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多元的共生社会が未来を開く 尾関 周二(著) - 農林統計出版
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多元的共生社会が未来を開く

A5判
縦210mm 横150mm 厚さ12mm
重さ 275g
184ページ
並製
定価 2,000円+税
ISBN
978-4-89732-330-5
Cコード
C0030
一般 単行本 社会科学総記
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2015年10月
書店発売日
登録日
2015年9月14日
最終更新日
2015年10月27日
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書評掲載情報

2015-11-20 週刊読書人
評者: 鈴木正=名古屋経済大学名誉教授・日本思想史選考

紹介

3・11以後の混迷する近現代文明の問題性を共生の視点から批判的に明らかにし、さらに人類史的視点から〈農〉の意義を改めて考察し、「共生の思想」とともに、近代文明の問題性とそれを超える新たな文明を展望する。日本の国のあり方、新たな文明をめざす多元的共生社会の構想を提起する。

目次

まえがき
第Ⅰ部 共生の思想と現代

はじめに

第1章〈共生〉を改めて考える
 1.共生の多元性
 2.共生理念の3タイプ
 3.共生をプロセスにおいて考える

第2章「共生」理解の深化―欧米の論争にふれつつ
 1.人間-人間関係における共生
  (1)文化的多元主義、多文化主義をめぐって
  (2)リベラリズムとコミュニタリアニズムの論争
  (3)親密圏における権利と共同性
 2. 人間-自然関係における共生―環境・エコロジー論争から考える―
  (1)人間-自然関係に関する「文化的フィルター」
  (2)現代の支配的な人間・自然観の相対化
  (3)近現代の人間・自然観の文化的フィルター
  (4)ディープ・エコロジーの問題提起
  (5)人間中心主義vs.自然中心主義の論争と〈共生〉の思想
(小括)欧米での論争と共生理念

第Ⅱ部 共生理念と〈農〉の思想

はじめに

第3章 共生理念と人間-自然関係のとらえ方
 1.共生実現のため自然への人間のかかわり方
  (1)自然へのコミュニケーション的態度
  (2)人間と自然の共生のための労働―「人間と自然の物質代謝」にふれて
 2.〈農〉と共生の思想
  (1)〈農〉と共生の思想
    1)〈農〉とは何か
    2)農業と文明
  (2)〈農〉と共生の思想家 安藤昌益

第4章 〈農〉と現代社会
 1.現代日本における〈農〉をめぐる絶望と希望の交錯
 2.近代文明と〈農〉のありよう
  (1)近代の工業的農業と地球環境問題
  (2)近代農業と文化・コミュニティの崩壊
  (3)TPPと「食システム」の危機
 3.工業化された農業から環境保全型の持続可能な農業へ
  (1)工業的農業と工業化社会からの転換
  (2)脱近代文明と持続可能な〈農〉の追求へ

第Ⅲ部 人類史・世界史の新たな視座の探求と共生概念の意義づけ

はじめに

第5章「人間と自然の物質代謝」の様式―環境史研究の成果にふれつつ
 1.環境史研究の視座の意義と課題
  (1)環境史研究の多様な成果と取り組むべき課題
  (2)「人間と自然の物質代謝」の〈様式〉の諸段階
 2. 人類の誕生と「農業革命」以前の先史時代
   1)700万年前、チンパンジーと別れて、人類(猿人)の誕生
    2) 200万年前、出アフリカ、世界各地へ
    3)25万年前、現生人類(ホモサピエンス)誕生
    4)5万年前、「意識のビッグバン」、現生人類の心性の形成
    5)1万数千年前、農耕と定住へ
  (小括)狩猟採集時代における「人間と自然の物質代謝」様式の転換

第6章 第一の人類史的転換―1万年前の「農業革命」と文明社会へ
 1.「農業革命」と文明の始まり
 2.国家の成立をめぐって
  (1)柄谷行人の交換史観について
  (2)国家の成立・存立の経済的根拠
  (3)国家成立の政治的・精神的基礎―ハーバマスの「正統な権力」にふれて
  (4)対外的交通関係からの国家の成立

第7章 第二の人類史的転換 近代文明社会へ
 1.第二の転換の意味と諸要素
  (1)科学革命、工業化、資本主義、国民国家
  (2)フランス革命の人類史的意義と思想家たち―平等主義の復活・深化
 2.資本主義「世界システム」と国民国家の成立
  (1)資本主義の形成と発展―世界システム論にふれつつ
  (2)近代国民国家の成立と変容

第Ⅳ部 近現代文明の危機と共生社会へ向けて

はじめに

第8章 3・11原発大震災が暴露した近現代文明の問題性
 1.原発と近現代文明の諸要素の負の諸側面
  (1)科学技術信仰の破綻
  (2)生態循環からの工業化社会の逸脱
  (3)国民国家の暴力性の露呈
  (4)農村の都市への従属関係
  (5)公共圏の形骸化
 2. 3・11は近代科学技術と自然観の転換を迫る
  (1)「自然の支配」から「自然との共生」へ
  (2)近代科学技術文明の極致としての原発
  (3)科学技術の生活世界への定位づけ
 3.国民国家と国際的公共圏の変容
  (1)原発と国民国家
  (2)グローバリゼーション、国民国家、国際的公共圏

第9章 多元的共生社会と新たな文明へ向けて
 1. 資本主義「世界システム」から新たな「世界システム」へ
  (1)「第三の世界システム」を構想する
  (2)人類の生存にかかわる世界的課題と解決の方向
  (3)グローバル資本主義の統制と国際連帯国家の形成へ向けて
  (4)成長主義社会から共生持続社会へ
 2.多元的共生社会と新たな文明の構想
  (1)資本主義システムからの漸次的脱出へ向けて
    1)〈農〉の復権、地産地消、自給的共同体の形成
    2)ディーセント・ワーク、ソーシャル・ビジネス、労働者協同組合
    3)ベーシック・インカム
   4)自己確証的な労働のあり方
  (2)工業化社会から農工共生社会への転換
  (3)大都市中心社会から農村都市共生社会へ
 3.人類の精神史における共生理念の意義と位置づけ
 
 注
 引用・参考文献
 あとがき 

著者プロフィール

尾関 周二  (オゼキ シュウジ)  (

東京農工大学名誉教授。共生社会システム学会会長。総合人間学会副会長。1947年、岐阜県生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程哲学専攻満期退学。社会学博士(一橋大学)。2012年まで東京農工大学大学院教授。

上記内容は本書刊行時のものです。