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アラブの音文化 西尾 哲夫(編著) - スタイルノート
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9784903238418

アラブの音文化 グローバル・コミュニケーションへのいざない

歴史・地理
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A5判
縦210mm 横148mm 厚さ19mm
304ページ
並製
定価 2,000円+税
ISBN
978-4-903238-41-8   COPY
ISBN 13
9784903238418   COPY
ISBN 10h
4-903238-41-5   COPY
ISBN 10
4903238415   COPY
出版者記号
903238   COPY
Cコード
C1039  
1:教養 0:単行本 39:民族・風習
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2010年2月
書店発売日
登録日
2019年12月3日
最終更新日
2019年12月3日
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受賞情報

田邉尚雄賞受賞

紹介

 「音文化(おんぶんか)」という考え方は、音が作り出すコミュニケーションを「音楽」という狭い枠から解放して、自然音や聴覚以外の諸感覚、身体性などと係わらせて理解すること、および音のコミュニケーションを社会や政治、歴史の脈絡のなかでとらえ返すことを見据えています。つまり、音のもつ身体文化的豊饒性を解き明かすこと、および、音が有する社会造成能力を見極めることが、「音文化」という概念の使命であり、それを13人の著者それぞれが、応用・発展させた成果が本書です。



 アラブ世界の文化を、グローバル・コミュニケーションという独自の視点に立って、ヨーロッパとの関係にも目を配り、「音」の次元から考察した斬新な内容となっています。扱われる範囲が、歴史、伝統、理論、演奏、地域性、宗教、言語等におよぶと同時に、古典音楽から、儀礼や現代のポップ音楽やダンスについても幅広く論じられている点が特徴です。音楽に対する固定概念を解き放つ、斬新かつ気鋭の論集です。最終章には内容の理解を深めるための座談会も収録しました。



受賞



本書は、2011年の第28回 田邉尚雄賞〈(社)東洋音楽学会〉を受賞しました

受賞理由は以下の通りです。



 本書は、音によるコミュニケーションの力をアラブの社会的・歴史的文脈で捉え、13名の著者がそれぞれの専門研究の立場から論じたものである。アラブの音文化に関する日本語文献がほとんどない現状において、本書の学会への貢献は貴重である。特に注目すべきは、本書がアラブ音楽の紹介や解説にとどまることなく、言語も音楽も多様な中で共通の価値基準や感受性がどのようにはぐくまれるのか、という独自の視座で問題設定を行い、この問題意識を巻末の座談会を含め、総ての執筆者が共有した上で、本書の全体を貫いている点である。この研究方法は、今後の共同研究や共著書のあり方に、重要なひとつの方向性を示すものとして評価できる。

目次

はじめに(堀内正樹)

第1章 真正な音をもとめて
 アラブ音楽会議でバルトークは何を聴いたか?(水野信男)
 「古典トルコ音楽」とは何か(斎藤完)

第2章 音のしくみ
 中世イスラームの哲学者たちが語る音楽論(新井裕子)
 アレッポの伝統に基づく東アラブの古典的マカーム現象入門(飯野りさ)
 都市に伝わる歌唱形式「イラキマカーム」(樋口美治・樋口ナダ)
 アンダルシア音楽のしくみ(堀内正樹)

第3章 音からからだへ
 共有されるマカーム美意識―アレッポの事例(飯野りさ)
 声が運ぶ聖典クルアーン(小杉麻李亜)
 近・現代アラブ歌謡二人のディーヴァ―レバノン的な音楽文化(青柳孝洋)
 儀礼における身体技法とその展開―トルコ・アレヴィーのセマー(米山知子)
 ベリーダンスを踊ると体が笑う―アラブから世界へ(西尾哲夫)

第4章 音のかたち
 「個性」はいかに研究可能か(記述可能か)?―イラン音楽を事例とした一試論(谷正人)
 アンダルシア音楽を計量する(小田淳一)

第5章 座談会
 座談会1 アラブ音楽入門―マカームとは何か? イーカーウとは何か?
 座談会2 中東の近・現代音楽をめぐって

 おわりに(水野信男)

