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古典に学ぶ民主主義の処方箋 石井 登志郎(著) - 游学社
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古典に学ぶ民主主義の処方箋

発行:游学社
四六判
216ページ
並製
価格 1,400円+税
ISBN
978-4-904827-39-0
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2016年6月
書店発売日
登録日
2016年5月13日
最終更新日
2016年8月4日
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紹介

われわれはたいていの場合、見てから定義しないで、定義してから見る(リップマン)
主権は譲り渡され得ない、これと同じ理由によって、主権は代表されない(ルソー)
民主政治は国王や貴族団体より誤りを犯しやすいとしても、一度光りが射しさえすれば、真理に立ち返る機会もまた大きい(トクヴィル)
政治とは、情熱と判断力の2つを駆使しながら、堅い板に力をこめてじわっじわっと穴をくり貫いていく作業である(ヴェーバー)
日本一の大金持も其の日稼ぎの労働者も参政権の前に立てば絶対平等である(斎藤隆夫)
自分の使命をはたすためなら、いつでも姿勢を柔軟に変えられる者こそ、真の首尾一貫性を持っているのだ(バーク)

本書には、民主主義の真の実現を決して諦めようとしなかった先人たちの古典の名著がいくつも登場します。
「異なる価値観を持った人々が共に暮らす社会は、異論を排しない社会です。少数の意見を排しないで、落としどころを探して行く。そのために代議制民主主義という制度が設計されたのです。議員と有権者の二人三脚が機能して初めて、代議制民主主義はその真価を発揮します。私はそう信じて、今まで「政治バカ」の道を走り続けてきました」と語る著者が、古典を紐解き、先人たちの思索を辿りながら、今や機能不全に陥った民主主義を再生させるための処方箋を見出すべく思索を深めて書き上げた1冊です。
民主主義には、化学や物理のような「一つの正解」は存在しません。人間社会の根源、人間とは何かを問い続けるものです。それゆえに先人たちが紡いだ言葉の力は時代が去っても失われることなく、むしろこれだけ情報過多の時代にこそ輝きを増し、時代の行き詰まりを切り拓いて行くための手引きとなるでしょう。

目次

はじめに

石井登志郎さんのこと 内田 樹

第一章 民主主義の病巣を探る
「民主主義が今ある中で最もマシな制度だ」by チャーチル/実際に選挙に出ると見えること/一八歳投票権が始まる/投票へのハードルを下げることは重要である/投票率が下がることで「特定少数」が通りやすくなってしまう/政治権力とは何か―ヴェーバーの示唆/政治に対して消極的な態度を類型化する―『権力と社会』by ラスウェル&カプラン/「土建国家」の限界と「無政治的」態度の拡大/議員に対するニーズの変質/地元で「号泣県議」誕生の衝撃/「ステレオタイプ」 大衆心理の形成過程と民主主義/政治家はいかに好印象なイメージを作るかに腐心/「社会の空洞化」につけ込む「政治の表層化」―「一点突破型選挙」に吹き飛ばされる/「政治文化を変える」はずの民主党政権が挫折した理由/政治が変わらなくてはならない理由―従来型の民主主義では解決できない問題が押し寄せる

第二章「政治家不信」を乗り越える
信頼されない「政治」/特徴的な日本の「政治家不信」/日本の民主主義を振り返る/日本における普通選挙法導入の立役者「斎藤隆夫」に見る、普選の理念/『ザ・フェデラリスト』に見る、議員に期待されるもの―世論の「鏡」と「濾過」/政治のレベルは有権者次第―トクヴィルがみたアメリカの民主主義/ルソーの「社会契約論」―市民は「選挙の時以外は奴隷」か?/シュンペーターの民主主義論―リーダーシップの重要さと代議制の肯定/政権公約(マニフェスト)型選挙の追求/「代議士は選挙区の代表ではない、全体の利益の代表である」バークのブリストル演説/全国組織政党の強さ―公明、共産/政治家への視点を変え、「政策実績と実感」で評価する/学問のすゝめ―福沢諭吉の意図したところ/「官僚政治」にどう向き合うか/官僚機構と政治―マックス・ヴェーバーに学ぶ/ヴェーバーの示す政治家の資質
 
第三章 政治と国民を結ぶ団体(ソーシャル・キャピタル)の再生がカギ
「哲学する民主主義」―地域のつながりが民主主義を機能させることを炙り出す/アメリカの民主主義に市民力を見出したトクヴィル/大災害で社会関係資本の強みを実感/日本における社会関係資本/既存の団体を概観してみる/業界団体を考える/ある業界団体の決断―本音でこそ道は拓ける/市民は「圧力団体」を積極的に作るべき/環境保護団体の直球を意気に感じて/保育や教育問題は「中間団体」を作りにくい政策課題/「一身独立し一国独立す」―今こそ福沢精神で新しい利益団体組織化を

