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聖性の物質性
人類学と美術史の交わるところ
- 初版年月日
- 2022年3月
- 書店発売日
- 2022年4月6日
- 登録日
- 2022年3月18日
- 最終更新日
- 2022年3月18日
紹介
物質世界を生きる人間は、異界にある人ならざるものとどう相対してきたのか──
日常世界とは異なる時空に神や霊的存在などがいる/あるとする考え方は人類におおむね共通する。通常の五感では関知しえないそれらの存在との相互交渉における物質性の諸相について、文化人類学と美術史が共同し、民族誌的報告や事例研究をもとに比較検討する。
目次
序論 木俣 元一 9
第Ⅰ部 基調論文 33
基調論文1
「物質性」から広がる人類学研究の地平 35
佐々木 重洋
基調論文2
生命体と非生命体とのあわい ──美術史研究における「物質性」の射程 61
水野 千依
第Ⅱ部 経験・思考・想像力 83
誘惑の美学 ──イヌイト・アートにみる「生き方としての芸術」の可能性 85
大村 敬一
継起する自己/イメージ ──ナイル系牧畜社会における牛、紙、神性 117
橋本 栄莉
モノを介したアナロジーの思考 ──オゴテメリとグリオールによる神話の釈義を事例として 141
中尾 世治
イメージと規律=訓練 ──ティム・インゴルド批判 166
出口 顯
至聖所のカーテンとストラスブール大聖堂南袖廊 ──タイポロジーにおける物質性 188
木俣 元一
第Ⅲ部 人格・エージェンシー・生動性 217
夢ないし幻視における像の生動性についての比較美術史的考察 219
秋山 聰
長谷寺本尊十一面観音像の秘仏化と開帳 246
奥 健夫
ロココ絵画に描かれた彫像の生動性 ──信仰から愛好の対象へ 266
杉山 奈生子
分配される人格/結晶する人格 ──像の人格化をめぐる文化横断的比較 293
水野 千依
第Ⅳ部 聖性・奇跡・交渉 321
《アルテミス・エフェシア》 ──偶像に宿る聖性の継承と分与 323
芳賀 京子
ネーデルラントにおける奇跡像と奉納像 ──中世から現代へ 348
杉山 美耶子
トリエント公会議以後のフランスにおける聖画像論と美術 ──「キリストの顔」をめぐって 375
栗田 秀法
金沢市真成寺の鬼子母神像 404
森 雅秀
バリ・ヒンドゥー教における「異界」との交流 ──可視化される神と物質性 429
廣田 緑
第Ⅴ部 空間・環境・設え 455
キリスト教礼拝空間における典礼設備の物質性と象徴性 457
奈良澤 由美
後期ビザンティンの聖堂における光の演出と聖性 ──イェラーキ(ギリシャ)の聖ヨアンニス・クリソストモス聖堂 485
樋口 諒
不可視の神との対話のメディウムとしての祭壇画 ──ジョヴァンニ・ベッリーニ作《ディレッティ祭壇画》を事例として 510
須網 美由紀
神秘体験と日本建築 ──懸造・熊野詣の建築的仕掛け 537
松﨑 照明
第Ⅵ部 儀礼・パフォーマンス・演出 563
〈集まり〉としての憑依 ──アフロブラジリアン宗教における人間・モノ・憑依霊 565
古谷 嘉章
色彩における物質性と聖性 ──イヴ・クラインの芸術実践における聖別と涜神のあわい 593
松井 裕美
神格との相互交渉と物質性 ──中動態的協働としての「神人和合」 627
佐々木 重洋
あとがき 659
人名索引 I
事項索引 IV
上記内容は本書刊行時のものです。