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二〇〇海里漁業戦争をいかに戦ったか
30人の証言。その時に
- 初版年月日
- 2020年3月
- 書店発売日
- 2020年3月10日
- 登録日
- 2020年1月30日
- 最終更新日
- 2020年3月30日
紹介
◎「海洋の時代」の幕開けと「水産ニッポン」に隠された裏面史
20世紀の海洋秩序を大きく変えた国連海洋法条約―これにより沿岸国による200海里水域の排他的権利の設定は、それまでの海洋利用の枠組みを根底から覆すものだった。最大級の影響を受けた日本漁業変遷の姿を、関係者の証言から浮き彫りにする。
目次
第1章 二〇〇海里時代の予兆と夜明け前まで
1 二〇〇海里時代の始まり-なかなかまとまらないとみていた
2 二〇〇海里時代前史-在米大使館時代の見聞-米国は五年前に根回しを始めた
第2章 国際的合意なき二〇〇海里強硬実施と国連海洋法条約交渉の推移
1 国連海洋法会議の前後を顧みて
2 海洋新時代の幕開け
第3章 米ソによる二〇〇海里突入を北洋漁業とまぐろ漁業の観点から俯瞰する
1 二〇〇海里時代の幕開け-北太平洋とベーリング海
2 海洋法とマグロをめぐる国際環境・外交力学
3 大西洋のクロマグロをめぐる資源・管理論争
4 ソ連二〇〇海里宣言による混乱と日本の輿論
第4章 ついに踏み出したわが国周辺二〇〇海里の施行
1 TAC法の制定に従事
2 二〇〇海里関連法の制定の背景と国会審議
3 対韓二〇〇海里実施と旧日韓漁業協定破棄
4 海外漁業協力財団の設立のこと-二〇〇海里時代の到来に備えて-
5 初めてのソ連漁船臨検
第5章 わが国の二〇〇海里実施後の隣国問題と公海の枠組みの取扱い
1 沿岸国主義を適用しない水域の操業に関する対韓・対中交渉を考える
2 断篇を綴りて北朝鮮を語る
3 一九九〇年代の公海漁業への取り組み(FAO「責任ある漁業のための行動規範」、FAO「公海漁業遵守協定」、国連公海漁業協定)
4 南極生物資源保存条約(CCAMLR)の作成過程について
第6章 二〇〇海里が施行されたための水産業界の苦悩、研究者の奮闘の実話
1 米国による二〇〇海里漁獲割当に翻弄された現場
(1)RC(北太平洋漁業管理委員会)の活動と日本業界の対応
(2)二〇〇海里施行前後の日トロ協事務局の動き(米国東岸を中心に)
(3)RC対策
(4)米国の戦略的政策からの教訓
(5)乗船体験と北洋漁業への米国の圧力
(6)そのとき 北転船の船長は
(7)漁労から買付への移行-シアトルでの一三年間
2 米国の対日底魚割当をレバレッジにした捕鯨禁止の深層
(1)調査を残し商業捕鯨の復活を図るための異議申し立ての撤回
(2)それしか策がなかった
3 英連邦国たるカナダ、ニュージーランドでの異なった入漁交渉スタイル
(1)日・加政府間協議と駐在事務所の役割および民間外交の展開
(2)日・ニュージーランド政府間協議と業界間会合への対応
4 世界中の国々との果てしなきマグロ入漁交渉の苦しみ
(1)二〇〇海里時代にみた夢
(2)二〇〇海里時代 あの激務の日々
(3)西アフリカ・丁稚旅
(4)二〇〇海里より厳しかった世界金融体制変革の荒波
(5)豪まぐろ漁獲枠の買収や漁場確保の偏重など
(6)国連・海洋法の発足前後:マグロ研究者の体験から
(7)環境保護運動の興隆と重なる二〇〇海里時代-CITES・IUCNに立ち向かった日々-
5 母川国主義の自縛を環境保護運動で追い込まれたさけ・ます漁業の終焉
(1)独航船主による最初で最後の鮭鱒母船出漁
(2)日ソ合弁企業「ピレンガ合同」の設立と終焉
第7章 歴史的視点を踏まえた二〇〇海里に関する一考察
1 一七世紀以来唱えられてきた自由海論が、なぜ急激に海の分割へと転換されたのか
2 第三次国連海洋法条約会議の場の土俵での戦い
3 「二〇〇海里戦争」の幕は落とされた-米国とソ連の二〇〇海里施行:心理戦と戦略性にたけた米国と泥縄式のソ連-
4 「二〇〇海里」または排他的経済水域の意味すること
終章 八二年国連海洋法条約はいかに成立したか
1 国連拡大海底平和利用委員会(七一~七五年)の動き
2 カラカス会議以後の展開
参考文献
資料=THE IMPLICATIONS OF ECONOMICS ZONES
上記内容は本書刊行時のものです。