第四章 代議制民主主義を補完する新しい流れ
喪失した「市民公共圏」/世論調査の課題/討論型世論調査=Deliberative Pollingが追求する民主主義の可能性/討論型世論調査は明らかに議員や政府に影響を与えた/インターネットと政治―まだ真価は発揮されていない/インターネットの起源と発展/インターネットの本質は何か/アメリカの状況―「拡散」から「カスタマイズ」へ/日本の民主主義におけるインターネット―まだ影響力は限定的か/見え始めている「芽」/そしてインターネットを武器に市民が選挙で連帯する/「オープンガバメント」で民主主義への参加を促すIT/日本におけるオープンガバメント/今後の民主主義再生への期待―再び「市民公共圏」の可能性を考える

第五章 これまでの常識が通用しない時代に
『ウォール街占拠』に偶然出くわす/アメリカの状況―集積する富と高騰する学費/格差拡大に警笛を鳴らし続けるライシュ元労働長官/GDP至上主義という「常識」を今一度考えてみる/超長期で見た人口推移と財政/原発ゼロを言い切れない政治的要因/原子力発電所跡地を風力発電産業基地にしたドイツ/「使用済み核燃料」政策をめぐるフィクション=まわらぬ〝サイクル〟/既存システムの限界と新たなシステムの必要性/人間は価格的価値を追い求めるだけの生き物ではない―ヴェーバーの社会学/「生きる価値」の自立によって、これまでの「常識」を乗り越える 

第六章 民主主義の再生に向けて動き出す!
民主主義は未完成で不完全であることを認識することから始める/議論を避けない文化を作る/二〇二二年から高校にて「公共」必修の意義を最大限に活かそう/身近な課題や地域で奮闘する、新しいスタイルの芽が出ている/色あせぬケネディ大統領のメッセージ/政治屋でない「ステイツマン」を育てよう/政治家に求められるバランス感覚・中庸/一夜で政治は良くならない―保守主義の父、エドマンド・バークの示唆/民主主義の再生に向けてー「である」ことから「する」ことへ

参考文献

あとがき

前書きなど

(内田樹氏・巻頭寄稿より)
 彼はこの本を読む読者の知性と判断力を「まず信じる」ところから書き始めている。これは政治家としてはかなり例外的なことではないかと私は思う。「リーダー・フレンドリー」ということを「サルにでもわかる」ように書くことだと信じている書き手は多い。
 この本はそういうのとはものが違う。石井さんが本書で引いているトクヴィルやヴェーバーやバークの文章は、石井さん自身がよく読み込んで、何度もアンダーラインを引いたものの中から選び出されている。それは読めばわかる。権威づけのために適当に切り貼りした知的装飾ではない。彼自身が座右の言葉として拳拳服膺(けんけんふくよう)してきた政治についての本質的な知見を語った箴言を選び出している。いまどきの政治家でここまで誠実に言葉を綴る人はなかなかいない。

版元から一言

混沌の時代、多様な価値観が共存し、時に激しくぶつかり合い、せめぎあう時代に、本書ではあえて腰を据えて、時を超えて受け継がれる古典に眼差しを向け、先人たちの叡智から学ぼうとしてきました。民主主義には、化学や物理のような「一つの正解」は存在しません。人間社会の根源、人間とは何かを問い続けるものです。それゆえに時代が去っても輝きが失われることなく、むしろこれだけ情報過多の時代にこそ輝きが増すのです。(あとがきより)

著者プロフィール

石井 登志郎  (イシイ トシロウ)  (

元衆議院議員。1971 年5 月29 日生まれ。
幼少期を芦屋市で過ごし、世田谷区立船橋小学校、早稲田中学・高等学校を経て慶應義塾大学総合政策学部卒(SFC 一期生)。(株)神戸製鋼所に入社(アルミ・銅原料部に配属)、在勤時に阪神淡路大震災を経験、ボランティア活動に従事。退職後に渡米し、ペンシルバニア大学大学院公共政策課程修了MGA(Fels Institute of Government, University of Pennsylvania)。帰国後、(株)日本総合研究所創発戦略センター副主任研究員、参議院議員鈴木寛政策担当秘書を経て、2009 年に衆議院議員初当選(兵庫県第7区、西宮市・芦屋市)。在職時は、衆議院政治倫理及び選挙特別委員会理事、党使用済み核燃料問題事務局長、大学改革ワーキングチーム事務局長、インターネット選挙解禁に関る各党協議会実務責任者など歴任。現在は、ヤフージャパン株式会社政策企画本部フェロー、慶應義塾大学SFC 研究所上席所員(訪問)、会社役員などを務める。一児の父。

上記内容は本書刊行時のものです。