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泡盛をめぐる沖縄の酒文化誌
- 初版年月日
- 2022年9月
- 書店発売日
- 2022年9月5日
- 登録日
- 2022年8月26日
- 最終更新日
- 2022年8月31日
紹介
同著者の『泡盛の文化誌』初版より18年の月日が流れ、泡盛業界も時代とともに変わってきた。
本書は琉球王国時代から続く泡盛の歴史と文化をさらに深く掘り下げ、近代の新聞広告資料などを参照しつつ、現在の泡盛酒造所の動向まで網羅した「泡盛学」の決定版。
泡盛以外の伝統的酒の数々(口かみ酒、神酒、味醂酒、芋酒、クース、花酒)、さらにカクテルやリキュール、ラム酒など新たな取り組みについても言及されている
*現在「泡盛」は「ユネスコ無形文化遺産登録」へ動き出している。
本書「はじめに」より抜粋
さて、私が泡盛について深く調査研究しようと思ったのは、一九九二年の沖縄県立博物館での展示会が契機であった。思えばもうだいぶん以前のことになってしまったが、その後二〇〇四年にボーダーインクから『泡盛の文化誌』を発刊した。泡盛を主とした歴史・文化を紹介した内容で、「泡盛について雑学的な本は数多く出ているが、これほどまでに幅広く奥深い本には初めて出会った。」とか「五〇〇年前の琉球王国にさかのぼるほどの、泡盛の奥深さを感じた。現代のビジネスモデルに生き残っていくしたたかさも感じた。」など好評な意見をいただいてきた。同書は二版・改訂新版と版を重ねてきたが、すでに一定の役割を果たしつつも絶版となっていた。
(中略)
本書は泡盛にまつわる歴史や文化史的なことがらを記述しつつも、ミキ(神酒)、芋酒や味醂酒、あるいは現代沖縄におけるカクテル、リキュール、ジン、ラム酒なども取り上げた。これらの現代沖縄の酒事情に関する内容については著者の守備範囲を大きく超えるものであるが、なおざりにはできないため、現代の様相は書き留めておきたいとの考えから事象を系統的にまとめておく形で書き綴ってみた。沖縄の様々な酒類に関して触れた書物が少ないため、本書が沖縄の名酒・泡盛をひもときつつ、沖縄の酒にまつわる歴史や文化に親しむきっかけになれば幸いである。
目次
●目次
はじめに
第一章 泡盛の由来と歴史
一、「泡盛」の特徴
二、「泡盛」名称の語源
三、「口噛み酒」と泡盛の誕生
四、蒸留酒の伝来ルート ―タイ(シャム)と中国(福建)
五、琉球王国における泡盛
六、近代以降の泡盛産業の成立と発展
●コラム 王国時代からの酒の分類
第二章 泡盛の生産地と酒造所の変遷
一、泡盛の生産地・首里三箇
二、宮古・八重山の新聞広告と酒造所
三、戦後首里から地方へ
四、中北部の酒造所の変遷
●コラム 南洋諸島の泡盛
第三章 泡盛の周辺
一、泡盛の原料米
二、泡盛銘柄・ラベルの誕生
三、泡盛ビン詰めのはじまりと容器
●コラム ブラジル生まれの泡盛
第四章 沖縄の伝統的酒文化
一、口噛み酒の習俗と伝来
二、神酒の様態と変遷
三、芋酒(ウムザキ)
四、歴史的記録にみる「味醂酒」
五、クース(古酒)の伝統
●コラム 芋酒(イムゲー)の復活
第五章 飲酒習慣と食文化
一、飲酒習慣の広がり
二、宮古のオトーリと飲酒の伝統作法
三、泡盛と食文化
四、近代沖縄における酒類広告と泡盛
第六章 現在の泡盛と酒類事情
一、泡盛酒造業業界の再編転機
二、泡盛の黒麹菌と酵母菌の様態変化
三、泡盛原料としてのタイ米vs県産米
四、泡盛のカクテル・リキュールと新酵母
五、沖縄の新たな島酒の潮流・ラム酒
六、泡盛としての花酒
七、時が育む泡盛―クース(古酒)の時代
●コラム 古酒づくり
終章 ユネスコ無形文化遺産と泡盛文化
●コラム 泡盛フレーバーホイール
資料編
泡盛の製造方法 /泡盛に関する年表 /泡盛酒造所一覧
上記内容は本書刊行時のものです。