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近江路をめぐる石の旅 長 朔男(著) - サンライズ出版
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琵琶湖博物館ブックレット

近江路をめぐる石の旅

A5判
128ページ
並製
価格 1,500円+税
ISBN
978-4-88325-711-9
Cコード
C0344
一般 全集・双書 天文・地学
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2021年1月22日
書店発売日
登録日
2020年12月11日
最終更新日
2021年1月20日
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紹介

比叡山延暦寺の門前町・坂本や安土城をはじめとする城の石積み、高島硯や曲谷石臼、鉄道敷設工事などに大量に切り出された沖島の石、江戸時代の奇石収集家・木内石亭が記録した甲賀の貝化石や高島白石谷の水晶、石の軽い思重いで吉凶を占う山村神社の天神石、指1本で動く巨岩として東海道沿いの名物となった一指石……近江には古くから石積みや石の加工技術も育まれ、同時に石の風物や伝説が数多く生まれてきた。近江の旧街道をめぐりながら、太古の火山活動や人の営みが残した石の遺産を地学的な知見も交えて紹介。

目次

はじめに
紹介地地図
第1章 西近江路沿いの石 湖西地域
 1 坂本の石積み ─穴太衆が積んだ石垣─[大津市]
 2 守山石 ─京の庭に使われた独特な縞模様─[大津市]
 3 比良の青ガレの石 ─青白い石肌の流紋デイサイト─[大津市]
 4 木戸石 ─狛犬や灯籠に加工された花崗岩─[大津市]
 5 高嶋硯 ─明治・大正に最盛期を迎えたブランド品─[高島市]
 6 水晶・白石谷 ─花崗岩の白谷沿いにあった産地─[高島市]
第2章 北国脇往還沿いの石 湖北地域
 1 石灰礦(鉱)・石灰 ─江戸時代から使われる肥料や漆喰材料─[米原市]
 2 輭石・攫石・とじまめ石 ─国歌「君が代」に詠われる礫岩─[米原市]
 3 曲谷石臼 ─村の主産業だった製粉機─[米原市]
第3章 中山道・朝鮮人街道沿いの石 湖東地域
 1 石灰岩の石と化石 ─山で見つかる太古の海の生き物たち─[多賀町]
 2 馬淵の石工 ─江戸城の石垣積みにも活躍─[近江八幡市]
 3 沖島の切石 ─明治の近代化で用いられた建築資材─[近江八幡市]
 4 湖東流紋岩類 ─安土城石垣になった火山噴火の痕跡─[近江八幡市]
第4章 御代参街道沿いの石 湖東地域
 1 願掛石・乳地蔵 ─信仰を集めた二つの祠─[東近江市]
 2 布袋積み ─ご利益があるとされた愛知川河原の玉石─[東近江市]
 3 天竺石・阿育王塔 ─朝鮮半島起源ともされる三重石塔─[東近江市]
 4 接触変質地帯 ─マグマによる岩石の変成作用─[日野町]
 5 鎌掛の屏風岩 ─赤道付近の深海で生まれたまっすぐな縞模様─[日野町]
 6 土殷孽(高師小僧) ─地下水中の鉄分が植物の根に沈着─[日野町]
第5章 東海道沿いの石
①甲賀地域
 1 貝化石・植物化石 ─鈴鹿峠近くで見つかる海の生き物たち─[甲賀市]
 2 くいちがい石 ─横から力を受けてずれた礫岩─[甲賀市]
 3 古城山の菫青石 ─マグマで再び結晶した石─[甲賀市]
 4 貝石・介石・蚌化石・貝化石 ─現在生息する貝の先祖たち─[甲賀市]
 5 天神石 ─山村神社の占い石─[甲賀市]
 6 升石 ─野洲川の岩盤に彫られた取水量の目印─[湖南市]
 7 自然灰 ─灰になった大理石─[湖南市]
②湖南地域
 8 一指石(揺石・震巌) ─旅人にも知られた指1本で動く巨岩─[栗東市]
 9 石卵 ─花崗岩の風化によってできた奇岩怪石─[栗東市]
10 砥石 ─地名にもなった研磨用岩石─[栗東市]
11 願行寺了観コレクション ─庫裏の解体工事で発見─[草津市]
12 活人石 ─栗の木の化石と考えられた街道名物─[草津市]
13 木内石亭コレクション ─惜しくもほとんどは散逸─[草津市]
③大津地域
14 石山寺の石 ─地名・寺名の由来となった珪灰石─[大津市]
15 甌穴・猪飛石 ─瀬田川の流水がつくった奇岩─[大津市]
16 真黒石・虎石 ─瀬田川に産する盆石・水石─[大津市]
17 車石 ─逢坂山の牛車のための敷石─[大津市]
おわりに
引用・参考文献

前書きなど

 初期の人類が使った道具は、石を打ち砕いてつくられた打製石器であった。その後、打製石器は磨かれて作られる磨製石器が使われるようになった。
 日本に住みついた先人は、石斧、石包丁、槍の穂先に用いる石槍や石鏃などと、ともに木製の農耕具などもつくりだし、穀物などの殻を砕き、粉にする石臼を考案し、時代とともに礎石、石棺、石垣、石橋などなど石を利用して生活を築いてきた。
 その一方で、石に霊力が宿るとして盤座を崇め、奇岩奇石の風景を愛で、庭に配された石によって深山や荒磯を表現し、室内においても水石・盆石によって理想の風景を創造した。人々は暮らしのなかに生き続ける多くの石にまつわる伝説や昔話を語り伝えるとともに、書物に書きのこしてきた。滋賀県には石にまつわる多くの伝承や記録が残されている。
 本書は、主に江戸時代の『雲根志』(1773~1801)、『近江輿地志略』(1734)、『淡海禄』(1689)、『毛吹草』(1645)、『東海道名所図会』(1797)に書かれ、描かれた石にまつわる近江の石の風物を紹介し、石にとけこんだ豊かな近江の自然と人々の石への思い、古書に書かれた当時の石(地学)の考え方などがわかるように、その現物、現状など写真を多く交えた。
 近江は古くから京の都に通じる街道が琵琶湖を取り囲むようにめぐる地で、人の往来も物も京へ向かうには逢坂関を越えなければならなかった。本書は大津を起点にして近江路の石の風物を見て回ることとした。大津から西近江路高島をへて湖北へ、北国街道・北国脇往還道を南へ中山道・朝鮮人街道から御代参街道をへて、甲賀から東海道を大津まで一周するイメージで描いた。
 小旅行やドライブ、サイクリングの途中にちょっと寄り道して歴史を秘めた郷土の石に魅せられ、石に親しむきっかけになればとの思いと、同時に本書を手に石を観ることで混沌とした社会を生きる一服にと、「近江路をめぐる石の旅」と題した。

著者プロフィール

長 朔男  (オサ サクオ)  (

1939年京都府加佐郡大江町(現、福知山市)生まれ。1961年雇用促進事業団(現、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)に就職。職業能力開発促進センターに勤務し、技能・技術教育に携わる。京都職業能力開発促進センター所長で退職。この間、各地に転勤しながら自然環境に深く関心を持つ。退職後、滋賀大学大学院教育学研究科修士課程修了。著書(いずれも共著)として、『近江植物歳時記』(京都新聞社)、『近江植物風土記』『芋と近江のくらし』『湖魚と近江のくらし』(サンライズ出版)など。

上記内容は本書刊行時のものです。