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東アジア立憲民主主義とそのパラドックス
比較憲法の独立時代
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2021年2月25日
- 書店発売日
- 2021年3月8日
- 登録日
- 2021年2月5日
- 最終更新日
- 2021年3月15日
書評掲載情報
2021-10-09 |
朝日新聞
朝刊 評者: 石川健治(東京大学教授・憲法学) |
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紹介
セカイ系立憲主義から東アジアの憲法状況を展望する。ジャック・ランシエール、エドワード・ヤン、「セカイ系」アニメから比較憲法と表象文化の接点を見いだす、境界領域を超えるしぶとく力強い憲法論。
目次
まえがき 比較文明的視野をもった新たな憲法論 島薗進
序章 「儒者の困惑」──問題・主義・イメージ
第1部 文化的パラドックス──立憲主義、ナショナルかつコロニアルな
第1章 立憲主義による植民地主義──その償還責任
第2章 「仁義なき戦い」の憲法学──東アジアにおける「権威主義対立憲主義」の深層
第3章 憲法というゴールデン・ドリーム──「日本の衝撃」と、中華民国憲法でつなぐ中国と台湾
第4章 ワイマール憲法学で中国を読む──シュ・ダウリンの実践
第5章 押しつけ憲法による人民自決?──李登輝の「特殊二国論」
第2部 制度的パラドックス──「セカイ系立憲主義」の展開
第6章 立憲主義の濫用を防ぐ「憲法工学」
第7章 原子力緊急事態で考える国家理性と避難
第8章 自粛と日本型共同体主義
第9章 民主憲政のはざまで──市場国家と安保国家に抗して
第10 章 「集団的自衛権」をめぐる憲法政治と国際政治
第11 章 戦力・軍事裁判・立憲主義──台湾を素材として
第3部 「セカイ系立憲主義」の動揺──アメリカの憲法政治
第12 章 国家理性、憲法感情と司法審査──二〇一二年の医療保険制度改革法連邦最高裁判決
第13 章 権力者の自己言及──オバマとトランプ
第14 章 国家像をめぐる法廷闘争──入国禁止令違憲訴訟
あとがき/人名索引
前書きなど
二〇〇〇年代以降、市場国家と安保国家のペアがもたらす劇的な現状破壊に対し、立憲主義は、啓蒙の世紀を反復しながら、新自由主義と「空気のナショナリズム」をつなぎとめるそのグローバル版を開発した。だが、二一世紀の国家と自由のペアにとって憲法はもはや不要であるかのようだ。準拠モデルが動揺するなかで、国民主権、憲法上の権利と法の支配を擁護する運動を通じて民主主義が活性化しているという逆説的現象が、台北、香港、ソウル、東京で起きている。東アジアでは立憲デモクラシーは、通説が考えているような物語ではなく、物語を支える心的作用を呼びおこす物的仕掛けである映画・アニメの背景美術と同じ機能をはたしている、こう筆者は捉える。
(島薗進「まえがき」より)
上記内容は本書刊行時のものです。