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安曇野の産業遺産 北野 進(著/文) - アグネ技術センター
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安曇野の産業遺産 技術史展望

工業・工学
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A5判
縦216mm 横154mm 厚さ17mm
218ページ
定価 2,500円+税
ISBN
978-4-901496-97-1   COPY
ISBN 13
9784901496971   COPY
ISBN 10h
4-901496-97-2   COPY
ISBN 10
4901496972   COPY
出版者記号
901496   COPY
 
Cコード
C0058
一般 単行本 その他の工業
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2019年7月10日
書店発売日
登録日
2019年5月24日
最終更新日
2019年7月5日
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紹介

本書は、信州をフィールドとして、産業遺産の発掘・保存にも深く関わってきた著者が、郷土から忘れられているすぐれた技術文化に光を当てるべく、2007年に近代文藝社から出版した『安曇野の近代化遺産―技術史再考―』を改題し、アグネ技術センターから刊行するもの。
第一章「安曇野と拾ヶ堰」では、江戸時代の文化13年(1816)に、灌漑用水路・拾ヶ堰を造った人々を取り上げている。北アルプスの山麓に広がる安曇野が、長野県を代表する穀倉地帯・米どころになったのは、今から200年以上前に、大自然の中に人工的に組み込まれた灌漑用水路・拾ヶ堰の恩恵によるものである。著者は、今に伝わる貴重な史料・古文書を丹念に紐解き、日本疎水百選にも選ばれた拾ヶ堰が、地元農民によって計画され、松本藩を動かして造られた史実を明らかにしている。
第二章「御時計師・渡辺虎松と和時計」では、江戸時代に機械時計をつくった松本藩御時計師渡辺虎松の仕事について、現存する渡辺虎松銘の三つの時計の細部の説明も交えて記述している。和時計とは、明治時代以前に発達した日本独特の時計で、珍しい文字盤や歯車仕掛けをもった機械時計のことである。著者は、和時計の歯車仕掛けの技術的蓄積が次の時代の発明につながっていったと説いている。
第三章「臥雲辰致とガラ紡機の発明」では、堀金村(現安曇野市)出身で、独創的な紡績機械「ガラ紡機」を発明した臥雲辰致のすぐれた業績にふれる。引き出した糸を回転させながら撚りをかける西洋式紡績機械に対して、臥雲辰致のガラ紡機は、原料の綿に回転を与えながら引き出された糸に撚りをかけていくのが特徴である。この微妙な違いが、一筋の綿糸に目に見えない質の違いを与えて、柔らかな構造の糸、和紡糸を紡ぎ出した。長野県、愛知県を中心に各地に広まり、日本の近代産業発展の一助となった「ガラ紡機」は、西洋式機紡績機械の発達とともに衰退したが、地球と人にやさしい「和布」として、近年再び注目されている。
第四章「安曇最初の電気・宮城発電所」では、明治37年(1904)に創設された安曇電気株式会社宮城発電所(現 中部電力・中房川宮城第一発電所)を取り上げる。そこでは、1903年に設置されたドイツ製造の水車VOITHと発電機SIEMENSが日本の現役最古として現在でも稼動している。
第五章「高瀬川電力開発と森矗昶」では、大正十二年(一九二三)の夏以来、高瀬川第二、第三、第四、第五発電所を二年半の間に建設した東信電気株式会社の建設部長・森矗昶(のぶてる、のちの昭和電工社長)の業績を記述する。高瀬川発電所の電気エネルギーこそ、大町にアルミニウム精錬を根づかせ、「アルミニウム発祥の地」を支え続けることになった。
五つのテーマ・史実に限定した本書は、「安曇野の産業遺産」と銘打ってはいるが、安曇野にとどまらず、日本全体の技術史を展望する一冊である。

目次

まえがき

第一章 安曇野と拾ヶ堰
 日本疎水百選の拾ヶ堰/拾ヶ堰とは/「拾ヶ堰」の計画から完成まで/保存されていた古文書・計測器・測量図面/測量技術の背景と真相/松本藩の測量術/民間の測量術/拾ヶ堰の記念碑/史料保存のために

第二章 御時計師・渡辺虎松と和時計
 渡辺虎松と和時計/真光寺に顕彰碑と墓/和時計の特徴/現存する三つの和時計/時計技術遺産をめぐって

第三章 臥雲辰致とガラ紡機の発明
 臥雲の故郷・安曇野を訪ねて/天保十三年のころ/少年時代の栄弥/発明の出発点/仏門に入り智栄となる/出直す「臥雲辰致」/再燃した発明の背景/独自の道を書いてく/松本の連綿社で製造/第一回内国勧業博覧会/出品された綿紡機械/鳳紋褒賞を受賞/世界に誇れる「紡ぐ」アイデア/ガラ紡機の原理と構造/優れた自動制御/技術の再評価を/コンピュータ制御と比較して/明治十一年・天覧のこと/松本の連綿社の盛衰/第二回内国勧業博覧会/幻のガラ紡機と藍綬褒章/明治二十年前後/特許出願のころ/「特許証」第七五二号をめぐって/第三階内国勧業博覧会の出品/豊田佐吉の発明に影響/晩年に向けて/「がうんときむね」でなければ/なぜ間違ったか

第四章 安曇最初の電気・宮城発電所
 中房川の宮城発電所と横澤本衛/ヘルマン・ケスレルと野口遵など/光る銘板1903/宮城発電所の水路工事など/安曇電気の経営/電力を求めた土橋長兵衛/亀長電気工場/産学連携をめぐって/独学の発明家/中房川渓谷とウエストン/ウエストンのこと/有明山と神社など(ウエストンの記録から)/なぜ現役最古の水車と発電機か/私の研究作法「カン、カラ、コ、モ、デ、ケ、ア」

第五章 高瀬川電力開発と森
 高瀬川電力開発の以前/藤森龍麿と日本銀製造/明治水力電気を東信電気が吸収合併/藤森龍麿と森矗昶との出会い/高瀬川第二から第五発電所/大正から昭和へ/大町エネルギー博物館の回転変流儀/自立技術の国産化へ/昭和肥料と森矗昶/大町で国産初のアルミニウム/アルミニウム製錬に尽力した人びと/藤森龍麿をめぐって/「電気の原料化」を推進した昭和電工/森矗昶の故郷・房総/信州・佐久から大町へ

 あとがき
 事項索引

著者プロフィール

北野 進  (キタノ ススム)  (著/文

昭和5 年(1930)長野県に生まれる。
旧制・長野県立屋代中学校(現・屋代高校)を経て、昭和26 年(1951)東京工業専
門学校(現・千葉大学工学部)機械科卒業。
昭和33 年以来、長野県の高校に勤務、池田工業高校長を経て岩村田高校長を最後に
平成3 年3 月末退職。長年の研究と著述を継続、技術史研究家、赤十字史研究家。
平成30 年(2018)瑞宝小綬章を受章。

上記内容は本書刊行時のものです。