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再公営化という選択 岸本聡子(編集) - 堀之内出版
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再公営化という選択 世界の民営化の失敗から学ぶ

発行:堀之内出版
四六判
190ページ
価格 1,800円+税
ISBN
978-4-906708-82-6
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2017年3月
書店発売日
登録日
2017年3月16日
最終更新日
2019年6月12日
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重版情報

2刷 出来予定日: 2019-06-20
ご好評により増刷となりました。これから日本でも注目のテーマの書籍です。

紹介

本書は2017年に発行された「Reclaiming Public Services: How cities and citizens are turning back privatisation」の日本語版である。民営化することで高額化したり生活に必要なインフラが劣化することを避けるために、生活に必要なものは何かを見極め、社会、環境、気候変動への課題に対応するため、公共サービスを市民の手に取り戻したり、より効率的な公共サービスを提供する試みが進められている、その調査をまとめたレポート集。最新のデータを元に、最新の理論が展開されている貴重な1冊。

なお、こちらの書籍は下記のウェブサイトにてPDFが無料公開されております。
https://www.tni.org/en/RPS_JP
紙での書籍をお求めの方は本品をご購入くださいませ。

目次

目次

インフォグラフィックス 世界の公共サービスの(再)公営化

はじめに 語られていない話
岸本聡子&オリヴィエ・プティジャン

第1章 フランスの再公営化―民間の失敗を経て、民主的で持続可能な
公共サービスを地域で再構築する
オリヴィエ・プティジャン

第2章 ラテンアメリカにおける再国有化の今日的な動機
エムリサ・コルバート

第3章 貿易投資協定に署名できない835の理由
ラビニア・ステインフォート  

第4章 ノルウェー―社会サービスを自治体の手に取り戻す
ビヨン・ペタセン&ニナ・モンセン  

第5章 ドイツ&オーストリア―労働者にとっての再公営化
ラウレンシアス・テアジック 

第6章 潮流に抗するインドの脱民営化
―すべての人に不可欠なサービスを
ベニー・クルビラ

第7章 官民連携の危険な幻想を解明する
マリア・ホセ・ロメロ&マチュー・フェアフィンクト

第8章 私たちの送電網―ドイツにおけるエネルギーの再公営化動向
ソーレン・ベッカー 

第9章 30年の民営化を経て―公的所有が政治課題となったイギリス
デビット・ホール&キャット・ホッブス

第10章 スペイン、カタルーニャ地方
―民主的な公営水道を取り戻す市民運動の波
ミリアム・プラナス

まとめ 公共サービスの未来を創り始めた自治体と市民
オリヴィエ・プティジャン & 岸本聡子

付録 1 (再)公営化リスト
付録2 (再)国有化リスト
付録3 調査方法と参加型調査

前書きなど

 今日、公共サービスとは概して金がかかり、効率が悪く、時代遅れで新しい課題に挑むのは難しいと思ってしまっても、無理もない話かもしれない。多くの政治家、メディア、また専門家と呼ばれる人々はそう言い続けている。劣化を辿る一方の公共サービスに対し払わなくてはならない料金は高くなる一方であり、就業者も劣悪な労働環境を受け入れるしかないという状況下、市民のあきらめムードは必然なのかもしれない。公共サービスの提供に企業が担う役割は必然的に大きくなりつつあるように見える。なぜなら何をするにも金はかかるし、政治家が大衆の益を顧みることはないし、市民は自分の都合だけを考えがちだからである。
 この本は、全く異なる立脚点に立つ。時に、儲け主義と財政緊縮ばかりが生活を支配しているように思えるが、現実にはレーダーに引っかからない部分で幾千という政治家、市職員、労働者と組合、社会運動は、生活に必要なものは何かを見極め、社会、環境、気候変動への課題に対応するため、公共サービスを市民の手に取り戻したり、より効率的な公共サービスを提供する試みが進められている。これは主に地方自治体レベルで行われている。私たちの調査は、近年世界各地で少なくとも835件の公共サービスの(再)公営化が実施されており、その中には複数の都市を巻き込んで行われるものもあることを明らかにした。(再)公営化は45カ国、1600以上の都市が関わって成功している。概して(再)公営化は運営コストやサービス料金を下げることに繋がり、職員の労働環境を改善、サービスの質を向上しつつ、説明責任の明確化などに貢献している。
 この(再)公営化1の波は特にヨーロッパで顕著なものの、その他各地でも勢力を増してきている。更に、ここに挙げた835例の多くは単なる所有権の変更だけではなく、長期的な社会経済上の、また環境上の変化をもたらしている。(再)公営化は様々な動機に端を発しており、それは民間セクターの運営の失敗や労働者権利の侵害、地元経済や資源のコントロールを取り戻すこと、あるいは市民に安価なサービスを提供することから、野心あふれるエネルギーシフトや環境戦略まで多岐に渡っている。(再)公営化は様々な公的所有モデルの形を取り、市民や労働者の関わり方もさまざまであるが、この多様性の中から共通の姿が浮かび上がってくる。トップダウンの民営化や財政緊縮政策が続く中、(再)公営化の動きは成長を続け、更に拡がりつつある。
 再公営化とは民間企業から公的事業へと公共サービスを取り戻すこと。より正確には、再公営化とは民間企業による資産、運営権所有やサービスのアウトソーシング、官民連携(PPP)といった様々な形で民営化された公共サービスを公的な所有、公的な管理、民主的なコントロールに戻す道すじのことである。この調査で注力したのは完全な公的サービスへの回帰であるが、100%の公的所有でない場合でも明白な公的価値が見出せ民主的な理由付けのある事例は調査の対象とした。

著者プロフィール

岸本聡子  (編集

トランスナショナル研究所(TNI)のパブリック・オルタナティヴ・プロジェクトのコーディネーターである。

オリビエ・プティジャン  (編集

フランスの著述家兼リサーチャーで、フランスの多国籍企業監視団体とそのウエブサイトMultinationals Observatoryの編集長を務める。

上記内容は本書刊行時のものです。