんに
僕ですお化け煙突です薄暑です
白玉⻝(たう)ぶ若冲はんやおまへんか
北の富士勝昭樣
打出しや兩國橋は夏の橋
あふみそのみづのそこひのところてん
大振りの虹から燒(く)べて朝湯とす
鼓直さん
かの桃を⻝らひそのゝち不死となる
パンデミックの花野に天使腥(なまぐさ)し
平松麻に
燐寸箱より陽炎の手の伸びて
來歷を問はゞ播州みなし栗
すべからく
本滅ぶニッポン滅びつゝ紅葉(もみ)づ
盆の⺼なんや德兵衞はんかいな
落鮎を挵(せゝ)る女のさみしかり
帝都デマ七輪⺼下燒死體
內緖だよ。籘原定家卿のアドレス
三夕をスマホに點す秋の暮
目次
Ⅰ
春
夏
秋
冬・新年
Ⅱ
雪岱盡くし――星川清司「小村雪岱」に拠りて
ジヤンジヤン橫町に田中屋があつた日
「庭」に捧ぐ
また會はむ――悼松井純
隣人
家遠しーー平松麻に
ゴン――鬼海弘雄に
アカペラの 永田和宏歌集『置行堀』に寄せる極私的京都ラプソディ
オシリス―菊地信義さんを偲ぶ
播州――長姉君子に
備中行
ロボットと月
本滅ぶ
イカロスの杖 中井英夫生誕百周年
ぞろ/゛\と
くらかけ 天沢退二郞さんに
フクシマさん
圖體 Zũtai
ノックせよーー唐さんに
跋=高橋睦郎
栞=嵐山光三郎 仁平勝 佐藤文香 宇野亞喜良 時里二郎 村上鞆彦 星野高士 永田和宏 神野紗希 高野ムツオ 福島泰樹
前書きなど
きのふな、德兵衞に會うたんや。新地のスナックや。ほんまよう飮んでたで。べろ〳〵やつたわ。カラオケも絶好調、かなんやつちやでほんま。先週お初つちやんが入れていつたボトルもカラやがな。もうそれぐらゐにしときィ言うたつたんや。お開きやで德兵衞、ちやんと新しいボトル入れときや。なんや立てへんのんかいな、ほれ、鐘が鳴つてるで、今生の鐘やで。一緖に歸ろ。送つて行つたるわ。なんやて、ローソンでハーゲンダッツ買ふ? わかつた〳〵、買うたる〳〵。せやけど道行だけは堪忍やで。
十年ぶりの第三句集、德兵衞はんのおかげで樂しく……(「あとがき」より)
版元から一言
栞に寄せていただいた文章から、永田和宏さんによる一節を引きます。
「句集全体として、何よりくっきり感じられるのが、人に対する間村の興味である。彼はほんとうに人が好きなのだと思う」
装訂家として俳人としての長年のキャリアを超越した、著者のかけがえのない魅力を言い当てていると感じます。本句集は親交ある多くの人々へ、その名を呼びながら春夏秋冬と進みます。
永田さんは、「おもしろがって人と付きあえることはとても大切」とした上で、「そういう人間を友人として持ちたいものだ」と結びます。
パソコンもスマホもメールも使わずに今、多くのクリエイター達と気心を通じながら表現の世界に暮らす著者の最新句集を、お初・徳平衛「曾根崎心中」に因み、「道行句集」と称して世に送り出します。
上記内容は本書刊行時のものです。