前書きなど

 本書は、大阪の人間文化研究機構国立民族学博物館で二〇〇六年度から二〇〇九年度にかけての三年半にわたっておこなった共同研究『アラブ世界における音文化のしくみ』(研究代表者・堀内正樹)の成果をまとめたものである。この共同研究は計九回の研究会を大阪と東京で開き、「アラブ音楽」を実質的な主題とした。しかし本当の狙いは「アラブ」の研究でも「音楽」の研究でもなく、むしろ「アラブ」と「音楽」という両方の概念を解体して、新たな文明論的展望を得ることにあったといってよい。大胆な言い方をすれば、片や、これまでもっぱら書かれたものや印刷されたものに依存した従来のアラブ研究・イスラム研究・中東研究が生み出した「アラブ」認識のズレを、音と声を強調することによって白日の下にさらしたかったのであり、他方では、芸術やエンターテインメントといった狭い不自由な枠に音を閉じこめようとする「音楽」研究をはじめとして、それと同じように人々の生活領域を「宗教」「文学」「思想」「歴史」「民族」「政治」などに切り分けて、あたかもそれぞれを別々の現象であるかのように仕立て上げる蛸壺的な学問研究の姿勢にも批判の矢を放ちたかったのである。だが「音文化」という私たちが掲げた共同研究の標題には、そのような批判にとどまらず、さらにその先の理解へ進もうとする建設的な意味が込められている。

 そもそもこの「音文化」というまだ多少聞き慣れない言葉は、日本ではおそらく文化人類学者の川田順造氏が、一九九〇年代初頭にはじめて明確な定義と意図をもって提唱したものである。氏の狙いは、音が作り出すコミュニケーションを「音楽」という狭い枠から解放して、自然音や聴覚以外の諸感覚、身体性などと係わらせて理解すること、および音のコミュニケーションを社会や政治、歴史の脈絡のなかでとらえ返すことの二点であった。つまり音のもつ身体文化的豊饒性を解き明かすことと、音が有する社会造成能力を見極めることが「音文化」という概念の使命なのであり、私たちの共同研究もこの意図を継承しつつ、それを私たち流に応用・発展させたわけである。その川田順造氏も参加し、本書の編著者の一人である西尾哲夫氏が主催した『イスラーム世界の音文化』という学際的なシンポジウムが一九九七年に開催されたことがあり、そこには、やはり本書の編著者である私(堀内)と水野信男氏および共同研究メンバーの新井裕子氏が加わった経緯がある。そのときの成果の一部が日本民族学会(現日本文化人類学会)の機関誌『民族學研究』六十五巻一号(二〇〇〇年)に「音文化の地域的展開を探る―イスラームを手がかりに」というタイトルで特集として企画され、川田氏の序文とともに四本の論文が掲載された。本書の先駆けとしてこの特集をあわせてお読みいただけば、私たちの意図するものをよりよくご理解いただけるものと思う。

 とはいえ、今回の共同研究は新たなメンバーを数多く迎え、総勢十四名の態勢で、実質的に新たなスタートを切った。その活動の推進力となったのは、人々の生活への誠実さであり、自分たちの経験への誠実さであり、ナマの人間に対する誠実さである。私たちは年齢も職業も経歴も国籍も宗教もまちまちだった。これまでの人生経験や生活の舞台も決して一様ではない。それどころか、さまざまに異なった立場と環境のもとで生きてきた。にもかかわらず私たちに共通していたのは、音や声に対する並々ならぬ関心はもちろんのこと、それ以上に「なにか違うぞ」という違和感であった。自らの経験と、そして周囲の人々との関わりから得た現実感覚を大切にするがゆえに、そこから生じたこの違和感をもやもやした状態からはっきりと姿の見える状態へと変えたい、というのが、私たちが生い立ちの違いを越えて共同研究に参集した共通の心情であったと思う。冒頭の段落で述べたものはその違和感のおもな矛先である。しかし自らを棚に上げてそれらへの批判に直接向かうのではなく、逆に自分たちの知識と実感をたがいに付き合わせて、徹底的に事実を洗いなおしてみるという正攻法を私たちは採った。その結果到達した共通認識が、つまるところ、「ではなにが違うのか」「本当はどうであるのか」を具体的に示した本書ということになる。

