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マイクロ水力発電と地域経営 萩野 誠(著/文 | 編集) - 北斗書房
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鹿児島大学大学院人文社会科学研究科地域経営研究センター叢書

マイクロ水力発電と地域経営 ―新しい地域再生の手段について―

発行:北斗書房
A5判
縦210mm 横148mm 厚さ3mm
52ページ
価格 600円+税
ISBN
978-4-89290-036-5
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2016年3月
書店発売日
登録日
2016年2月22日
最終更新日
2017年2月2日
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目次

-目 次-
1.はじめに
本当に小さな社会への一石:プロジェクトを代表して
   萩野 誠(鹿児島大学学術研究院法文教育学域 教授)

2.再生可能エネルギーと国土利用
   萩野 誠(鹿児島大学学術研究院法文教育学域 教授)
  再生可能エネルギーの2つの特徴
  電力としての再生可能エネルギー
  国土利用としての再生可能エネルギー
  マイクロ水力発電の可能性と近代化遺産

3.南九州水資源の可能性
   馬場 武(鹿児島大学学術研究院法文教育学域 講師)
  鹿児島県の電力需要
  鹿児島県の降水量にみる潜在的な水資源
4.循環型社会システムとしての水力発電(屋久島)
   市川 英孝(鹿児島大学学術研究院法文教育学域 准教授)
  屋久島での雨と水力発電
  屋久島での水力発電史
  屋久島での電力供給状況
  電気自動車普及の行方
  社会システム実現への課題
  社会システムとしての自然エネルギー電力の役割

5.マイクロ水力発電の設置条件と採算性
   岩川 直浩(テラル株式会社沖縄営業所所長)
  マイクロ水力発電実験の概要
  鹿児島市下田町「関吉の疎水溝」農業用水発電
  出水市高尾野町「本町ため池公園」農業用水発電
  霧島市溝辺町「きらく館」小型EVカー充電用水力発電
  各サイトの発電の詳細

6.コミュニティ・ビジネス支援システムとしてのマイクロ水力発電
   髙野 哲也(薩摩川内市役所)
   萩野 誠(鹿児島大学学術研究院法文教育学域 教授)
  コミュニティ・ビジネスとは
  竹子集落の事例と独占的競争条件
  竹子のコミュニティ・ビジネスの成立理論

7.マイクロ水力発電と住民問題
   西村 知(鹿児島大学学術研究院法文教育学域 教授)
  社会実験としてのマイクロ水力発電
  「都市近郊型」サイト:鹿児島市下田町
  霧島市溝辺町竹子地区の事例:遠隔地農業サイト
  マイクロ水力発電事業の条件:多様な主体の理解と協力

前書きなど

われわれのプロジェクトは当初より確固たる目的があったわけではない。2011年、第5章を担当した岩川氏が博士後期課程へ進学したいと研究室へあらわれたことから始まる。当時、岩川氏はテラル株式会社鹿児島営業所所長であり、自転車による環境経営というテーマをもっていたが、私は自転車の可能性より、本業のポンプで水力発電し、これを研究テーマにした方が面白いと半ば強引に研究テーマを切り替えたのである。岩川氏も半信半疑であったが、テラル社内技術報に小水力発電の研究レポートがあったことを見つけ、方向転換をしたのである。そもそも、私が逆転水車に着目したのは、小学生のときの経験にある。ラジオ少年だった私は扇風機や、模型のモータを逆転させて、発電させて楽しんでいた。また、例の黒部ダム建設の映画をみて、中学時代に第1次オイルショックを迎え、水力発電という自然エネルギーに関心を持ち続けていたわけである。
私と岩川氏との偶然の出会いが鹿児島大学人文社会科学研究科地域経営研究センターによるプロジェクトとなった。このプロジェクトの目的は文系でもどうにか理解できる小規模な水力発電、いわゆる、10kW以下のマイクロ水力発電の可能性を探ることにし、結果として中山間地域の活性化につなげるというものであった。ところが、あの不幸な東日本大震災がプロジェクト立ち上げ時に発生し、想像以上の世間の注目を集める結果となる。反原発運動の一貫として話題にされたこともあったが、われわれの目的はエネルギーの地産地消によって、中山間地域を優等地にし、都市の人口を周辺部に呼び戻すことであった。水量によって異なるが、いくつかの渓流では、電気自動車のバッテリーを一晩で満タンにできる発電量が試算された。住居の裏を流れるせせらぎで発電をし、ガソリン代がいらないならば、特定の中山間地域が居住場所の選択となる。
実際のプロジェクト現場から上がってきたものは、コンバータの認定問題等制度的な側面の問題が多々発生した。売電はマイクロ水力発電では無理であり、自家消費に切り替える必要がうまれる。そこで、社会実験サイトの1つである霧島市溝辺町竹子地区にある物産販売所の宅配サービスを企画し、電気自動車の導入と水力による充電システムを構築することで、コミュニティ・ビジネスとの結節点が生まれたのである。
この間、われわれは、鹿児島県内3箇所、鹿児島市下田地区、出水市溜池公園、霧島市溝辺町竹子地区の社会実験サイトを設置してきた。とくに、竹子地区のサイトは、共同執筆者の西村が三井住友財団から研究費を獲得して完成したものである。本書が小さくても比重の重い社会への一石となることを祈っている。
謝辞 本研究は地域の方々の御協力がなければ成立しませんでした。鹿児島市下田地区・八重山地区、出水市高尾野町、霧島市溝辺町竹子地区の住民の皆様、とくに自治会長をはじめとする地域のリーダーの方々には感謝申し上げます。また、鹿児島県、鹿児島市、出水市、霧島市には様々なアドバイスを受けたことも感謝いたします。さらに、三井住友財団からの研究費支援については竹子地区に対して利用させていただき、本研究をコミュニティ・ビジネスへと発展させる契機を与えていただきました。ありがとうございます。最後に、すべてのマイクロ水力発電の設置に全面的なご協力をいただいたテラル株式会社には心から感謝いたします。共同研究という採算を度外視した事業ではありましたが、多大なコストを負担していただきました。ありがとうございます。以上の多方面の方々のご支援に対して、本書の発行でお返しをしたいと考えております。

萩野誠(鹿児島大学学術研究院法文教育学域教授)

上記内容は本書刊行時のものです。