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完全版 土地
巻次:19巻
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2024年10月15日
- 書店発売日
- 2024年10月10日
- 登録日
- 2024年1月19日
- 最終更新日
- 2024年9月30日
紹介
允国は学徒兵に志願し長年の苦難に耐えてきた西姫を打ちのめす
日本の敗色濃厚な戦争で朝鮮も焦土と化すのか
戦争の暗雲は平沙里にも漂っている。母の家を逃げ出してきた南姫は心身ともに病んでいた。
成煥の祖母は成煥の出征を知って失明してしまう。
允国は戦地に出発し、還国はひどくやつれた母の姿に衝撃を受ける。
李府使家の民雨も日本で行方をくらました。
もはや親日派すら何の力もなく、禹介東は面事務所を解雇され、裵雪子には悲惨な結末が待っていた。
他方、栄光は仁川に良絃を訪ね束の間の逢瀬に喜びを得るが、二人の未来を信じられない。
麗玉はソウルに来た翔吉に自らの決意を伝え、緒方は父親と名乗れないまま荘次と満州への旅に出る。
女学校四年生になった尚義は日本人教師の理不尽な振る舞いに敢然と立ち向かう。
目次
第五部 第四篇 純潔と膏血
二章 毒牙
三章 青春の香気
四章 万里の道を行き来して
五章 平沙里の闇
六章 夜鳥とススキ
第五部 第五篇 光の中へ!
一章 対決
訳注
訳者解説
前書きなど
●朴景利 著『土地』の概要
『土地』は韓国の女性作家の草分け的存在であり、デビュー当時から高い評価を受けてきた朴景利の代表作である。1969年から94年まで25年にわたって書き継がれた、韓国現代文学における最大の大河小説であり、最も優れた作品の一つにも数えられている。
朝鮮王朝末期、政治を担う者たちの間で主導権争いが続き、その混乱につけ込んで侵攻する列強や日本の存在と、甲午農民戦争(東学の乱)など民衆による抵抗運動は、国内の混乱に拍車をかけた。混沌とした社会情勢を背景に、物語は1897年に始まり、日本による植民地支配を経て、1945年の「解放」の日(8月15日)に終わる。朝鮮半島の近代史を経糸に、その時代に翻弄されるさまざまな立場、職業、境遇の人々の日常から生まれる愛と恋、葛藤、悲しみ、喜び、苦難を緯糸に織り成される壮大なタペストリーともいえよう。
小説の舞台は朝鮮半島の南端に近い慶尚南道[キョンサンナムド]河東郡[ハドングン]の農村・平沙里[ピョンサリ]から、間島[カンド](現在の延辺朝鮮族自治州一帯)へ移り、後半では朝鮮半島に戻る。
物語の軸となる崔西姫[チェソヒ]は平沙里の大地主・崔家の一人娘である。崔家の財産を奪おうという陰謀が巡らされ、数奇な運命によって天涯孤独の身となった西姫は、崔家の使用人や平沙里の農民たちをひき連れて間島へ移り住む。西姫はそこで商売をして財産を増やし、再び故郷に戻って崔家の土地を取り戻すことを誓う。
朴景利は西姫を悲劇のヒロインとして描いているのではない。気が強く、才覚のある一方で、感情表現がうまくできない西姫の抱える孤独は切ない。さまざまな登場人物が時代の荒波にもまれながら生きる姿は、叙情を排した筆致で克明に描かれている。すべての人間が業として抱える嫉妬や猜疑、邪悪さといった負の面を暴きだす一方で、日々の暮らしの中で助け合い、互いを思いやる人の優しさ、温かさも細やかに語られる。そして貧しい農民の間にも、結ばれぬ運命に逆らおうとする苦しい恋や心に秘めた恋があり、四季折々に変化する美しい自然の景観とともに、物語を彩っている。
上記内容は本書刊行時のものです。