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地域の基層と表層 八戸地域から考える 木鎌 耕一郎 加来 聡伸(編) - イー・ピックス
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地域の基層と表層 八戸地域から考える

A5判
縦210mm 横148mm 厚さ15mm
重さ 390g
280ページ
並製
価格 1,800円+税
ISBN
978-4-901602-69-3
Cコード
C0060
一般 単行本 産業総記
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2020年3月
書店発売日
登録日
2020年4月9日
最終更新日
2020年4月10日
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紹介

八戸地域をフィールドにした学際的な地域研究。
八戸地域の産業、生活、福祉、食、宗教、政治等に顕現する諸事象(表層)の根底に存在し、その基礎を形づくっている構造的ないしは史的な基盤(基層)を、人文系、社会科学系、自然科学系の諸専門領域から洗い出し、新しい視点から八戸地域の特性を重層的、複層的に浮かび上がらせた仕事。
10人の著者の共著で、10人がそれぞれの分野で八戸地域を研究した成果をまとめたものです。

目次

地域の基層と表層  八戸地域から考える

はじめに

目 次

第1章 人々の暮らし
 第1節 戦後八戸市経済の展開    田中 哲
 第2節 八戸市で暮らす自立的な高齢者に対する調査研究―高齢者のプロダクティブ・
     アクティビティとその関連要因―    小柳 達也

第2章 漁業と流通の諸相
 第1節 地域における水産物流通消費の変化の実相 
     ―八戸地区の昭和40~50年代の考察―    中居 裕
 第2節 鮫地区の沿岸漁業と漁家の食生活   久保 宣子・加来 聡伸
 第3節 三八地方の行商 ―女性行商人の活動を通して―    堤 静子
 第4節 地域ブランド化をめぐる「地域」概念と商品設計   中川 雄二

第3章 研究課題の多様性
 第1節 奥州菊を作った男たち   橋本 修
第2節 八戸のハリストス正教徒パウェル源晟  木鎌耕一郎
 第3節 八戸地域研究の系譜 髙橋 俊行

おわりに

執筆者紹介

奥付

前書きなど

はじめに
 本書が目指しているのは、八戸地域をフィールドにした「学際的な地域研究」である。本書に掲載された諸論考は、八戸地域の産業、生活、福祉、食、宗教、政治等に顕現する諸事象(表層)の根底に存在し、その基礎を形づくっている構造的ないしは史的な基盤(基層)を、人文系、社会科学系、自然科学系の諸専門領域から洗い出そうとしている。
「地域」という対象は、まことに広範な領域である。地域に暮らす人々は、生身の人間たちから構成されており、当然ながら複合的で偶発的な側面をもっている。さらに、気候や風土、周辺地域や中央との関係性など、さまざまな要因が人々の暮らしや思想を彩ることになる。このような複雑な対象を研究しようとするとき、一本のメスだけで切り込むことはとうていできない。おのずと地域研究は、さまざまな学問領域にまたがる視点が必要となってくる。したがって、本書が企図する専門的な諸学問による「学際的な地域研究」は、斬新な発想ではなく、研究対象によって求められているごく自然な手法である。
 本来であれば、地域に関する諸課題について諸学問の専門家が研究会などを通して多様な視点から議論を深めた上で、論文をまとめていくことが理想的である。残念ながら諸々の制約があって、本書に収めた論考はそのようなプロセスを経ることはできなかった。とはいえ、特定の地域について、常にまとまった数の複数の専門分野の研究者が目を向けているとは限らない。その意味で、今回、八戸地域の様々な事象に「おもしろさ」を見いだした、出身も専門も異なる複数のメンバーがつながりあい、その研究成果を収めることができた本書の存在は、ひとつの奇跡である。本書が、さらに多くの領域の研究者たちによって八戸地域研究が進展するための「呼び水」になることを願いたい。

