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人新世の開発原論・農学原論
内発的発展とアグロエコロジー
- 初版年月日
- 2022年6月
- 書店発売日
- 2022年6月25日
- 登録日
- 2022年5月24日
- 最終更新日
- 2022年7月7日
紹介
人新世を生き続けるための二つの原論
人間の生存基盤という視点からの「農学原論」、「世直し」の主体としての人間の主体形 成論による「開発原論」、この二つの原論を北米、フランス、ネパール、モザンビーク、タンザニアなどでの経験をふまえ追及する!政策実践や運動論としての内発的発展論とは距離をおき、「土と人間」の視点から吟味する。
目次
序 章 二十一世紀の開発原論・農学原論について語れば
1 編者のなかにあり続けた問題意識
2 三十年前、一九九〇年代に考えていたこと
3 二〇二〇年代の今、考えていること
4 チヅ子先生のこと
5 原論としての開発、原論としての農学を思い出すために
6 本書のアグロエコロジー観
7 補足:内発的発展における中間領域と市民・民衆
8 最後に
第Ⅰ部 あの国、あの人たちは「遅れている」のか
第一章 モザンビーク農民の生活世界にみる性・生計・裁判
1 はじめに
2 調査地概要
3 能動的な性
4 リマオの住民の経済的多面性
5 裁判所にみる「伝統」と「近代」の混在
6 おわりに
第二章 ネパールの歴史都市とキー・パースンにみる内発的発展論
-カトマンズ盆地でのフィールドワークから-
1 はじめに
2 外側からの開発
3 カトマンズ盆地とネパールの歴史都市
4 都市と人々にみる内発的発展の諸事例
5 内発的発展の要件との照合とその考察
6 むすび
第Ⅱ部 農業・市場・社会
第三章 貧困軽減と食料安全保障の手段としての有機農業
-タンザニア・モロゴロ州での農家調査から-
1 はじめに
2 調査・解析手法
3 結果と考察
4 まとめ
第四章 日本の有機農業における贈与と脱商品化
1 はじめに
2 金子美登の事例
3 相原農場の事例
4 欲求の重要性について
5 むすび
コラム フランスのアグロエコロジーと有機農業
1 フランスにおける近年の有機農業の発展
2 成長戦略としてのアグロエコロジー
3 社会運動としてのアグロエコロジー
4 地域食料プロジェクトPAT
5 成長を越えて
第五章 農業と社会をつなぐ包摂の場-イタリアの社会的農業-
1 はじめに
2 社会的弱者を包摂する農業
3 ヨーロッパとイタリアの社会的農業
4 イタリアにおける社会的農業国法の成立
5 社会的農業に至る二つのルート
6 社会的農業組合
7 社会的農業の実践者像
8 むすび:マウロ・ガレヴィとは誰だったか
第Ⅲ部 内発的発展と食料主権
第六章 CSAの実践による越境する持続可能な社会形成
-イギリスとカナダの現地訪問から-
1 はじめに
2 英国におけるCOVID-19下のCSA訪問でみたこと、教えられたこと
3 過去のCSAおよび関連活動調査から考えたこと
4 CSAの実際から何が学べるか
第七章 「本当の幸せ」のための開発と発展を求めて
-タンザニア地域社会の主体性回復と内発的発展の試み-
1 はじめに
2 途上国への開発協力にみる近代化の功罪
3 タンザニアで試みてきたこと-地域社会の主体性の回復と内発的発展-
4 水俣、大分からの学び
5 日本人は大丈夫か
-人々の本当の幸せを実現するための「開発」と「発展」を求めて
第八章 時空を超えて越境する小さな農的連帯
-CSAとフェアトレードのパイオニアたち-
1 はじめに
2 トーマス・ライソンと『シビック・アグリカルチャー』
3 世界初のCSA、東京都世田谷区・大平農園と大平博四
4 農民教育と国際協力の父、中田正一
5 越境する協同組合運動とフェアトレード
6 むすび
終 章 人新世に再考する開発原論・農学原論
-内発的発展論と生命誌論を参考軸として-
1 改めて開発をめぐる世界の動向を見直す
2 内発的発展論を振り返る
3 農学原論・農本主義を振り返る
4 国際的に注目されるアグロエコロジーとその課題
5 内発的発展論と近代科学を結ぶ生命誌論
6 内発的発展論を組み込んだ新しい農学原論・開発原論の可能性
7 二〇五〇年に向けて考えていくこと
上記内容は本書刊行時のものです。