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文化国家と「文化的生存配慮」 秋野 有紀(著/文) - 美学出版
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文化国家と「文化的生存配慮」 (ブンカコッカトブンカテキセイゾンハイリョ) ドイツにおける文化政策の理論的基盤とミュージアムの役割 (ドイツニオケルブンカセイサクノリロンテキキバントミュージアムノヤクワリ)

歴史・地理
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発行:美学出版
A5判
縦216mm 横151mm 厚さ33mm
408ページ
定価 3,518円+税
ISBN
978-4-902078-54-1   COPY
ISBN 13
9784902078541   COPY
ISBN 10h
4-902078-54-6   COPY
ISBN 10
4902078546   COPY
出版者記号
902078   COPY
Cコード
C3030  
3:専門 0:単行本 30:社会科学総記
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2019年2月28日
書店発売日
登録日
2019年3月1日
最終更新日
2019年3月4日
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紹介

芸術文化の領域にも押し寄せる市場自由化の波。
ドイツの国民国家成立期から現代までを視野に、法、概念、理論をめぐる議論をひもとき、「文化的生存配慮」の理論的基盤をとらえ、
今日の公的文化政策の中核とミュージアム像を考察する。

[主要目次]

序 章 公共文化施設の必要性と存在理由をめぐる今日の議論
 一 国際的な研究の文脈における二つの潮流とその背景
 二 ドイツにおける文化政策理論化の出発点 ──公的文化政策が自明ではない国
 三 鍵概念としての「文化的生存配慮」
 四 本書の構成と史資料

第一部 ドイツにおける文化政策の野心と苦悩

第一章 ドイツ連邦共和国基本法改正案に見る「文化国家」と「生存配慮」
 一 第二〇b条新設という勧告
 二 文化諮問委員会設置の背景と目的
 三 勧告の主旨 ──公的文化政策の明文化
 四 「文化的生存配慮」の意図

第二章 ドイツにおける文化政策の起源
 一 現在の議論の位置
 二 一九世紀の文化国家論
 三 ステイトの語源 ──集権性への志向
 四 国民国家運動と文化国家論
 五 ヴァイマル憲法 ──芸術振興についての議論と意図
 六 ドイツ国の文化政策構想
 七 フォルストホフの「生存配慮」理論

第三章 「文化国家」と「生存配慮」──戦後の理論的克服
 一 克服の前提
 二 現代の「生存配慮」の限定的性格 ──要請される「中核」の定義
 三 欧州の一般利益サービス論
 四 今日の「文化的生存配慮」の性質

第二部 民主社会の基盤としての自治体文化政策とミュージアム

第四章 「万人のための文化」の登場 ──芸術振興から住民のための文化政策へ
 一 基礎的自治体による「文化国家」の解体 ──「新しい文化政策」の登場
 二 万人のための文化 ──二つの意図
 三  文化局の外での意見の集約

第五章 ドイツにおける「ミュージアムの危機」
 一 「新しい文化政策」の聖地でミュージアム?
 二 西ドイツの「ミュージアムの危機」

第六章 「万人のための文化」を可視化するミュージアムの河畔の成立とその意図
 一 ミュージアム論争 ──討議への意欲
 二 ミュージアム発展計画 ──媒介への期待
 三 第一市長の期待 ──都市の表象への野心
 四 ミュージアム集積地帯
 五 政策根拠
 六 拮抗する三つの期待 ──ミュージアムの河畔の成立

第七章 ミュージアム政策の課題と未来 ──公的助成と市場自由化の二極化の克服
 一 「お楽しみ社会」の登場
 二 ミュージアムと媒介
 三 討議的ミュージアム ──実践編
 四 政策上の課題
 五 プロジェクト支援 ──展示と媒介を支える基金
 六 循環する資金

終 章 
 一 文化的生存配慮
 二 文化を媒介項とした対話の理念
 三 自律性の高い文化と対話的な人格形成の理念
 四 ドイツの文化政策 ──民主社会を支える生命線の一つとして

目次

序 章 公共文化施設の必要性と存在理由をめぐる今日の議論
 一 国際的な研究の文脈における二つの潮流とその背景
  1 日本での議論の特徴
 二 ドイツにおける文化政策理論化の出発点 ──公的文化政策が自明ではない国
  1 ナチ時代克服のための権限配分の工夫 ──「文化連邦主義」
  2 「文化概念の民主化」による批判と積極的ミュージアム整備の非親和性
 三 鍵概念としての「文化的生存配慮」
  1 ドイツの研究における主要な議論の現在位置
 四 本書の構成と史資料

第一部 ドイツにおける文化政策の野心と苦悩

第一章 ドイツ連邦共和国基本法改正案に見る「文化国家」と「生存配慮」
 一 第二〇b条新設という勧告
 二 文化諮問委員会設置の背景と目的
 三 勧告の主旨 ──公的文化政策の明文化
  1 国家目標と「文化国家」
   (1)国家目標における「国家」の範囲と効力
   (2)「文化国家」から「国家目標としての文化」へ
 四 「文化的生存配慮」の意図

