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批判的談話研究とは何か ルート・ヴォダック(著/文 | 編集) - 三元社
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批判的談話研究とは何か (ヒハンテキダンワケンキュウトハナニカ)

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発行:三元社
A5判
416ページ
定価 3,800円+税
ISBN
978-4-88303-453-6   COPY
ISBN 13
9784883034536   COPY
ISBN 10h
4-88303-453-4   COPY
ISBN 10
4883034534   COPY
出版者記号
88303   COPY
Cコード
C1080  
1:教養 0:単行本 80:語学総記
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2018年3月10日
最終更新日
2018年3月10日
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紹介

日常に溢れるメディアなどの談話的実践が、いかにして社会階級間、男女間、民族的・文化的な多数派・少数派の不均衡な権力関係等を生産し、再生産しているのか。批判的談話研究は、構成的、問題指向的、学際的なアプローチによって、そうした社会的現状を明らかにし、変革するための示唆を与えてくれる。
本書は、その理論的背景を解説し、「社会的実践」としての談話を批判的に研究するための入門書である。

目次

序 XII

第1章 批判的談話研究:歴史、課題、理論、方法論 001
ルート・ヴォダック/ミヒャエル・マイヤー(野呂 香代子/訳)

批判的談話研究とは何か? 002
 「研究仲間」の略歴 005
 共通基盤:談話、批判、権力、イデオロギー 007
 談話という概念 008
 批判の原動力 009
 イデオロギーと権力―絶えず変化する見方 011
研究課題 018
方法論的問題:理論、方法、分析、解釈 019
 理論的基礎と目的 023
 批判的談話研究の主なアプローチ 025
 データ収集 029
まとめ 030


第2章 ディスコースの歴史的アプローチ(DHA) 033
マーティン・ライジグル、ルート・ヴォダック(神田 靖子/訳)

キー概念と用語の紹介 034
 「批判」「イデオロギー」「権力」 034
 「ディスコース」「テクスト」「コンテクスト」 038
DHAの基本的考え方と分析のためのツール 044
「気候変動に関するディスコース」の分析 048
 8つの段階を踏むDHA 048
 気候変動についてのオンラインニュース記事に関するパイロット・スタディ 051
  ステップ1:先行する理論的知識の活性化および参照 051
  ステップ2:データと文脈情報の体系的収集 053
  ステップ3:詳細な分析のためのデータの選定と準備 055
  ステップ4:研究課題の詳細な記述と仮説の定式化 055
  ステップ5:質的パイロット分析 058
  ステップ6:詳細なケース・スタディ 078
  ステップ7:批判の定式化 079
  ステップ8:詳細分析の結果の応用 080
まとめ 080
  もっと知りたい人のための文献案内 081
  課題 081
付録:24本の投稿 083


第3章 批判的談話研究:社会認知的アプローチ 089
テウン・A・ヴァン・デイク(嶋津 百代/訳)

用語と定義 090
談話―認知―社会の三角形 090
 事例:2014年の欧州議会選挙における人種差別主義的プロパガンダ 092
認知的構成要素 094
 談話処理 095
 知識 097
 態度とイデオロギー 098
 認知的構成要素の妥当性 099
社会的構成要素 100
 権力と支配 101
談話の構成要素 103
 談話の構造 103
 談話のイデオロギー的構造 104
 構成要素の統合 107
抵抗のディスコース:ブラジルにおける人種差別反対主義のディスコース 108
 人種差別主義 109
 人種差別反対主義 109
 人種差別反対主義の理論 110
 ブラジルにおける人種差別主義 111
 ブラジルの人種差別反対主義の談話 112
 人種平等法に関する討論 113
 人種差別反対主義の談話の分析 114
  自己提示 115
  集団についての描写 116
  イデオロギーの二極化:わたしたち対かれら 118
  規範と価値観 120
  論拠 121
まとめ 122
  さらに知りたい人のための文献 123
  課題 124


第4章 社会研究における批判的ディスコース分析の弁証法的関係アプローチ 125
ノーマン・フェアクラフ(高木 佐知子/訳)