 以下に、本書の構成についてごく簡単に紹介する。
 第一部「人々の暮らし」の「第1節 戦後八戸市経済の展開」は、全国的な地域開発計画「全国総合開発計画」の展開と八戸市総合計画による地域づくり構想の展開を追いながら、戦後期における八戸経済を整理している。「第2節 八戸市で暮らす自立的な高齢者に対する調査研究」では、社会福祉学の分野から「プロダクティブ・アクティビティ」と自立的高齢者の関係に着目した調査結果を報告したもので、八戸地域の高齢者対策に重要な提言を行っている。
 第二部「漁業と流通の諸相」では、八戸地域の伝統的基幹産業の一つである水産業について扱っている。「第1節 地域における水産物流通消費の変化の実相」では、八戸地域の水産物の地域における流通と消費のあり方が昭和40 年代から50 年代にかけて大きな転換期にあったことを、データをもとに裏づけている。水産業が近代化する陰で、これまで顧みられなった伝統的な沿岸漁業に可能性を見いだしたのが「第2節 鮫地区の沿岸漁業と漁家の海藻食」である。鮫浦地区における漁業の固有性や食生活を紹介している。「第3節 三八地方の行商」は、「いさばのかっちゃ」の姿で知られるかつての女性行商人の実態を各種の調査から掘り起こしたものであり、これもまた新しい着眼点と言える。また、地域活性化を考える上で「ブランディング」はホットな用語である。「第4節 地域ブランド化をめぐる「地域」概念と商品設計」では、地域ブランド化の対象となる商品に係る「地域」概念の整理を行い、「ポートフォリオ」という概念を用いて、地域資産をベースとした地域ブランド商品の設計の方法と課題を整理している。
 第三部「研究課題の多様性」の「第1節 奥州菊に魅せられたひとびと」は、南部地方で常食される食用菊の歴史を扱っている。これほど詳細に奥州菊について検証した論考は他にないであろう。「第2節 八戸のハリストス正教徒パウェル源晟」では、明治初期という比較的早い時期に八戸で宣教したハリストス正教(ロシア正教)を取り上げる。最初期の信徒が、政界のリーダーとして手腕を発揮しながら、時代の流れの中で受難に陥った様子を跡づけている。最後の「第3節 八戸地域の産業研究の系譜」は、先人たちの地域研究の動向を整理したものであり、八戸地域研究の未来のために貴重な情報源となろう。
 本書は、これまでにない新しい視点から八戸地域の特性を重層的、複層的に浮かび上がらせることで、これまで積み重ねられてきた八戸地域研究の諸成果に、新たな知見や研究の視点を加えることができたと考えている。読者の皆様には、関心のあるタイトルから自由に読み進んでいただき、忌憚のないご意見を賜ることができれば幸いである。
 本書の出版は、「平成31年度学校法人光星学院のイノベーションプログラム(基金)」による助成を受けて実現した。関係諸氏、とりわけ本書の完成が助成年度を越えることに理解をいただき、便宜を図って下さった八戸学院大学事務局に深謝申し上げる。
2020年3月

 編者/木鎌 耕一郎
    加来 聡伸

著者プロフィール

木鎌 耕一郎 加来 聡伸  (キカマコウ イチロウ カクアキノブ)  (

木鎌 耕一郎
1969年神奈川県生まれ。南山大学文学部哲学科卒業。同文学研究科神学専攻博士前期課程修了。八戸学院大学助手等を経て、現在、神戸松蔭女子学院大学人間科学部教授。著書に『津軽のマリア 川村郁』(聖母の騎士社)、『青森 キリスト者の残像』(イー・ピックス)がある。
加来 聡伸
1981年大阪府生まれ。東京農業大学生物産業学部産業経営学科卒業。同大生物産業学専攻博士後期課程修了。現在、八戸学院大学地域経営学部准教授。博士(経営学)。主な業績に『流域林業活性化と森林認証制度の課題』(共著、大成印刷)、『戦後林業政策における転換点と地域林業の再生―オホーツク地域を中心として―』(博士論文)がある。

田中 哲  (タナカ アキラ)  (

1956年静岡県浜松市生まれ。法政大学経済学部、明治大学大学院商学研究科商学専攻博士前期課程を経て、同博士後期課程単位取得。1987年より八戸大学商学部専任講師、助教授を経て、現在、八戸学院大学地域経営学部教授。主著に野中郁江等編著『日本のリーディングカンパニーを分析する4』(唯学書房、2007年)、八戸市史編纂委員会編『新編八戸市史 通史編Ⅲ 近現代』(八戸市、2014年)等がある。

小柳 達也  (オヤナギ タツヤ)  (

1983年新潟県生まれ。日本社会事業大学大学院福祉マネジメント研究科及び岩手県立大学大学院社会福祉学研究科博士後期課程を修了。現在、八戸学院大学健康医療学部准教授及び岩手県立大学客員准教授。博士(社会福祉学)。近著に『社会福祉概論〔第4版〕:現代社会と福祉』(共著、勁草書房)、『産学官連携 その実践と拡大に向けて』(共著、和泉出版)、Advanced Management Science and Its Applications(共著、Izumi Publishing Co. Ltd)、Applied Management Information Systems(同)等がある。