第二章 ドイツにおける文化政策の起源
 一 現在の議論の位置
  1 「文化国家」の一般的な用法
  2 諮問委員会が「文化国家」を採用しなかった二つの背景
   (1)フーバーの文化国家論
   (2)一九世紀以降の闘争的な文化国家論
 二 一九世紀の文化国家論
  1 大学人たちの教育国家論
  2 初期文化国家論 ──フンボルトとフィヒテの文教国論
 三 ステイトの語源 ──集権性への志向
 四 国民国家運動と文化国家論
  1 芸術文化を中心とした「文化国家」
   (1)第一期 一八一〇年代―一八五〇年代
   (2)第二期 一八六○年代―一八七〇年代初頭
   (3)第三期 一八七〇年初頭―一九二〇年代
  2 「文化国家」についての小括
 五 ヴァイマル憲法 ──芸術振興についての議論と意図
  1 起草時の関心
  2 芸術の自由
  3 自由の意味
 六 ドイツ国の文化政策構想
 七 フォルストホフの「生存配慮」理論

第三章 「文化国家」と「生存配慮」 ──戦後の理論的克服
 一 克服の前提
  1 ボン基本法における基本権の優位
  2 芸術に対する極めて強い「留保なしの自由」の保障
 二 現代の「生存配慮」の限定的性格 ──要請される「中核」の定義
  1 社会国家の原則
  2 自由と社会正義の均衡
  3 個人に委ねられた民主政治の形成と「生存配慮」
 三 欧州の一般利益サービス論
 四 今日の「文化的生存配慮」の性質

第二部 民主社会の基盤としての自治体文化政策とミュージアム

第四章 「万人のための文化」の登場 ──芸術振興から住民のための文化政策へ
 一 基礎的自治体による「文化国家」の解体 ──「新しい文化政策」の登場
  1 対話の媒介項としての文化
  2 住民の文化への権利
  3 文化政策は「社会的な政策」 ─―旧い生存配慮の見直し
 二 万人のための文化 ─―二つの意図
  1 広くとらえた文化概念 ─―第一の意図
   (1)コミュナール・キーノ
   (2)ムゾン・トゥルム
  2 文化を提議/定義する主体 ─―第二の意図
   (1)多様性と多数決
   (2)公共文化政治/政策
 三  文化局の外での意見の集約

第五章 ドイツにおける「ミュージアムの危機」
 一 「新しい文化政策」の聖地でミュージアム?
  1 ミュージアムの河畔
  2 ホフマンの就任演説
  3 主体の転換
 二 西ドイツの「ミュージアムの危機」
  1 「知識の伝達」の工夫
  2 ミュージアムと学校教育を結びつける制度の登場

第六章 「万人のための文化」を可視化するミュージアムの河畔の成立とその意図
 一 ミュージアム論争 ──討議への意欲
  1 市立歴史博物館
  2 政治的なミュージアム
 二 ミュージアム発展計画 ──媒介への期待
   1 「対話」へと導く教授法とミュージアムの「社交性」
   2 より広い「媒介の仕事」
 三 第一市長の期待 ──都市の表象への野心
 四 ミュージアム集積地帯
  1 市民イニシアティヴが与えたヒント
 五 政策根拠
  1  初期市民文化の自由と平等
   (1)芸術の自律と有産市民の登場
   (2)有産市民と芸術文化 ──平等で開かれた自律領域
   (3)市政と市民との結束 ──なぜ自治体政策を信頼するのか
  2 潜在性の可視化
 六 拮抗する三つの期待 ──ミュージアムの河畔の成立
 補足 ──ミュージアムの河畔の成立

第七章 ミュージアム政策の課題と未来 ──公的助成と市場自由化の二極化の克服
 一 「お楽しみ社会」の登場
  1 統一不況
 二 ミュージアムと媒介
  1 今日的な二つの定義
  2 討議的なミュージアム
 三 討議的ミュージアム―実践編
  1 ディスコ化するミュージアム?
  2 集まる/集める
  3 語る ──物語の発見
   (1)自分で視る勇気
   (2)新聞で伝える
 四 政策上の課題
  1 接近する理論と実践 ──政策理念とミュージアムの現場実践の接近
  2 不十分な人件費 ──政策理念と政策実践の乖離
  3 予算の傾斜配分
 五 プロジェクト支援 ──展示と媒介を支える基金
  1 ミュージアム活性化基金
  2 ミュージアム協働基金
   (1)教育・媒介活動への重点的支援
 六 循環する資金


終 章 
 一 文化的生存配慮
  1 多様性 ──広くとらえる文化概念
  2 複数性 ──地域的な文化の多彩さの発見と尊重
  3 専門的な人員の適切な整備 ──「文化生活基盤」の意味内容の構築
  4 成熟した民主政治の土壌としての文化領域の理解 ──理念的中核と事業
 二 文化を媒介項とした対話の理念
 三 自律性の高い文化と対話的な人格形成の理念
 四 ドイツの文化政策 ──民主社会を支える生命線の一つとして


あとがき
関連年表
参考文献一覧
索引

著者プロフィール

秋野 有紀  (アキノ ユキ)  (著/文

秋野 有紀 (あきの ゆき)
2010年ヒルデスハイム大学(文化政策研究所)、東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程修了。Dr. phil.
日本学術振興会特別研究員、獨協大学外国語学部ドイツ語学科専任講師を経て、現在、獨協大学外国語学部ドイツ語学科准教授。文化庁「諸外国における文化政策等の比較調査研究事業」会議委員。
主著に『地域主権の国 ドイツの文化政策―人格の自由な発展と地域創生のために』(共編著)美学出版、2017年、「ドイツの公共文化政策に見る国家と文化の接近―首相府文化国務大臣の設置と基本法改正をめぐる議論を中心として」日本ドイツ学会『ドイツ研究』第52号、2018年、Die Kulturpolitik Japans am Wendepunkt, Fachzeitschrift Kulturpolitische Mitteilungen, Heft 161, II/2018.

上記内容は本書刊行時のものです。