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「共生」を考える―希少種による農作物被害の現場から
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 書店発売日
- 2026年1月30日
- 登録日
- 2025年11月12日
- 最終更新日
- 2026年4月7日
目次
I.はじめに
II.アマミノクロウサギの農作物被害に関する情報
III.連載記事
a.連載を始めるにあたり
(河合渓:鹿児島大学国際島嶼教育研究センター奄美分室)
b.農作物被害増加の背景 -希少種保護の成功がもたらしたもの-
(鈴木真理子:環境省奄美群島国立公園管理事務所)
c.タンカン樹皮食害現地から(上)
d.タンカン樹皮食害現地から(下)
(大海昌平:果樹農家)
e.アマミノクロウサギ錯誤捕獲防止対策
(鹿児島県自然保護課)
f.徳之島における食害と真の共生
(大谷慧:環境省徳之島管理事務所)
g.共生に向けた“棲み分け”
(髙山耕二:鹿児島大学農学部)
h.農作物被害防止対策の取り組み
(鹿児島県大島支庁農林水産部農政普及課)
i.中核・若手果樹農家の意見
(徳島一蔵:奄美新聞記者)
j.連載の最後に
(河合渓:鹿児島大学国際島嶼教育研究センター奄美分室)
IV.アマミノクロウサギ農作物被害対策マニュアル(簡易版)
前書きなど
はじめに
近年、野生生物が人の生活圏に侵入し、人への危害や農作物被害、交通事故など、さまざまな問題を引き起こす事例が各地で報告されています。こうした野生生物と人との軋轢は、単なる被害対策の枠を超え、人間社会と自然環境の関係そのものを問い直す重要な課題となっています。特に南西諸島に位置する奄美群島では、独自の進化を遂げた固有種が多く生息しており、その保全と地域社会との共存が大きなテーマとして浮かび上がっています。
アマミノクロウサギをはじめとする希少種は、奄美の生物多様性を象徴する存在である一方で、農作物への食害など人間生活への影響も無視できなくなっています。かつて絶滅の危機に瀕していたこれらの種は、保全活動の成果によって個体数が回復しつつありますが、その結果として新たな摩擦が生じています。とくにタンカンやサトウキビなど地域を支える作物への被害は、農家の経済的損失だけでなく、保全への理解や地域の協働にも影響を及ぼしています。
奄美群島では、アマミノクロウサギ対策会議のメンバーを中心に、行政・研究者・地域住民が連携し、アマミノクロウサギによる被害の現状把握と対応策の検討を進めています。私たちは、アマミノクロウサギを含む奄美群島の希少種による農作物被害の現状を広く一般市民に伝えるために、奄美新聞において十回にわたる連載を行い、地域における課題と取り組みを紹介しました。本書はその内容を再構成し、さらに現場で活用できる対策マニュアルを加えたものです。
本書が、奄美群島における希少種と農業の共存に向けた理解と行動を広げ、豊かな自然と人の暮らしが「共生」する未来への一助となれば幸いです。
上記内容は本書刊行時のものです。
