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写真でつづる森のお家と仲間たちの成長 笑顔をありがとう
家族と暮らす医療的ケアの必要な子どもたち
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2021年8月2日
- 書店発売日
- 2021年8月16日
- 登録日
- 2021年6月8日
- 最終更新日
- 2021年8月17日
紹介
2021年で3年目を迎えた滋賀県彦根市にある「森のお家」は、3つの事業所からなっています。①多機能型重障児者等デイサービス(ふぁみりぃ)、②訪問看護ステーション(ふれんず)、③障害児相談支援(ちゃれんじ)。本書は、医療的ケアが必要であっても、笑顔や元気いっぱいの『ふぁみりぃ』の仲間たちのありのままの姿を写真集にして、地域の学校や保育園に寄贈したいという思いではじまりました。そのためにクラウドファンディングにて資金を募り、400名を超える支援をいただきました。写真家・ジャーナリストの國森氏の手により、子どもたちの様子と一緒に周りのみんなが成長していく姿をカラー写真でとどめています。内容は、大きく2部に分かれ、前半では森のお家の中の様子を、後半ではそれぞれの自宅での家族との写真とメッセージのかたちで編集しています。
目次
はじめに
メッセージ
ありのままのふぁみりぃの章
成長するわが子への章
クラウドファンディングでご参加いただいた方
森のお家施設概要
あとがき
前書きなど
「ふぁみりぃ」に一歩足を踏み入れると、そこは圧倒的な生命力を感じる場だった。寝そべると、互いにほんの少し手を寄せ合うみほちゃんとしゅうちゃん。産休中の職員が連れた赤ちゃんをお腹に乗せて、目を細める順平さん。滴る汗をふこうとしてか、首を懸命に傾げる丞君。一心不乱に木琴の響きに身を委ねるほぅちゃん。チャンバラで駆け回るちはちゃんを這って追うようになった香澄ちゃん。たった一度だけ私も目撃できた太ちゃんの笑顔は、見た目は一センチ口角が上がっただけ。でも、大輪のひまわりを愛でるようにスタッフは大喜び! 職員と一緒にでんぐり返しでケッタケタ笑う天ちゃん。宙を視るゆきちゃんやカイラちゃんの瞳は……、苦しいのかな、嬉しいのかな。夏歩ちゃんがカメラに向けたまなざしは、写真の平面からすっと透き出て語りかける。「あなたの世界を見せて」、「私の世界に触れて」。誰かが通ると目で追い、何かを落とすと拾ってあげようと腕を震わせる、みんな。
みんな仲間。つながっていた。独りじゃない。友だちも、スタッフも、家族同士でもつながる。作用し合い、刺激し合い、それぞれの速度と深度で成長している。泣き、笑い、苦しみ、怒り、喜び、食べ、出し、起き、眠り……、今を大事に生きる。
ありのままの姿は、私にも生きる力を分け与えてくれた。全身で発する命のほとばしりを、感じ受けながらシャッターを切った。スタッフは「私が支えるのではなく、私自身がこの子たちに支えられている」と言う。一方的にケアされる存在ではない。相手をケアし、癒やし、元気にし、支え、教え、導くことのできる、与える存在だ。
撮影初日だったか、要ちゃんが私の膝の上にちょこんと腰かけた。毎朝みんなに「おはよお」と声をかけ、自分よりも小さな子の頭をなでてあげる女の子。母は言う。「とてつもなく辛いこともあるけれど、とてつもなく喜べることもたくさんあって刺激的」。わが子に感謝の気持ちでいっぱい、と。
身体が自由に動かなくとも、一点集中して生み出す音、色、舞、波……。私が見られないものをも見て、触れて、感じている気がする。世界の深みを知る才気。彼女ら彼らが暮らしやすく幸せを感じられる社会であれば、その家族も、そして誰もがみな生きやすい豊かな社会である、と私は思う。その逆も、然り。
そこに確かに在る圧倒的な生命力を、私の写真にどれほど写し込めているだろうか。すぐそばにこんなにも素敵な光を放つ仲間たちがいる。これは私の想いものせた、「ふぁみりぃ」の仲間の写真集。読者の心に光が届けば嬉しい。クラウドファンディングで参加頂いた人たちにも謝意を表したい。知って、見て、触れて、感じて、そして共鳴しながら、みんなで一緒に生きていきたい。この光は、世界を照らす希望の灯火になるだろう。
上記内容は本書刊行時のものです。