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ケセン語訳新約聖書【ヨハネによる福音書 】
- 出版社在庫情報
- 絶版
- 初版年月日
- 2004年5月20日
- 書店発売日
- 2004年5月20日
- 登録日
- 2016年6月9日
- 最終更新日
- 2019年6月29日
紹介
自分のふるさとの言葉でふるさとの仲間にイエス・キリストの福音を語りたい。子供の頃からの夢をわたしはいま実行に移します。
私は岩手県気仙(けせん)地方に育ちました。この地方ではイエスはヤソと呼ばれています。その教えは江戸時代にはキリシタン邪宗門として忌み嫌われ、第二次世界大戦終結までは国賊として警戒されました。私はそような雰囲気の中で育ち、そのためにつらい目にも遭いました。でも、それはわたしの大好きなふるさとの人々が、ヤソのすばらしさも、彼の魅力も知らないからです。
わたしはふるさとの仲間にわたしの敬愛するヤソのことを伝えたいと心から願ってきました。でも、かれのことを書いた書物「聖書」は、われわれからは遠く離れた東京の言葉、標準語で書いてあります。われわれはこれを読んで、頭ではひととおりの理解はできますが、残念ながら、それは腹の奥まではとどきません。 われわれ気仙衆にとってケセン語(気仙地方のことば)こそが、ヤソの言葉をわれわれの腹の奥までも響かせる力強いことばです。なんとかしてわれわれのことばに聖書を翻訳したい。これがわたしの幼いころからの夢でした。(序より抜粋)
版元から一言
ケセン語で聖書を著わすために、山浦さんは先ず「字」を創った。さらには、文法を体系化し「ケセン語の文法書」を書き上げた。
次に、「ケセン語の辞典」を著した。3万4千語の堂々たる大辞典だ。ケセン語の聖書をつくるという壮大な夢のために、山浦さんはまず「インフラづくり」を徹底的にやったのだ。そしてこのときすでに60歳。夢を抱いてから45年近くの歳月が流れていた。
しかし、そこからがまたすごい。全く習ったことのないギリシア語を独学で学び聖書を原典から訳しあげたのだ。聖書の原典はギリシア語で書かれている。日本語の聖書からケセン語に訳したのでは「翻訳のねじれ」が生じるため正確に訳すことができないと考えたのだ。
こうして訳された本に、著者自らの朗読CDを付け、ケセン語訳聖書の第1巻「マタイによる福音書」が出版されたのが2002年11月。以来、NHK教育テレビ「こころの時代」に取り上げられ、また朝日新聞や毎日新聞などの書評欄でも取り上げられ全国的に話題となった。
2004年4月までに「マタイ」「マルコ」「ルカ」「ヨハネ」と半年おきに4巻の福音書を出版し、2004年4月28日にバチカンにおいて教皇ヨハネ・パウロ二世に謁見。著者自らケセン語訳聖書を献呈する栄誉を得た。
この仕事は、キリスト教が真に日本の地に土着化するための画期的な仕事となったばかりではなく、方言を用いた文学の最高峰として、日本の文化史の金字塔となる仕事であるとわたしは考えている。
関連リンク
http://inazo.jp/
上記内容は本書刊行時のものです。