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新・税金裁判ものがたり
納税者のための税務争訟入門
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2017年2月
- 書店発売日
- 2017年2月10日
- 登録日
- 2017年1月18日
- 最終更新日
- 2017年2月3日
紹介
税金裁判は少しずつ増えていますが,まだまだこれを担当できる弁護士や税理士は少ない状況で,税金裁判に積極的に取り組む専門家は全国的に見ても多くありません。
今回のものがたりは,実際に著者が担当した事件をベースに税金裁判をこれから担当してみたいと思う若手弁護士や税理士の皆さん,そして税金裁判に興味を持っている多くの方々に,分かりやすく不服申立の制度や裁判の実態を理解してもらうことを目的としています。
目次
1. 税務争訟の基礎知識
2. 税務争訟での実践的な対応方法
3. 青色申告法人に対する更正処分の理由附記が不十分とされたケース
4. 認知症の母との贈与契約の無効を理由に贈与税の取戻しをしたケース
5. 青色申告専従者の給与の相当性を争ったケース
6. 物納許可の取消を求めた事件
7. 低額譲渡による処分を争ったケース
8. 相続財産の帰属をめぐって争われたケース
9. 税金裁判から見えてくる現状と課題
10. 課税処分の種類と裁判の進め方
11. 推計課税の争い方を考える
前書きなど
はしがき
『税金裁判ものがたり』を書いてからすでに10年以上たちます。その間に私が担当した税金裁判も少しずつ蓄積されてきました。今回は,前回出版した『税金裁判ものがたり』発行以後の事件を中心に参考となる事例を拾い出して書いています。
税金裁判は,長い事件になると10年以上かかることもあり,一件一件がかなりウェイトが重く大変です。しかし,その中には留意すべきいろいろなエッセンスが含まれており,それを意識して参考になるポイントを拾い出して書きました。
同時に,最近,国税通則法が大幅に改正され,不服申立手続が大きく変わっています。これを踏まえて,納税者から依頼を受けた弁護士・税理士がどの点に留意しながら裁判まで進めていったらよいか,私が税金事件に関与するようになってからのエッセンスを整理しながら説明をしました。できる限り制度を解説する際に,私の担当した事件内容をはめ込みながら書きましたが,具体性に欠けて面白くないところがあるかもしれません。しかし,その背後には私の思いがぎっしりと詰まっているもので,実践的にはきっと役に立つものと思いますので,辛抱して読んでください。
今回とり上げた税金裁判の事例は,私の妻である関戸京子弁護士が関与した事件が大半でしたので,ものがたりの最後に判例や法律の解説と税金裁判の現状と課題を書き加えてもらいました。さらに読みやすくするためのコメント等を工夫するなども,協力してもらいました。このことによって少しでも読みやすく内容の充実したものにできていればと思っています。
税金裁判は少しずつ増えていますが,まだまだこれを担当できる弁護士や税理士は少ない状況で,税金裁判に積極的に取り組む専門家は全国的に見ても多くありません。
今回のものがたりは,実際に担当した事件をベースに大阪弁護士会で行った若手弁護士に対する私の3回の講演と,私が担当していた関西学院大学大学院司法研究科(ロースクール)の税務争訟法の授業の講義内容を素材にして,書き下しています。そのため,税金裁判をこれから担当してみたいと思う若手弁護士や税理士の皆さん,そして税金裁判に興味を持っている多くの方々に,分かりやすく不服申立の制度や裁判の実態を理解してもらうことを目的として書いています。
この本はあくまで納税者の立場に立って書いていますので,第三者的な立場から税務訴訟の解説を目的とする他の類書とは少し性格が異なるものとなっています。課税庁の立場に立つか,納税者の立場に立つかによって,事実認定や法解釈の内容のみならず問題として取り上げる視点も異なってくるからです。
ですから,主として納税者の立場から見て多く取扱われる問題事例や,注目すべき裁判の内容に重点を置いて話を進めています。しかし,ここに書かれていることを理解すれば大半の課税事件を担当することができると思っています。
多くの人が税金裁判を担当して不当と感じている処分内容を争えば,課税の現場や税金裁判で横行している不合理な解釈の実体を変える力になり,ひいては税務行政の民主化に繋がるだろうと確信しているからです。
本書が少しでもそのことの手助けとなれば,税金事件を専門とする弁護士として望外の喜びです。
私たち夫婦は,毎年税金裁判で大変な思いをしながら裁判に取り組んでいます。この本書を執筆している最中にも,大阪地方裁判所で7年越しで継続中の税金裁判で結審を迎えるに当たり,約100枚程の最終準備書面を書き上げました。このように頑張れるのは,私たちには適度の息抜きがあるからです。それが毎年夏に予定しているヨーロッパ・アルプスへの山旅行です。今年もフランス・アルプスの拠点シャモニーへ行き,8月に約2週間程山登り兼避暑に行ってきました。その時の様子を執筆日記として末尾に書いています。毎日モンブランを眺めながらこの原稿の最終テーマを一気に書き上げました。ぜひ,この執筆日記にも目を通してみてください。シャモニーでの写真も掲載しておきました。あまりにも素晴らしい景色に思わず見とれてしまうと思います。このヨーロッパ・アルプスでの山歩き(山登り)が私たち二人の税金裁判に取り組むための大きなエネルギー源となっているのです。
私たち夫婦のライフワークとしての本書を皆様にお届けいたします。
平成29年1月
関戸一考
関戸京子
版元から一言
著者の関戸一考弁護士は、長年、「税金裁判」を手がけてこられました。税金裁判は課税庁つまり国と裁判する訳ですから、かなり難しい裁判なのです。
著者の関戸弁護士は、「納税者」の側に立ち、裁判、異議申し立てのやり方を、具体例をもとにして、長年の経験をもとに、分かりやすく説明されています。
相続税の免税額が低くなり、相続税を支払う人の数も今後増えていきます。
また、高齢社会がすすむにつれ、成年後見制度や生前贈与するケースも増えていきますが、それに伴って不当に高額課税されることも増えているようです。
資料として、参考判例も充実しています。
普段税務に取り組んでいる、税理士の先生方をはじめ、弁護士の先生、企業の経理担当の方々にもぜひおすすめいたします。
上記内容は本書刊行時のものです。