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百回稽古
新装版
- 初版年月日
- 2011年6月
- 書店発売日
- 2011年6月30日
- 登録日
- 2022年1月24日
- 最終更新日
- 2022年1月25日
紹介
小川忠太郎範士の剣道は人間形成の剣道である。師と仰ぎ尊敬された持田盛二範士との「百回稽古」は、まさにそうした剣道の修行であった。範士は一回一回の稽古を記録することにより、己の足らざるを知り、向上の糧とした。
日誌はあくまで範士ご自身の修行のために書かれたものであり、本来公開すべきものではない。しかし、人間形成を目指された範士の剣道日誌は、そのまま前途有為な若者の指針として貴重な資料であると信じ、これを生かすべく、ご遺族のご了解を得、敢えて公開するものである。
(中略)
剣禅一如の修行を貫徹され未在未在と歩まれた小川範士のご生涯、その修行の足跡を辿らせていただきながら、ほんとうの剣道を修行しようという勇猛の士が一人でも多く現われることを願ってやまない。
(「編集にあたって」より)
目次
師弟のきずな(序にかえて)
編集にあたって
一、最後の稽古と思い、合掌の心で願うべし
・剣は打ち合いに非ず、命のやりとり也
・懸待一致でやれば丹田が円におさまる
・気と間で勝てば技は自ら生まるる也
・切先は寸時も住するべからず
・大正眼は天地一枚中段に帰って二分八分
・「心も身も直」とはここ也
・最後の稽古と思い、合掌の心で願うべし
二、大事なところは生死の間也
・打とうと思わず打たれまいと思わず、然も
・どの間に入っても突の気が切れれば負也
・近間は突き下げろという原理也
・龍尾返しの手の内にて入る
・大事なところは生死の間也
・生きんとすれば出られない
・拳攻めよりスッと中段上太刀に出る
・打たれるところは一念の生ずるところ
三、ここは技ではない、心也
・歯を噛み息を止める
・残心あれば二の技が生まれる
・ここは切らせて突き抜ける場也
・上からざっぷりあびるとも突き破って勝て
・修行は日常生活に在り
・不即不離の境界に入る
・ここは技では打てない
四、出発点は捨て身、到着点は相打ち也
・気位から出れば思わずして技は出る
・それは腹力の根本が破られぬから也
・三角矩の中心は腹腰と切先に存す
・正念の切れたところが隙となる也
・勝負のつくところの根本は気也
・出発点は捨て身、到着点は相打ち也
五、腰を伸ばす事、即ち座禅也
・からむ稽古はものにならぬとの教えはここ也
・左拳の位置で手の内の死、活が分かれる
・心を小さく使った為に後手となる
・間を見失うのは足腰が自在にならぬから也
・腰を伸ばすと身定まり切先生きる
・腰を伸ばす事、即ち座禅也
・打ち間に入ったら逃さぬ事だ
六、常の時と非常の時とそのこころを一にすべし
・常の時と非常の時とその心を一にすべし
・半信半疑で出した技はあたらぬ
・一足一刀ギリギリの間、達人はぐっと腰を伸ばす
・技は心から出るのだから気を練ることが大事
・剣道は破るところがなくてはいかぬ
・自分か苦しいときは相手も苦しいのだ
・技の起こる前に気の起こりが写る
七、真行草三つの間
・二回の掛け声は内虚の証也
・これがシンの立った稽古と言う
・気合は両足の親指の先端に置け
・真の間、勝敗の分かれは精神也
・真行草三つの間
・真の間に於て巻き返しの手の内にて対す
・審判は心也、自信也、之が根本也
八、ここを空と言う也
・技で打たれるのは気の切れた証拠である
・下手を使う時でも初太刀一本は必ず取る
・又一面ここに勝の場あり。之は相打ちの勝也
・無刀流切り落としは独立独歩の境界也
・ここを空と言う也
・遂に剣禅一致に至りたる也
・腹力と切先で乗る
・足の指先の気
九、切先の浮くのは心の浮く事、既に負也
・伸べ式の手の内は収穫也
・切先の浮くのは心の浮く事、既に負也
・緊張していて余裕を持つ事が大事
・勝敗の分岐点は正念の切れた所也
・本覚の切先と左拳の位置、この二つに自得ありたり
・左拳を少しくあげて構えると気満ち切先生きる
十、剣道の大敵は自己也
・相手が打とうとしたときウムームと入れ
・左転右転の足にて対峙する
・気が満ちないから機が見えぬ
・今後の修行はギリギリの間で気が先になっている事
・突きのない剣道は死んでいる
・満七十六歳十一か月、持田先生初太刀の双手突
・剣道の大敵は自己也
上記内容は本書刊行時のものです。