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命は慈しみの光
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2019年11月1日
- 書店発売日
- 2019年11月25日
- 登録日
- 2019年11月14日
- 最終更新日
- 2020年5月27日
紹介
この本の元になる原稿は、カトリックの出版物を出しているオリエンス宗教研究所が子ども向けに発行している『こじか』から、「生きるとはなにか?」「死とはなにか?」などをテーマに子ども向けに書いてほしいと依頼され、10回シリーズで『こじか』に掲載したものです。この内容は、子どもだけではなく大人にも読んでほしいと考え、読者層を広げ編集したものです。
少子高齢化が急速に進み、日本人の2人に1人がガンになる時代、病とどのように向き合うか、老いとどう向き合うか、そして自身の死とどう向き合うかは、社会全体のテーマであると言えます。
著者は、少年期の親友の死や、医者になってからの自ら病との葛藤を通して、家族愛の大切さや、病人と接する看護・介護現場や職場の同僚の接し方が大切だと自ら経験してきました。
さらには、緩和医療の現場での医師としての様々な体験、そして被災地・陸前高田での地域医療への献身などの体験の中から紡ぎ出された言葉は、「生・老・病・死」といった、人としていつかは向き合うテーマを子どもにも大人にも優しく解きほぐしてくれます。
親と子が共に読む本としても、看護や介護の現場にいる人にもぜひ読んで頂きたい1冊です。
目次
[1] わたしの病気と 新しいいのち
[2] わたしが医者になったわけ
[3] 病気の人の 言葉に 耳をかたむける
[4] 病気の人の からだをみる
[5] 病気の人の からだに ふれる
[6] おみまいのときに 注意すること
[7] 生きるとは なにか?
[8] 死とは なにか?
[9] 世界の病院を見学して
[10] あたらしく生まれた わたし
[11] わたしに与えられた使命
前書きなど
「生きるとはなにか?」「死とはなにか?」など、この本の目次にあるようなタイトルで、子ども向けに文章を書いてくれませんかと頼まれました。とてもむずかしい内容なので、はたしてこのようなタイトルの文章が書けるかどうか不安でした。教科書のような文章では子どもたちの心に届かないだろうと考え、失敗したこともふくめ自分が経験したことを包み隠さず書いてみようと思い、自分が歩んできた道を振りかえりたどってみることにしました。
みなさんは「~のために、がんばってみよう!」と思ったことはありますか?
わたしは小学校のときに、サッカークラブに入って寒い冬も練習をがんばりました。サッカーがうまくなるためです。中学校では数学の参考書の問題を毎日かかさず3問ずつ解きました。数学ができるようになるためです。高校では塾に通い、高校卒業後も予備校に通って毎日夜遅くまで勉強しました。お医者さんになりたいと思ったからです。
いろいろなことをがんばるのは、「こうなりたいから」など目的があり、思いや理由があるのです。それでは「なぜ、こうなりたいと思ったの?」と聞かれたら、なんと答えますか?
歩んできた道をさらにたどってみると、その前の目的があり、思いや理由、あるいは出来事があったのではないでしょうか。「こんな経験をした」「出会いがあった」「アドバイスしてもらった」などかもしれません。そうやって「なぜ?」をくりかえしていくと、みなさんが今まで歩んできた人生をさかのぼることになるのです。
わたしは今、岩手県陸前高田市にある診療所で働いています。医者がいなくて困っている町の役にたつために、がんばってみようと思ったからです。それでは「なぜ、そう思うようになったの?」と聞かれたら、2つの素晴らしい出会いがあったからと答えます。
一つは、わたしが今いる診療所で以前働いたことのある先生との出会いです。なぜその先生に出会うことになったかというと、全国から病院長が集まる研修会の講師として講演したからです。研修会にその先生が岩手県から来ていました。
もう一つは、大学の同じ部活動の20年先輩で、わたしが尊敬している先生との出会いです。その先生が、岩手県沿岸北部の無医村の診療所で働くことになったのです。今から37年前のことですが、その診療所で先生が働いている姿をどうしても見たいと思い、千葉県からバイクをとばして会いに行きました。30年以上も宝箱にしまったままでしたが、わたしの地域医療への思いがよみがえってきました。
しかし、この2つの出会いと被災地への思いだけで、陸前高田に向かう決心をしたのではありません。実は、つらい出来事に巻きこまれ失意の中にいた時に見えた道でもあるのです。喜びだけでなく苦しみもあり、山あり谷ありだからこそ見えてきた道〝光〟なのかもしれません。
ただ、いつかは被災地のためになりたいという思いをずっと持ち続けていました。わたしが歩んできた道は曲がりくねっていましたが、「この道を 進んでいこう」という思いはぶれず真っ直ぐでした。私は弱い人間で、心はいつも揺れ動いていますが、真っ直ぐな道(=路)のように思いがぶれなかったのは、自分の力だけでなく、見えない力もあったからだと思います。
わたしが歩んできた道をたどりながら子どもたちのために書いた10回シリーズの文章が成長して、被災地での思いも書き加え、被災地で本になることをうれしく思い、とても不思議な縁を感じます。この本が、子どもたちだけでなく、医療・介護にたずさわる人、苦しみの中にいる家族・友人にどう関われば良いか悩んでいる人に、少しでも力になれば幸いです。
一つひとつのタイトルの文章を読んでも良いですが、一度は必ず、全体を通して読んでください。わたしの歩んできた道は、途切れることなく続いているものですから・・・。
版元から一言
少年期の親友の死、医者になってからの自らの病と家族の愛、緩和医療の現場での様々な体験、そして被災地・陸前高田での地域医療への献身。
それらの体験の中から紡ぎ出された言葉は、「生・老・病・死」といった、人としていつかは向き合うテーマを 優しく解きほぐしてくれます。
親と子が共に読む本としても、看護や介護の現場にいる人たちにもぜひ読んで頂きたい「絵本し立て」の本です。
※ 本文には全ての漢字にルビを振り、小学校の中学年以上であれば自分の力で読むことが出来ます。
一つのテーマが6ページで構成されており、平易な表現とイラストや写真、そして「ご家族の皆さまへ」というメッセージが添えられておりこどもと共に、命や死そして幸せな生き方を考えることができるようになっています。
上記内容は本書刊行時のものです。