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「愛国」としての「反日」~奇形の軍民関係を正す~
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 書店発売日
- 2022年3月24日
- 登録日
- 2022年2月16日
- 最終更新日
- 2024年11月1日
受賞情報
第五回アパ日本再興大賞 優秀賞受賞
書評掲載情報
2022-06-05 |
産經新聞
朝刊 評者: 福田逸(明治大学名誉教授) |
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紹介
藤井聡(京都大学大学院教授)、浜崎洋介(文芸批評家)推薦!
「自衛官に栄誉を与えんがための小幡氏の日本独立戦
――日本人よ、参戦せよ!」(藤井聡)
「この『新人』を見よ!
――反時代的な『本気』の姿がここにある。」(浜崎洋介)
「自衛隊は本当に戦える『軍隊』なのか!? 国民は戦う気概を持っているのか!?」
今日の日本人に欠如した思想、荒廃した精神を鋭く指摘した、元自衛官の著者が放つ「魂の書」。
一読すれば、我々は沈黙し覚醒するに違いない。
目次
序
第一章 日本を愛するその前に
第一節 現代日本に思うこと――偽善の王国はいつか滅びる
蟻の話/我々は本音を売り渡した/偽善の殿堂たる自衛隊へ
第二節 日本における〝分断〟
逃れられない二元論/繰り返されてきた常道
第三節 世論の分断が招くもの
相雷同して一生を終る者/国民は常に判断を誤ってきた/大目的なきが故の過ち
第四節 政治の機能不全がもたらした矛盾
自衛隊に戦う意志はない/戦いと本気/うぶで迂闊な日本人
第五節 我々の弱さが楽観と敗北とを育てる
生存競争から落伍した日本人/恐怖に耐えかねて生じる根拠なき楽観
第六節 今、為すべきことは何か
腐敗する組織の前に無力な良心/日本人の思想的弱さ/永遠なるものに帰順せよ/
日本人には恃むべき基軸がない/目的こそ力/痛みを痛みとして感ずること/
独立への熱願が日本を覚醒させる
第二章 "敗北の民族"
第一節 人は〝顔〟に出る
軍人ほど姿と内実が一致する人種はない/新たに位置を与うべき存在
第二節 日本における軍人の扱い
世間知らずの厄介者/うわべだけの支持が育てるもの
第三節 低い地位に置かれた軍人のとる姿
欲望の追求のみがはけ口となる/国民も軍の暴走と無関係ではない
第四節 地位の低い軍隊で生ずること
空疎な大言壮語/蔓延する自己陶酔/日本民族の病疾
第五節 日本軍の「自棄(ヤケ)」
あの戦争に確固たる目的などなかった/場当たり的な方策が招いた破綻
第六節 日本民族が「自棄」になるまで
現実を見ようとしないことが招く敗北/危機に目を塞ぐ日本人/
〝員数主義〟に蝕まれた日本軍/「そんなこと言ったってしようがないでしょう」
第七節 何故日本民族は「自棄」に至る道をとらざるを得ないのか
荒廃した精神土壌/無秩序な暴力的支配という帰結/露呈した思想の欠如/
欺瞞的な〝タテ〟の共同性/虚構に生きた日本人の姿
第八節 反省とは何であろうか
敗北の因子は我々の内に脈々と生きている/日本軍に足りなかった〝精神〟
第九節 同胞、日本民族に思う
行く当てのない日本丸/絶望の果てに現れる希望/日本人の歩むべき道/「民族の活動」
第三章 軍事を解さず、位置付けられないこと
第一節 日本に軍隊は存在し得るか
日本における人間の在処/自衛隊、この奇妙な存在/日本に軍隊は存在し得るか
第二節 もののふの有り様
日本における軍事の所在/米軍人の話/もののふの有り様
第三節 大衆の戦争としての二次大戦
大衆の軍隊/大衆が辿りついた決戦場としての二次大戦/
大衆は何を仕損じ、何を成し遂げたか/大衆性を如何に処すべきか
第四節 自衛官とは何者か