理論と概念 126
適用分野 131
方法論 132
 ステージ1 記号作用的側面における社会問題に焦点を当てる。 133
 ステージ2 社会的不正に取り組む際の障害を明らかにする。 136
 ステージ3 社会的秩序がこの社会的不正を「必要としている」のかどうかを考える。 137
 ステージ4 障害の克服可能な方法を見いだす。 138
分析例:政治ディスコース分析 139
例証:政治テクストを分析する 143
 ステージ1 記号作用的側面における社会的不正に焦点を当てる 143
 ステージ2 社会的不正に取り組む際の障害を明らかにする。 144
 ステージ3 社会的秩序がこの社会的不正を「必要としている」のかどうかを考える。 153
 ステージ4 障害の克服可能な方法を明らかにする。 153
まとめ 155
さらに知りたい人のための文献 157
付録1:情報主導型経済の構築 157
付録2:Brown and Coates(1996)からの抜粋 159


第5章 談話と装置を分析する:フーコー派アプローチの理論と方法論 161
ジークフリート・イェーガー/フロレンティン・マイヤー(野呂 香代子/訳)

はじめに 162
談話分析、装置分析の理論的基礎 163
 談話という概念 163
 談話と現実 164
 装置 165
 談話と権力 171
 批判および批判的談話分析の目的 174
談話分析、装置分析のための方法 176
 談話と装置の構造 176
  特別談話(special discourses)と間談話(interdiscourse) 177
  談話の束(discourse strands) 177
  談話の限界、そして、談話の限界を広げたり、狭めたりするさまざまな技術 178
  談話片(discourse fragments) 178
  談話の束の絡み合い(entanglements of discourse strands) 179
  集合シンボル(collective symbols) 179
  談話レベルとセクター(discourse planes and sectors) 180
  談話的出来事(discursive events)と談話のコンテクスト(discursive context) 181
  談話のポジション(discourse positions) 182
  全体的な社会的談話(overall societal discourse)とグローバルな談話(global discourse) 183
  談話の束の過去、現在、そして未来 184
 談話分析の完全性について 185
 談話分析の小さな道具箱 185
  研究テーマを選ぶ 185
  談話レベルとセクターを選び、その特徴を記述する 186
  資料の入手と準備 187
  分析 187
   談話の束の構造分析(structual analysis)/典型的な談話片の詳細分析(detailed analysis)/総合分析(synoptic analysis)
 装置分析に関するいくつかの考察 191
  非言語的に行われる実践に関する知 192
  物質化に関する知 193
まとめ 195
  さらに知りたい人のための文献 196
  課題 197


第6章 社会的実践の再コンテクスト化としてのディスコース:1つの手引き 199
テオ・ヴァン・レーヴェン(木部 尚志/訳)

序論 200
理論的な背景 203
ディスコースと社会的実践 206
 行為(Actions) 206
 遂行の様式(Performance modes) 207
 行為者(Actors) 207
 呈示様式(Presentation styles) 207
 時間(Times) 208
 空間(Spaces) 208
 資源(Resources) 208
 資格(Eligibility) 209
 除外(Deletion) 209
 代用(Substitution) 209
 追加(Addition) 210
社会的行為 216
 行為と反応(Actions and reactions) 216
 有形的な行為と記号論的な行為(Material and semiotic action) 217
 客体化と記述化(Objectivation and descriptivization) 219
 脱主体的行為化(De-agentialization) 219
 一般化と抽象化(Generalization and abstraction) 220
 過剰決定(Overdetermination) 221
まとめ 225
  さらに知りたい人のために 226


第7章 抑制と均衡:コーパス言語学がいかにCDAに貢献できるか 227
ゲルリンデ・マウトナー(梅咲 敦子/訳)

はじめに 228
中心的概念と一つの実践例 232
 コンコーダンス作成ソフトウェア 232
 コーパスデザインの問題 238
 コーパスの種類とデータ収集 240
 参照コーパスを使った解釈のサポート―二つ目の実践例 243
批判 250
 1.技術的隔たりと標準化の欠如 251
 2.組織上の壁 252
 3.データ収集における誘惑との戦い 252
 4.脱コンテクスト化された(文脈と切り離された)データ 253
 5.言語刷新 254
 6.認識論的課題 255
まとめ 259
  さらに知りたい人のための文献案内 260
  課題 261


第8章 視覚的・マルチモーダルなテクストの批判的分析 265
デニス・ジャンクサリー、マルクス・A・ヘレラー、レナーテ・マイヤー(石部 尚登/訳)

