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食人の形而上学 エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロ(著) - 洛北出版
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食人の形而上学 ポスト構造主義的人類学への道
原書: Metaphysiques cannibales: Lignes d'anthropologie post-structurale

発行:洛北出版
四六判
縦188mm 横128mm 厚さ26mm
重さ 450g
384ページ
並製
価格 2,800円+税
ISBN
978-4-903127-23-1
Cコード
C0010
一般 単行本 哲学
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2015年10月
書店発売日
登録日
2015年10月13日
最終更新日
2015年10月20日
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書評掲載情報

2015-12-11 週刊読書人
評者: 堀千晶=仏文学者

重版情報

2刷 出来予定日: 2016-06-15

紹介

『アンチ・オイディプス』から『アンチ・ナルシス』へ。
ブラジルから出現した、マイナー科学としての人類学。
レヴィ=ストロース × ドゥルーズ+ガタリ × ヴィヴェイロス・デ・カストロ。
  
アマゾンの視点からみれば、動物もまた視点であり、死者もまた視点である。
それゆえ、アンチ・ナルシスは、拒絶する――
人間と自己の視点を固定し、他者の中に別の自己の姿をみるナルシス的な試みを――。
  
なされるべきは、小さな差異のナルシシズムではなく、多様体を増殖させるアンチ・ナルシシズムである。
動物が、死者が、人間をみているとき、動物が、死者が、人間であるのだ。
  

目次

第Ⅰ部 アンチ・ナルシス
   第1章 事象への驚くべき回帰
   第2章 パースペクティヴ主義
   第3章 多自然主義
   第4章 野生の思考のイマージュ

第Ⅱ部 人類学的視点から読む『資本主義と分裂症』
   第5章 奇妙な相互交差
   第6章 多様体の反‐社会学
   第7章 すべては生産である ―― 強度的出自

第Ⅲ部 悪魔的縁組
   第8章 捕食の形而上学
   第9章 横断するシャーマニズム
   第10章 生産がすべてではない ―― 生成
   第11章 システムの強度的条件

第Ⅳ部 食人的なコギト
   第12章 概念のなかの敵
   第13章  構造主義の生成

文献一覧
訳者あとがき ┃ 山崎吾郎
『アンチ・オイディプス』から『アンチ・ナルシス』へ ――『食人の形而上学』解説 ┃ 檜垣立哉
索 引

前書きなど

「 私は以前より、自分の専門分野の観点から、何らかのかたちで、ドゥルーズとガタリへのオマージュとなるような書物を著したいとおもっていた。『アンチ・ナルシス――マイナー科学としての人類学』と呼ばれることになる本がそれである。同時代の人類学を貫く概念的緊張を特徴づけることが、その目的となるはずであった。しかしながら、タイトルを決めるとすぐに、問題が生じることとなった。私はすぐに、このプロジェクトが矛盾をひきおこすことに気がついた。つまり、下手をすれば、アンチ・ナルシスという主題の秀逸さにはるかにみあわない虚勢のようなものしか書けないことに気づいたのである。
  
 こうして私は、この書物をフィクションの作品、あるいはみえない作品――その最良の解説者はボルヘスであった――にしようと決めた。多くの場合それは、眼にみえる書物そのものよりも、ずっと興味深い。というのも、優れた盲目の読者による解説を読みながらそれを理解することができるからだ。その本を書くというよりは、まるで他人がそれを書いたかのようにして、その本について書いたほうが的を射ていることがわかったのである。本書『食人の形而上学』は、したがって、『アンチ・ナルシス』と名づけられたもう一つの書物についての紹介である。その本は、何度もずっと構想されてきたのだが、とうとう世にでることはなかった――正確にいえば、以下の頁のいたるところにそれは現れているのかもしれないが。
  
