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出版者情報
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取引情報
完全版 土地
巻次:18
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年9月30日
- 書店発売日
- 2023年9月30日
- 登録日
- 2023年7月13日
- 最終更新日
- 2023年9月19日
紹介
窮乏する時代にも互いを思いやる心がある
西姫も親族も強く望む允国との結婚に良絃はついに決断を下す
18巻 あらすじ
日本の敗色は今や隠しようがなく、朝鮮でもすべての物資が欠乏している。
キリスト教徒の一斉検挙で投獄された麗玉は釈放されたものの、その凄惨な姿に明姫は衝撃を受けた。
栄光への愛と、兄嫁との葛藤に苦しむ良絃は医師となって家を出た。
晋州で寮に入り高女に通う尚義は、天皇主義者の教師に反発する内向的な少女に成長している。
統営では趙俊九が醜い様で生涯の幕を閉じ、モンチは周囲の心配をよそに子持ちの寡婦媌媌花に求婚する。
任明彬は静養のために智異山を訪れ、輝は徴用を避けて山に戻った。独立運動に関わる若者も山に逃れてきたが、過激なことを企んでいるのではないかと海道士は警戒の目を向ける。
目次
第五部 第三篇 底なし沼
一章 消息
二章 山へ
三章 媌花一家
四章 赤と黒
五章 愛の彼岸
六章 昔の芝生
第五部 第四篇 純潔と膏血
一章 山は紅葉しているけれど
訳注
訳者解説
前書きなど
●朴景利 著『土地』の概要
『土地』は韓国の女性作家の草分け的存在であり、デビュー当時から高い評価を受けてきた朴景利の代表作である。1969年から94年まで25年にわたって書き継がれた、韓国現代文学における最大の大河小説であり、最も優れた作品の一つにも数えられている。
朝鮮王朝末期、政治を担う者たちの間で主導権争いが続き、その混乱につけ込んで侵攻する列強や日本の存在と、甲午農民戦争(東学の乱)など民衆による抵抗運動は、国内の混乱に拍車をかけた。混沌とした社会情勢を背景に、物語は1897年に始まり、日本による植民地支配を経て、1945年の「解放」の日(8月15日)に終わる。朝鮮半島の近代史を経糸に、その時代に翻弄されるさまざまな立場、職業、境遇の人々の日常から生まれる愛と恋、葛藤、悲しみ、喜び、苦難を緯糸に織り成される壮大なタペストリーともいえよう。
小説の舞台は朝鮮半島の南端に近い慶尚南道[キョンサンナムド]河東郡[ハドングン]の農村・平沙里[ピョンサリ]から、間島[カンド](現在の延辺朝鮮族自治州一帯)へ移り、後半では朝鮮半島に戻る。
物語の軸となる崔西姫[チェソヒ]は平沙里の大地主・崔家の一人娘である。崔家の財産を奪おうという陰謀が巡らされ、数奇な運命によって天涯孤独の身となった西姫は、崔家の使用人や平沙里の農民たちをひき連れて間島へ移り住む。西姫はそこで商売をして財産を増やし、再び故郷に戻って崔家の土地を取り戻すことを誓う。
朴景利は西姫を悲劇のヒロインとして描いているのではない。気が強く、才覚のある一方で、感情表現がうまくできない西姫の抱える孤独は切ない。さまざまな登場人物が時代の荒波にもまれながら生きる姿は、叙情を排した筆致で克明に描かれている。すべての人間が業として抱える嫉妬や猜疑、邪悪さといった負の面を暴きだす一方で、日々の暮らしの中で助け合い、互いを思いやる人の優しさ、温かさも細やかに語られる。そして貧しい農民の間にも、結ばれぬ運命に逆らおうとする苦しい恋や心に秘めた恋があり、四季折々に変化する美しい自然の景観とともに、物語を彩っている。
関連リンク
上記内容は本書刊行時のものです。