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子どもの「居場所」を求めて
子ども集団の連帯性と規範形成
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2009年5月
- 書店発売日
- 2009年5月1日
- 登録日
- 2017年11月17日
- 最終更新日
- 2017年11月17日
紹介
「今,学校に子どもの『居場所』はあるのか」という問いに対し,筆者は実例実証的,理論的な研究を長く積み重ねてきた。「いじめ」「学級崩壊」等の現象は,本来規範を内面化する「主体」を形成するべき「近代学校」が,規範を内面化できない子どもを生み出し,子どもにとって「居場所」のある学校あるいは学級形成は,もはや不可能であることを示しているのであろうか。教育研究者として教育実践にかかわる筆者は,学校教育制度の限界を指摘するのみにとどまらず,学校が規範を内面化した「主体」を育成し,子どもたちの「居場所」となるような場として再生するために,大人たちはどうすればよいかということを深い論考によって明らかにしようとしている。幼稚園教育や小学校教育の現状を克服し,近代学校を実現しなければならないという強い思いを窺うことができる。
目次
序 章 近代学校における基本的人間形成機能とは何か
1 近代学校の成立
2 日本の近代学校の特色
3 研究の具体的課題と対象
第1章 「居場所」論
第1節 「居場所」を語る必然性
1 「居場所」をなぜ論ずるか
第2節 小学校における「居場所」はいかにして可能か
1 近代学校が胚胎する「居場所」喪失
2 近代学校において「居場所」を創出している実践例
3 近代学校において,「居場所」はいかにして構成しうるか
4 本庄教諭の「方略」の総括
第3節 「居場所」論批判
1 「居場所」へのさまざまなアプローチ
2 「居場所」への我々のアプローチ
3 住田正樹の「居場所」論について
第2章 「内的秩序」論
第1節 幼児の「内的秩序」感覚の形成と「居場所」性
1 母子関係における「内的秩序」感覚の形成と「居場所」性
2 幼稚園・保育所における「内的秩序」感覚の形成
3 保育者による幼児の「内的秩序」感覚形成のための戦略
4 人的・物的環境によって構成される「内的秩序」感覚
第2節 幼稚園の実践における幼児による「内的秩序」感覚の形成
1 集団保育が胚胎する「居場所」喪失の方向
2 「内的秩序」感覚が形成されている保育実践例
3 「内的秩序」感覚が形成され,「ルール」の芽生えが見られる保育実践例
第3節 遊びの「ルール」による規範形成と学級の「内的秩序」感覚の関わり
1 遊びの「ルール」による規範形成は,学級に「内的秩序」感覚の形成に
無効か
2 遊びと「学級」における「内的秩序」感覚の形成との関わり
第3章 遊び-子どもが創造する規範と「居場所」の生成の視点から-
第1節 子どもにとって遊びとは何か
1 遊びは教育活動になりうるか
2 〈遊動〉概念の問題性
3 〈遊動〉概念の再構築
4 〈遊動〉に通底するものとしての大澤の「過程身体」「抑圧身体」について
5 大澤において遊びはどう語られうるか
6 領域としての遊び
7 仕事の中でのアドベンチャーとしての〈遊動〉
8 規範を身体化する機会としての遊び
第2節 遊びが規範形成過程に及ぼす意義-伝承遊びの構造と事例の分析を
通して
1 伝承遊びに内在する〈遊動〉-花一匁を例に
2 〈遊動〉を重視する援助とは何か
最終章 教授-学習の一方向的コミュニケーションを克服する試み
-教授-学習活動と学級活動の連続性の視点から-
第1節 教授活動における相互コミュニケーションへの参加を促す試み
1 近代教授学の思考法
2 現代の学校における教授-学習活動
3 現代の子どもの実態
4 現代の学校の子どもへの対応
5 現代の学級担任制の制度的矛盾
6 本庄実践における学級担任の特質
7 事例
8 事例分析
9 教師の集権性を子どもが分有する「教授-学習活動」はいかにして可能
となるか
10 本庄実践を支えるもの
上記内容は本書刊行時のものです。