版元から一言

昨今のグローバリズム論が出発点に据える、19世紀以降の近代西欧の世界進出はその決定的な契機となっているわけでは決してなく、それに先立つ約千年もの長きにわたる三大陸とその周辺島嶼部の都市化と国際化のプロセスこそ「先発・本流のグローバリズム」と呼ぶべきで、そのプロセスを支えるコミュニケーション形態として、この音の伝統は展開してきたのだということが、そして、後発の西欧発の政治・経済的グローバリズムが今日対話の機能不全を招来して悲惨な問題を多発させているのとは対照的に、アラブ音楽を下支えしてきた声と音からなる生活の総体つまり「アラブ世界の音文化」は、「先発・本流のグローバリズム」によってネットワーク状につながった世界各地のさまざまな音文化とリンクしあいながら、人々の異質性や多様性や雑種性を当然の前提としつつ、移動し混在しあう人々のあいだの対話を促して、広い世界を結びつけているのだということに気づかせてくれる1冊です。

著者プロフィール

西尾 哲夫  (ニシオ テツオ)  (編著

京都大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。人間文化研究機構国立民族学博物館教授。総合研究大学院大学教授

水野 信男  (ミズノ ノブオ)  (編著

東京藝術大学大学院音楽研究科修了。博士(文学)。兵庫教育大学名誉教授

堀内 正樹  (ホリウチ マサキ)  (編著

東京都立大学大学院社会科学研究科社会人類学専攻博士課程満期退学。文学修士。成蹊大学文学部教授

新井 裕子  (アライ ヒロコ)  (

お茶の水女子大学大学院人文科学研究科修士課程修了。文学修士。放送大学、東京外国語大学非常勤講師を歴任

飯野 りさ  (イイノ リサ)  (

東京大学大学院総合文化研究科単位取得退学。シリア・アラブ共和国アレッポ市にてムハンマド・カドリー・ダラール氏により伝統歌謡ムワッシャフの伝承指導を受ける。東京大学東洋文化研究所技術補佐員

樋口 美治  (ヒグチ ヨシハル)  (

成蹊大学文学部卒業。イラク共和国文化情報省古典音楽院(マアハド・アルディラーサート・アルナガミーヤ)留学。オマーン王国情報省オマーン伝統音楽センター研究員として、オマーン、ザンジバル、ケニア海岸部、コモロを中心としたアラブ湾岸地域と東アフリカ海岸地域の音楽文化を調査研究。バルカン、コーカサス、中央アジアの音楽文化を数多くのフィールドワークを中心に調査研究

樋口 ナダ  (ヒグチ ナダ)  (

バグダード大学芸術学部音楽科卒業。イラク共和国文化情報省古典音楽院に学ぶ。イラク共和国文化情報省古典音楽院講師(アラブ音楽基礎研究論)を歴任

小杉 麻李亜  (コスギ マリア)  (

立命館大学大学院先端総合学術研究科一貫制博士課程修了。博士(学術)。日本学術振興会特別研究員(PD)

青柳 孝洋  (アオヤギ タカヒロ)  (

University of California, Los Angeles。PhD (Ethnomusicology)。岐阜大学教育学部准教授

米山 知子  (ヨネヤマ トモコ)  (

総合研究大学院大学(国立民族学博物館)修了。博士(文学)。神戸学院大学地域研究センター・PD研究員

斎藤 完  (サイトウ ミツル)  (

東京藝術大学大学院音楽研究科博士課程単位取得退学。修士(音楽)。山口大学教育学部准教授

谷 正人  (タニ マサト)  (

大阪大学大学院文学研究科博士後期課程(音楽学)修了。博士(文学)。神戸学院大学人文学部芸術文化コース専任講師

小田 淳一  (オダ ジュンイチ)  (

筑波大学大学院文芸・言語研究科各国文学専攻博士課程単位取得退学。文学修士。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所准教授

上記内容は本書刊行時のものです。