 『アンチ・ナルシス』の主要な目的――私の専門分野のいい方をすれば「民族誌的」現在――は、つぎの問いに答えることにある。人類学が研究対象とする民族にとって、概念的に人類学といえるものは何であるべきか? こうした問いの含意は、真逆の問いについて考えてみれば、おそらくさらにはっきりするだろう。人類学理論の内部にある相違や変動は、おもに(もっぱら歴史‐批判的な観点から)人類学者が属している社会形態、イデオロギー論争、知的世界、学問的なコンテクストの構造や局面によって説明されるのだろうか。それが唯一の妥当な仮説だろうか。人類学理論によって導入されるもっとも興味深い概念、問い、実体、エージェントが、説明しようとする社会(あるいは民族、集合体)の想像力にその源泉をみいだしていることを示すような、パースペクティヴの転換をすることはできないだろうか。人類学の揺るぎないオリジナリティはそこにあるのではないだろうか。「主体」の世界と「客体」の世界からうみだされる概念と実践のあいだの縁組――つねに多義的であるが、しばしば多産的でもある――にこそ、人類学のオリジナリティはあるのではないだろうか。」(本書の冒頭より引用)
   

版元から一言

「人類学は本当に力を失ってしまったのだろうか。とりわけ哲学に対する、あるいは哲学というヨーロッパ的な知に内側から抵抗する力強いあり方をなくしてしまったのだろうか。実はそんなことはない。エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロという、ブラジル・リオデジャネイロの人類学者、英語圏にも仏語圏にも属さず、またかつては人類学の的探求の象徴であったアマゾンの国から出現した人類学者の存在は、あらためて人類学の理論についての可能性を開いている…。[中略]ではわれわれ日本は、どうして人類学のこの状況においついていけなかったのだろうか。[中略]では日本は? ジュリアンの中国ともさらに異なる日本は? それに答えるのはもはやカストロではなくわれわれであるだろう。」(訳者解説より引用)

著者プロフィール

エドゥアルド・ヴィヴェイロス・デ・カストロ  (エドゥアルド ヴィヴェイロス デ カストロ)  (

1951年、ブラジル・リオデジャネイロ生まれ。アマゾンの先住民アラウェテの社会を研究する文化人類学者、民族誌学者。リオデジャネイロ連邦大学ブラジル国立博物館教授。社会科学高等研究院、シカゴ大学、ケンブリッジ大学などでも教鞭をとる。
著書として、The Relative Native: Essays on Indigenous Conceptual Worlds (University of Chicago Press, 2015), The Inconstancy of the Indian Soul: The Encounter of Catholics and Cannibals in 16-century Brazil, (Prickly Paradigm Press, 2011), From the Enemy's Point of View: Humanity and Divinity in an Amazonian Society, (University of Chicago Press, 1992) など多数。
人類学と哲学のあいだを横断し、アメリカ先住民のパースペクティヴ主義や多自然主義といった概念に依拠しながら、野心的な研究をつづける。いまやもっともよく知られる人類学者の一人であり、その知的インパクトは、ブラジルはもとより、英語圏、フランス語圏、そして日本においても、人類学という分野を超えて、ますます広がりつつある。

檜垣 立哉  (ヒガキ タツヤ)  (

1964― 現代フランス哲学、日本哲学、生命論を専門とする。博士(文学)。大阪大学大学院人間科学研究科教授。
著書として、『ベルクソンの哲学』(勁草書房、2000年)、『ドゥルーズ』(日本放送出版協会、2002年)、『西田幾多郎の生命哲学』(講談社学術文庫、2005年)、『賭博/偶然の哲学』(河出書房新社、2008年)、『ドゥルーズ入門』(ちくま新書、2009年)、『フーコー講義』(河出書房新社、2010年)、『瞬間と永遠』(岩波書店、2010年)、『ヴィータ・テクニカ生命と技術の哲学』(青土社、2012年)、『子供の哲学』(講談社、2012年)、『日本哲学原論序説』(人文書院、2015年)など。

山崎 吾郎  (ヤマザキ ゴロウ)  (

1978― 文化人類学を専門とする。博士(人間科学)。大阪大学未来戦略機構特任准教授。
著書として、『臓器移植の人類学 ―― 身体の贈与と情動の経済』(世界思想社、2015年)、論文として「意識障害をめぐる部分的な経験 ―― 療養型病院における生の人類学」(『思想』No.1087、岩波書店、2014年)、From cure to governance: the biopolitical scene after the brain death controversy in Japan (East Asian Science, Technology and Society: An International Journal 7(2), 2013)など。共訳書として、ニコラス・ローズ『生そのものの政治学――二十一世紀の生物医学、権力、主体性』(法政大学出版局、2014年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。