中居 裕  (ナカイ ユタカ)  (

1948年八戸市生まれ。北海道大学卒業。政治経済研究所、北海道大学、水産大学校、下関市立大学、東京水産大学、東京海洋大学(海洋工学部)、八戸学院大学を経て、東京海洋大学名誉教授。博士(学術)。主な著書に『水産物市場と産地の機能展開』(成山堂書店)、『産地と経済―水産加工業の研究―』(連合出版)、『市場と安全―水産物流通、卸売市場の再編及び食の安全―』(共著、連合出版)がある。

久保 宣子  (クボ ノリコ)  (

八戸市生まれ。放送大学大学院文化科学研究科生活健康科学専攻修了(学術修士)。看護師。医療現場での実務経験を経て、現在、八戸学院大学健康医療学部看護学科助教として看護学教育・研究に携っている。今回、生活者の立場から八戸地域の食文化に焦点を当てた研究プロジェクトに参加することになり、「漁家の海藻食」について執筆を担当した。

加来 聡伸  (カク アキノブ)  (

1981年大阪府生まれ。東京農業大学生物産業学部産業経営学科卒業。同大生物産業学専攻博士後期課程修了。現在、八戸学院大学地域経営学部准教授。博士(経営学)。主な業績に『流域林業活性化と森林認証制度の課題』(共著、大成印刷)、『戦後林業政策における転換点と地域林業の再生―オホーツク地域を中心として―』(博士論文)がある。

堤 静子  (ツツミ シズコ)  (

青森県生まれ。青森公立大学大学院経営経済学研究科博士後期課程修了。博士(経営経済学)。八戸学院大学短期大学部を経て、2018年から八戸学院大学地域経営学部准教授。主な業績に「少子化要因としての未婚化・晩婚化」(国立社会保障・人口問題研究所編『季刊 社会保障研究』第47巻第2号)、「完結出生力と日本の女子労働市場」(共著、『青森公立大学経営経済学研究』第11巻第2号)がある。

中川 雄二  (ナカガワ ユウジ)  (

1961年熊本県生まれ。大阪外国語大学(現、大阪大学)卒業。広島大学大学院博士後期課程退学。広島県立大学、東京水産大学を経て、現在、東京海洋大学大学院教授。博士(経済学)。主な著書に『近代ロシア農業政策史研究』(お茶の水書房)、『地域ブランドの戦略と管理』(共著、農文協)、『市場と安全―水産物流通、卸売市場の再編及び食の安全―』(共著、連合出版)がある。

橋本 修  (ハシモト オサム)  (

1958年八戸市生まれ。東京経済大学色川大吉ゼミナールで日本近代史を学ぶ。現在、株式会社香月園専務取締役、八戸菊研究会会員。2018年に弘前大学人文社会科学部渡辺真理子研究室と「八戸菊」について共同研究し、同年、成果報告会「八戸菊の世界」にて報告した。2019年に『菊作方覚書』を出版。

木鎌 耕一郎  (キカマ コウイチロウ)  (

1969年神奈川県生まれ。南山大学文学部哲学科卒業。同文学研究科神学専攻博士前期課程修了。八戸学院大学助手等を経て、現在、神戸松蔭女子学院大学人間科学部教授。著書に『津軽のマリア 川村郁』(聖母の騎士社)、『青森 キリスト者の残像』(イー・ピックス)がある。

髙橋 俊行  (タカハシ トシユキ)  (

1946年八戸市生まれ。立教大学経済学部卒業。八戸信用金庫理事兼営業地区本部長、はちしん地域経済研究所所長、八戸短期大学教授、八戸大学総合研究所副所長、弘前大学客員教授を経て、現在、八戸地域社会研究会会長。八戸で最初に月例産業経済の調査や四半期毎の景気動向調査を実施。主な著書に「八戸観光開発プラン」(八戸商工会議所)、『八戸漁連30年史』(共著、八戸漁連)、『きたおうう人物伝』(共著、デーリー東北新聞社)、『信用金庫60年史』(共著、全国信用金庫協会)等がある。

上記内容は本書刊行時のものです。