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新函館写真紀行
- 初版年月日
- 2012年9月
- 書店発売日
- 2012年9月3日
- 登録日
- 2015年12月15日
- 最終更新日
- 2015年12月15日
紹介
2008年秋から函館に毎月通い、気がつけば函館市民になっていた。足かけ5年で撮りだめた写真と文章で綴る、函館に魅せられた男の長期熟成函館案内。
目次
明治は遠くなりにけり、函館は近くなりにけり
過去からのもう1つの置き土産
遠い町の素顔
サンタが函館にやってきた
コンビニの非日常
梅は咲いたか
意表を突き続ける風景
音の観光
函館聖ヨハネ教会贔屓
ないものがある町
相馬の坂
フォトグラファーズヘイブン 函館市旧イギリス領事館
鉄路の不夜城
閉店の風景
幕間の通り
函館港唄が教えてくれた
建物が生を受けた後の痕跡
禁じ手の落書き
勝手にバル街
寒さに耐えたご褒美に
青柳町こそ悲しけれ
間の町(あいのまち)
ある衝撃
碑とオブジェとモニュメント
函館の和洋折衷
膝に走った激痛に、函館が西から発展した理由を思う
函館の縮図が見える元町配水場
前書きなど
2008年の秋、4年ぶりに函館に来ました。それ以来、毎月、函館通いをするようになり、1年後に住民票を京都から函館に移しました。
いわゆる移住者の1人ですが、住民票を移してからも同じペースで京都と函館を往復していたため、いつ移住したのかと聞かれても何とも言えず、いつも適当に答えていました。しかし2011年の秋に、こちらで新函館ライブラリという出版社をスタートさせ、以来、函館でべったりと暮らすようになりました。
こちらでは、「どうして京都からわざわざ函館に」と聞かれることがよくあります。それはたぶん、千年の都と言われる京都は、さぞかし魅力的な町に映るからかもしれません。
しかし、暮らしてみれば古社寺や古い町並みも、空気のような存在になります。それと同様、函館のみなさんも、私のようなよそ者が感じるほども、わが町の魅力を意識していないように思います。
ただ、あくまでも私見ですが、京都を旅する人は、京都の町ではなくて日本を観に来ているのではないでしょうか。社寺にしても、町家にしても、京都にあるものは、たいていどこの町にあるはずです。それでもなお、京都にはその正統があるのではないかという期待を胸に京都を訪れるのかもしれません。
一方私は、函館にしかないものを観るために函館に来ました。開港以来のハイカラの名残、大火の試練と闘いながら築かれた町並み、北洋漁業や青函航路の記憶、挙げればきりがないほど、函館には函館にしかないものが多くあるように思います。
函館通いを始めて以来、そういった函館にしかない風景と出会って、驚き、感心し、また不思議に思うたびに、写真と文章で記録したものを本書にまとめました。ほぼ時系列で整理していますが、前後しているものも少なくありません。独断や思い込みも混じっております。事実と反することがありましても、どうかご容赦くださいますようお願いします。(あとがきより)
上記内容は本書刊行時のものです。