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創作か 盗作か 原 朗(著/文) - 同時代社
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創作か 盗作か 「大東亜共栄圏」論をめぐって

発行:同時代社
四六判
価格 3,000円+税
ISBN
978-4-88683-870-4
Cコード
C0036
一般 単行本 社会
出版社在庫情報
在庫あり
書店発売日
登録日
2020年1月29日
最終更新日
2020年3月11日
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紹介

石井寛治氏(日本学士院会員・東京大学名誉教授)推薦
「情報革命が進み、知識の独創性の価値が高まるなかで、本書は知的作業の正常な進歩を破壊する巧妙な一大盗作事件を告発する。すなわち、親しく指導してくれた先輩の歴史研究の構想と成果を剽窃した者が、学界でその所業を暴露されると、逆に先輩を名誉毀損で訴え、原告の嘘を丸呑みした裁判官が訴えを認めたという学界・司法界に跨る不祥事の記録である。問題の要点を知りたい読者には被告の友人の意見書から読むことを勧めたい。」
〈二〇一三年七月一二日午前、私は一通の配達証明つき郵便を受けとった。――〉
それは、小林英夫氏(早稲田大学名誉教授)の『「大東亜共栄圏」の形成と崩壊』(1975年に刊行)は、それまで緊密に共同研究していた原朗氏の研究構想と研究成果を巧妙に剽窃した著作であった、という約45年前の出来事について、原朗氏(東京大学名誉教授)が言及したことから始まった。小林氏は、これらが自らの名誉を毀損するものであるとして、東京地方裁判所に訴訟を提起したのであった。本書はその6年にも及ぶ裁判の全記録である。

目次

Ⅰ 回想――三十代前半までの私の研究
 一 学問への私の旅立ち
 二 一九七四年度土地制度史学会大会共通論題報告
 三 小林英夫『「大東亜共栄圏」の形成と崩壊』の出現

Ⅱ 裁判に明け暮れた七十代後半
 一 原告小林英夫「訴状」の内容と争点
 二 被告原朗「陳述書」の内容
 三 「争点対照表」作成とその問題点

Ⅲ 四つの「意見書」
 一 松村高夫氏「意見書」全文(二〇一六年二月九日)
 二 堀和生氏「意見書」全文

Ⅳ 法廷に立たされて
 一 証拠調べ
 二 口頭陳述

Ⅴ 驚くべき東京地裁判決
 一 東京地方裁判所判決(二〇一九年一月二一日)
 二 東京地方裁判所判決批判
 三 原告剽窃行為新証拠の提出(二〇一九年五月一七日)

Ⅵ さらに驚くべき東京高裁判決
 一 東京高等裁判所判決(二〇一九年九月一八日)
 二 東京高等裁判所判決批判――最高裁判所への上告
 三 四十五年ぶりの回顧

むすび 学問と裁判――「学問の自由」と「学問の独立」
事件と裁判をめぐる略年表

前書きなど

 六年ほど前の二〇一三年七月一二日午前、私は一通の配達証明つき郵便を受けとった。封書に入っていたのは六月二七日付の「訴状」と「第一回口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状」、「答弁書」、そして「最初にお読みください」という書面である。「訴状」は私の昔の友人の名義で、私が名誉毀損をしたから「謝罪広告」や「損害賠償金」などを請求する、というものであった。呼出状は、二〇一三年七月二九日までに答弁書を提出すること、八月五日(月)午後一時五〇分に裁判所に出頭することを命じている。「答弁書」を記入しようとしても、書式が示されているだけで、六つの項目にどう記入したらよいのかも判らない。そういえば、趣旨や主張がよく判らない「催告書」なるものが二ヵ月ほど前の五月八日付で届いていたが、その言い分が理解に苦しむようなものだったし、事柄の性質上、実際に提訴されるとは思っていなかった。
 しかし実際に「訴状」を受け取ってみると、それは非常に大きな衝撃となって私に迫ってくる。「あなたが答弁書を提出せず、裁判手続が行われる日(期日)に欠席すると、訴状に記載された原告の言い分を認めたものとみなされ、欠席のまま判決されることがあります」という《注意》が記されている。
 「答弁書」の書き方すらわからないのだから、これは弁護士さんの力に頼るほかない。その日の午後、私は、話をよく聞いてくださるといわれる、ある法律事務所に身を移し、弁護士さんと向き合ってこの事件の弁護をお願いした。丁寧に、慎重に、相当長く考えられたのち、弁護を引き受けていただくことになった。
 その日以来の六年以上、私は「被告」としてこの裁判にずっとかかわってきた。その事情を最初に説明しておくことが必要だろう。
 直接のきっかけは、私の大学での「最終講義」などが名誉毀損にあたるとして、裁判所に提訴されたからだが、事の発端は今から四十五年も前にさかのぼる……」(「はしがき」より)

著者プロフィール

原 朗  (ハラ アキラ)  (著/文

1939年生まれ。歴史学者・経済学者。専門は近現代日本経済史。東京大学名誉教授。

上記内容は本書刊行時のものです。