はじめに 266
マルチモーダルなディスコースとは何か 266
マルチモダリティの批判的談話分析への適用可能性 269
 「批判的」の意味について 269
 批判的談話分析へのマルチモダリティの貢献 270
先行研究と代表的研究 273
 マルチモーダルなディスコースに潜む権力や利害関係を「明るみに出す」 274
 周縁化された主体に発言権を与えるためにマルチモーダルなディスコースを用いる275
分析手順の紹介 278
 マルチモード分析の手法についての留意点 278
 方法論の紹介 279
 2つの代表的なマルチモーダルなテクストの分析 280
  第1段階 ジャンルを特定する 280
  第2段階 明示的な内容を捉える  286
  第3段階 潜在的な要素を再構築する 288
  第4段階 構成 291
  第5段階 結論と批判的評価 293
 大規模なサンプルを用いた分析へ 295
まとめ 296
  さらに知りたい人のための文献 298
  課題 298


第9章 批判的談話研究とソーシャルメディア:メディアの生態の変化における力、抵抗、批判 301
マジード・コスラヴィニック、ヨハン・W・ウンガー(義永 美央子/訳)

はじめに 302
CDSの原則とソーシャルメディア 305
コミュニケーションの力とソーシャルメディア 309
ソーシャルメディアへの批判的談話アプローチの緊急適用 312
ケーススタディ1:政治的な抵抗に関するフェイスブックの「フォーカスグループ」の実施 320
ケーススタディ2:電子的に媒介された抗議活動におけるテクノロジーと多言語主義の役割 330
まとめ 340
さらに知りたい人のための文献案内 343
課題 344


用語解説 345
参考文献一覧 353
訳者あとがき 376

索引 379

執筆者者紹介 394
訳者紹介 398

著者プロフィール

ルート・ヴォダック  (ルート ヴォダック)  (著/文 | 編集

英国ランカスター大学の談話研究のディスティングイッシュトプロフェッサー(Distinguished Professor 訳注:在職教授の中から選ばれる功績の卓越した抜群教授の意。日本の抜群教授、卓越研究者の概念に近い)である。研究の関心は、談話研究、アイデンティティの政治学、言語と政治、政治における言語、偏見と差別である。雑誌Discourse & Society、Critical Discourse Studies および Language and Politicsの共同編集者である。近著に、The Politics of Fear: What Right-Wing Populist Discourses Mean (SAGE, 2015)、Analysing Fascist Discourse: European Fascism in Talk and Text (John Richardsonと共著; Routledge, 2013)、など

ミヒャエル・マイヤー  (ミヒャエル マイヤー)  (著/文 | 編集

ウィーン経済経営大学(WU= Vienna University of Economics and Business)経営学部経営管理学教授。非営利マネジメント研究所所長。研究の中心は、非営利組織における管理主義と管理ツールの拡散についてである。また、キャリア、非営利ガバナンス、市民参加(ボランティア、寄付)、社会的起業家精神にも関心を抱く。

野呂香代子  (ノロカヨコ)  (翻訳

現職:ベルリン自由大学言語センター日本語講座専任講師
専門分野:社会言語学(批判的談話研究)、日本語教育
主要業績:野呂香代子/山下仁編著『正しさへの問い』(三元社、2009)、「批判的談話分析」(渡辺学/山下仁編『講座ドイツ言語学3 ドイツ語の社会語用論』ひつじ書房、2014)、「『環境・エネルギー・原子力・放射線教育』から見えてくるもの」(名嶋義直/神田靖子編『3.11 原発事故後の公共メディアの言説を考える』ひつじ書房、2015)、「『硬直した道』から『やさしい道』へ」(義永美央子/山下仁編『ことばの『やさしさ』とは何か―批判的社会言語学からのアプローチ』三元社、2015)、ルート・ヴォダック/ミヒャエル・.マイヤー著、野呂香代子監訳『批判的談話分析入門―クリティカル・ディスコース・アナリシスの方法』(三元社、2010)など

神田靖子  (カンダヤスコ)  (翻訳

現職:大阪学院大学名誉教授
専門分野:日本語学、談話分析
主要業績:[著書]『3.11原発事故後の公共メディアの言説を考える』(共編著、ひつじ書房、2015)、『それって本当? メディアで見聞きする改憲の論理』(共編著、かもがわ出版、2016)、『メディアのことばを読み解く7つのこころみ』(共著、ひつじ書房、2017)、[翻訳]Ruth Wodak(2015) Politics of Fear(共編訳、明石書店より近刊)

上記内容は本書刊行時のものです。