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森と水と島の話 吉井 厚志(著) - 中西出版
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森と水と島の話 (モリトミズトシマノハナシ) 天売島応援プロジェクトと達人たち (テウリトウオウエンプロジェクトトタツジンタチ)

社会一般
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発行:中西出版
四六判
縦188mm 横129mm 厚さ13mm
重さ 286g
237ページ
並製
定価 1,300円+税
ISBN
978-4-89115-422-6   COPY
ISBN 13
9784891154226   COPY
ISBN 10h
4-89115-422-5   COPY
ISBN 10
4891154225   COPY
出版者記号
89115   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2023年3月31日
書店発売日
登録日
2023年3月17日
最終更新日
2023年4月3日
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紹介

「天売島応援プロジェクト」の現在地点
森の整備×馬搬集材×製材×建築×植栽=??

今すべきこと、できることを明確にし、達人たちと力を合わせることから、まずは始めよう。
――応援といいながら、一番楽しんでいるのは、わたしたちなのだけれどね。

かつて水不足に悩まされた北海道の離島で、人々の手により復活した「水源の森」。
その植林から約半世紀が経ち、過密に育った森に手を入れる時が来た。
森への負担を最小限に抑え、間伐材を島内で生かす達人たちのワザをご覧あれ!

目次

はじめに

第1章 天売島と焼尻島の現地調査
1.1 離島を応援したい
1.2 離島の魅力と島民の方々
1.3 離島の森の現地調査
1.4 離島の森林整備と木材の活用
1.5 焼尻島のサフォーク牧場

第2章 森と水の話
2.1 森の状態と水資源
2.2 離島の治山事業による森林整備
2.3 森林と水と人の関係
2.4 目的と手段を取り違えるな

第3章 せっかくなら良い仕事を楽しく!
3.1 楽しい仕事を増やしたい
3.2 信頼で繋がる組織
3.3 変化を乗り越え、進化するマネジメント
3.4 仕事のぜい肉減らしましょうキャンペーン

第4章 島と海と森の話
4.1 天売小学校の授業
4.2 グイマツを伐採しミズナラを植える
4.3 ウニとコンブ
4.4 天売高校の「天売学」授業

第5章 森を整備して間伐材を利用する
5.1 育成木と伐採木の選定
5.2 馬搬による集材
5.3 可搬式製材機による製材
5.4 達人たちの建築
5.5 排水処理の工夫
5.6 新聞記事と保健所

第6章 群伐の衝撃
6.1 風倒木処理と群伐
6.2 豊平川河畔林伐採の経験
6.3 伐採に関わる島民説明会
6.4 森という不思議な存在

第7章 天売島応援プロジェクトのさらなる展開
7.1 プロジェクト体制の再構築
7.2 シーカヤック艇庫の建築
7.3 無立木地の植栽
7.4 森の整備、馬搬集材、製材、建築、植栽の流れ

参考文献
おわりに
謝辞

前書きなど

おわりに

 わたしは、どうしても「天売島応援プロジェクト」について、現在進行形の経緯をまとめて出版し、多くの方々に知ってもらいたかった。天売島の応援といいながら、一番楽しんで、元気づけられているのは、わたしたちプロジェクトメンバーなのだけれどね。
 天売島の美しい自然環境の中で汗を流して働いているだけで、とても幸せな気持になる。天売島の方々は優しくて、会うと必ず素敵な笑顔で挨拶をしてくれる。そして、夏場のウニを始め、美味しいものにも恵まれている。山わさびを添えたヤリイカの刺身、ムール貝より美味しく感じるムラサキイガイ、アワビのフルコース。ガヤの天丼も美味かったな。
 でも、せっかくの豊かな自然環境も、居心地の良い社会環境も、集落が存続しているからこそ、楽しめるものなんだ。だから、それを持続させるために、できることから応援していこうと心に決めた。なんか、大げさで押しつけがましく、傲慢に聞こえるかもしれないけれど…。
 いずれにしろ、「天売島応援プロジェクト」という、本当にやりがいのある活動を続けることができて、わたしは満足している。毎年、天売島を訪れ、帰る頃には腰を痛めたり、疲労困憊したりしているが、また必ず行きたくなる。そんな風に思える活動は、珍しいかもしれない。
 では、いったい「天売島応援プロジェクト」の魅力って何だろう?
 離島という限られた空間で、限られた森林資源を有効に活用し、持続できる仕組みを作って、地域のためになる仕事だから? 森を整備するための伐採と植栽、馬搬による集材、可搬式製材機による製材、その材を用いた建築まで一貫しているからかな?
 そして、四の五のいわずに、明確な目的の下に実践している充実感が、最も大事なのかもしれない。SDGsとか、循環型社会の構築、自然共生など、お題目を唱える前に、とにかく無理せず、無駄や間違いのない方向に一歩でも踏み出したい。少なくとも、今すべきこと、できることを現場で進めている満足感は何物にも替え難い。
 そもそも、日本の森林面積は国土の三分の二を占め、樹木は着実に成長している。森林の四割が人工林で、その半分が一般的な主伐期の五十年生を超えているという。日本の森林を守ってきた先達に感謝をする一方で、木材利用の七割を輸入に頼っているのは申し訳ないように思う。だから、国内の森を整備して、木材を活用していかなければならない。天売島の試みは、ほんのちっぽけな抗いに過ぎないけれど、とてもわかりやすいモデルでしょ。
 本書では、小難しい理屈よりも、「達人たち」の魅力に焦点を当てたつもりだ。いろいろな方面の達人が、人づてで集まり、それぞれのワザを持って活躍してくださっている。そして、その達人たちが、柔軟に楽しみながら作業を進めることで、プロジェクトが成り立っている。これを「組織」という言葉で表現するのはためらわれるけれど、微妙なバランスのもとに一体として協働している仲間なんだ。
 人口減少、高齢化、過疎による集落崩壊など、地方の状況を悲観的にみて、将来の希望を萎えさせる雰囲気が蔓延している。でもね、悲観からは何も生まれないんだ。今すべきこと、できることを目的として明確にし、それに向けて達人たちと力を合わせることから、まずは始めよう。地域で楽しみながら、少しでも良い方向を目指して、一歩ずつ努力していこう。
 そう、お楽しみはこれからだし、すべきことはたくさんある!

著者プロフィール

吉井 厚志  (ヨシイ アツシ)  (

みずみどり空間研究所主宰、農学博士。
株式会社ハタナカ昭和取締役副社長、萌州建設株式会社最高顧問・最高技術責任者。
1957年2月20日博多生まれ。札幌育ち。
1979年に北海道開発庁に採用され、2015年まで河川・砂防・海岸などの公共事業に関する業務や研究に携わる。1988年から1991年までESCAP/WMO台風委員会事務局(在マニラ)に派遣され、東アジアを巡り国際派を気取るようになった。また、通算10年間の研究所勤務の経験から、いっぱしの研究者を装うこともある。
著書に、北海道科学大学の岡村俊邦名誉教授との共著「緑の手づくり」(2015年、電子書籍)、「国土のゆとり」(2020年)、「海外好き公僕技官のビール紀行」(2021年)(いずれも中西出版)がある。

上記内容は本書刊行時のものです。