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ホメオパシーとヴィクトリア朝イギリスの医学
科学と非科学の境界
- 書店発売日
- 2019年7月3日
- 登録日
- 2019年4月19日
- 最終更新日
- 2019年6月29日
紹介
本書の目的は、現代の我々が知る科学としての医学の原型が確立されたと言われる一九世紀に、境界設定についてどのような議論が展開され、それが科学としての医学、すなわち科学的医学の形成にどのように影響したのかを考察することである。具体的には、ヴィクトリア朝イギリスにおけるホメオパシーの普及活動や、その真偽をめぐる論争を取り上げ、そこでの境界設定を通じて、科学的医学がどのように形成されようとしたのか、その歴史の一端を明らかにする。
目次
序論
第一節 科学と疑似科学の境界設定
第二節 異端医学の研究史
第三節 本書の構成
第一章 ホメオパシー、イギリスに来たる
第一節 医師は病気を治せない
第二節 ホメオパシーに惹かれる医師
第三節 ホメオパシーの組織化
第二章 ホメオパシーを排除せよ
第一節 「異端」の弾劾
第二節 「異端」の追放
第三節 レッセ・フェール国家と医学
第三章 競争なくして進歩なし
第一節 役に立てばそれでよし ―チャリティの活用
第二節 ホメオパシーからの挑戦状
第四章 ホメオパシーは商機
第一節 薬剤業の専門職化と医薬品産業の拡大
第二節 商人か専門職か?
第三節 ホメオパシーは儲かる
第五章 ホメオパシーを再構築する
第一節 薄めれば薄めるほど効く?
第二節 科学的治療とホメオパシー
第三節 顕彰されるハーネマン
第六章 治療を科学する
第一節 医学における「精密性」
第二節 正統医学によるホメオパシーの「剽窃」
第三節 治療のためなら議論も厭わず
第七章 医学に「正統」は存在しない
第一節 ディズレイリの死
第二節 医学における「正統」と「異端」
第三節 湧き起こる反セクト主義
第八章 医学の一派「アロパシー」
第一節 「アロパシー」の普及
第二節 いかなる「パシー」でもない・・・・
第三節 政治や宗教における「アロパシー」
結論
あとがき/注/図版出典一覧/文献目録/索引
上記内容は本書刊行時のものです。