国民の無関心~みなしご自衛隊/自衛隊の中の国民~鉄砲を持たされる者たちの姿/
国民の変質と自衛隊~兵の劣化/志操の優れた者から去っていく/
国民と自衛隊~率いる者の姿/歪な建前への従順さはこの国の危機を育てる/
人間と軍隊~戦争と軍隊は異なる/軍隊は国民に他ならず/
〝生きたい〟と〝死にたくない〟/不道徳な日本人/暴力排除と国民の共犯関係/
自衛隊が戦えるものか/我々の国は、私の国
第五節 きけ、さきもりのこえ
日本人の現在地/奇形の軍民関係を正せ/軍は名誉を以て遇せ/
日本国防の現在地を見定めよ
第六節 不義の子として生きて
人の嫌がる軍隊に、志願で出てくるバカもいる/自衛官、この不義の子ら/
不義の子である気後れが生むもの――らしさの喪失/兵を戦わせるもの/
不義の子が目指すものは/国民に訴える
小幡敏氏の武運を祈る 藤井聡(京都大学大学院教授)
あとがき
前書きなど
序
私たち日本人は本当に生きているのでしょうか。ひょっとすると、生きているというほどのことをしていないのではないか。生ける屍(しかばね)と言えば安っぽくなりますが、私は時折、日本人ががらんどうの人形のように見えて空恐ろしい気がします。
今に至る私の人生は、その疑いによって蔽(おお)われてきました。それは悪口でも嫌味でもありません。人は生きる以上、思考し、その振る舞いを生存目的のために律して行かねばならない。それ故に人は、家畜のような生活を人間の生き方とは認めたがらないものです。自分の生き方は自分で決めたい、それは誰しもが抱える欲求であるといってよいでしょう。
ところが、人間そう思い通りにゆくわけではない。好きな仕事に就ける人は限られておりますし、世間の男で女房子供に手を焼かぬ者も少ないでしょう。人生はまさに、ままならぬもの、私たちの心を乱すものとして立ちはだかるのが常といえます。
それでも私たちは、少しでも良い生き方を目指したい、我が子に恥じない生き方がしたい、そう願います。日本人には今でもそれだけの良心と矜持がある、私はそう信じます。
ですが、これが社会に目を向けるとどうでしょう。いったい、日本人はより良い生のために努力していると言えるのか、それは甚だ疑問であると言わざるを得ません。一昨年来続く感染症騒ぎを見てもそうです。思いやりと良識は、すっかり鳴りを潜めました。道徳などを持ち出そうものなら、薄ら寒いと笑われるでしょう。あまりにも無能な政府と、それを軽蔑するだけの無責任な国民、それがこの令和日本の等身大の姿ではありませんか。
(中略)
私たち日本人が今あらゆる局面で経験している惨めな無能さ、真空といってよいほどに空虚な政治、貧乏くさい拝金主義が蔓延る社会、衰えた道徳心、そしてそれらを加速するしか他に選択肢を持たぬ我々の精神的空白と思想的貧困、その事実に向き合わねば、日本に再び陽が昇ることはないでしょう。あらゆることに対して目的というものを持てず、内的な欲求すら現実に持ち寄ることを禁じ、どんな長期的展望も荒唐無稽な絵空事と見做して生きる現実感を喪った我々は、ただ場当たり的な対応を積み重ね、敗北の道をひたすらに歩み続けるに違いありません。
私は心より願います、現代を生きる日本人の真摯な反省に基づく、愛すべき日本と、愛す
べき日本人の回復を。
だからこそ私はこの本に希望を書いたつもりです。絶望の穴から這い出る手段は、壁を登るだけではありません。絶望のどん底を掘り進んだ先に安住の地が、救いの地平が開けるかもしれない。いや、あの青い鳥のように、我々の希望は意外なところにあるのでしょう。絶望の底のまた底に、希望は、真なる希望は芽生えるはずです。
我々は暗闇を進む勇気を持たねばなりません。この本がその一つのきっかけか助けになれば、これに勝る喜びはありません。一人でも多くの人が、共にこの道を歩いてくれることを、私は切に願っています。
上記内容は本書刊行時のものです。