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台湾における「日本」イメージの変化、1945-2003 李衣雲(著) - 三元社
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台湾における「日本」イメージの変化、1945-2003 (タイワンニオケルニホンイメージノヘンカ) 「哈日(ハーリ)現象」の展開について (ハーリゲンショウノテンカイニツイテ)

社会科学
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発行:三元社
A5判
450ページ
定価 6,200 円+税   6,820 円(税込)
ISBN
978-4-88303-445-1   COPY
ISBN 13
9784883034451   COPY
ISBN 10h
4-88303-445-3   COPY
ISBN 10
4883034453   COPY
出版者記号
88303   COPY
Cコード
C1033  
1:教養 0:単行本 33:経済・財政・統計
出版社在庫情報
不明
書店発売日
登録日
2017年10月2日
最終更新日
2017年10月3日
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紹介

台湾では、なぜ旧植民地支配者である日本の大衆文化が好感を持たれ、爆発的ブーム(「哈日現象」)を引き起こすことになったのか。台湾-日本-中国間の関係における「日本」イメージ、「中国」イメージの変化を、「脱日本化」と「中国化」、台湾人の集合的記憶やハビトゥスなど、歴史的文脈の複雑なもつれを解きほぐし、その実態を明らかにする。

目次

第1章序 論――反日、親日、あるいは哈日 001

第1節哈日現象に関する先行研究の考察 002
台湾における先行研究 003/「哈日」=親日・日本大衆文化の導入=文化的植民支配か? 006/日本における「哈日」研究 010/「歴史性」を無視した研究の現状010

第2節問題提起:台湾における哈日現象の特殊性 012
東アジアにおける日本大衆文化の発展 012/日本大衆文化の海外進出についての解釈およびその限界 014/東アジアの反日教育およびそこに現れる台湾「哈日」現象の特殊性 016/本論における研究方向 020

第3節章節の構成 021
各章の梗概 021/理論の枠組み 024/研究方法 026


第2章台湾における日本の大衆文化の発展史についての一考察  033

第1節日本植民地時代 036

第2節台湾における日本大衆文化のアンダーグラウンド時代 041
2-1.1945-1972年 041
国民党政府による接収および台湾統制 041/言語統制政策 046
2-1-A漫画 048
戦後における台湾漫画市場 049/「漫画審査制」の施行 051
2-1-B流行歌 053
2-1-C映画 055
戦後から日台断交までの日本映画上演への制限 055/台湾映画制作上における日本技術の導入 057/日本映画の全面上演禁止およびアメリカ映画の優越性 058
2-1-Dまとめにかえて 060
2-2.1972年から1987年の戒厳令解除まで 061
「郷土文学論戦」および「台湾」の顕在化 062/日台断交および日本文化禁止令の施行 066/台湾経済の発展および大衆消費社会への進展 069
2-2-A漫画とアニメ 069
2-2-A-1漫画 069
漫画審査制の施行および日本漫画の優位化 069/アンダーグラウンド時代における日本漫画の販売ルート 072/「漫画清潔運動」 073
2-2-A-2アニメ 075
「日本の手掛かり」の抹消 076/日本アニメ放送における第2次輸入制限 078
2-2-Bビデオ、「第四台」、日本の番組と日本ドラマ 079
2-2-B-1ビデオ 079
日本番組のビデオ市場の勃興 080/日本番組のビデオレンタル状況 081
2-2-B-2CATV(「第四台」) 083
CATV市場の出現および国民党による取り締まり 083/CATVとレンタル業との関係 086
2-2-C流行歌曲とアイドル 089
学園民謡の出現と流行歌市場の商業化 090/アンダーグラウンド時代における日本(アイドル)音楽の発展状況 091
2-2-Dキャラターグッズとファッション誌 094
キャラクターグッズの流行化 094/日本ファッションの伝播 097
2-2-Eまとめにかえて 097

第3節日本文化の解禁と哈日ブーム 100
「台湾」と「日本」の顕在化 101/いわゆる「哈日」ブーム 104/「哈日/哈日族」の定義における曖昧性および論争 108/マスメディアにおける「哈日」の立場 111/「哈日」と台湾的アイデンティティ 113/海賊版問題の発生 118
3-1.漫画とアニメ 123
日本漫画の再登場 123/日本漫画の版権化時代 126/漫画市場の不景気 131/漫画関連商品:①キャラクターグッズ 133/②アニメ 134/③ゲーム 136
3-2.日本ドラマ 137
CATV放送システムの合法化および合併 137/放送権付日本ドラマの放送開始 139/日本文化禁止令の解除および日本ドラマブーム 141/日本専門チャンネルの設立 145/高額放送権料および日本ドラマの不景気化 146/韓国ドラマの導入および市場の占有:「韓流」 148/「台湾偶像劇」の出現 152/日本ドラマ放送の斜陽化 155
3-3.アイドル 157
日本音楽の台湾市場への正式進出 158/韓国アイドル歌手がもたらした第一次韓流 160/日本ジャニーズアイドルの台湾上陸ともたらしたブーム変化 161/アイドル/音楽部門における哈日族と哈韓族の比較 163/台湾アイドルの出現 165

第4節結びに代えて 167
台湾における日本以外の外国文化 168/台湾における「大衆文化」の概念形成に及ぼした日本大衆文化の影響力 170/問題意識の再提起:日本大衆文化が長期にわたって台湾で発展しえた基礎とは? 174


第3章「祖国」、中国化と「日本」イメージの変化  175

第1節日本植民地時代における「日本」イメージと「祖国イメージ」の弁証 179
日本植民地時代における台湾人への統制 179/台湾人の日本に対するアンビバレンス 181/台湾と韓国における被植民の差異 183/日本植民地時代における「祖国」イメージおよびその形成 185/戦後初期における台湾の「祖国」イメージ 188/中国側の台湾に対する印象 189/本節のまとめ:台湾における「祖国」イメージと中国における「台湾」イメージの矛盾 192

第2節終戦直後、「日本」イメージの再変化 194
「祖国」のイメージと実像との衝突 194/戦後国民党政府による接収後における台湾社会の状況 196/ブルデューとシュッツの理論による戦後の台湾と中国の融合失敗の理由を探求 198/戦後における「漢民族共同体」の崩壊および省籍対立の発生 204/「血縁民族」における虚構性 207/「日本」イメージの好転化 210/228事件 211/「日本」を「内」・「外」集団区分の象徴的基準とみなす 214/本節のまとめ 218

第3節二つの集合的記憶の闘争、および日本に関する記憶の変容 220
国民党による中国化政策 220/中国化政策の目的:「漢民族共同体」という集合的記憶の創造 224/中国本位である集合的記憶の中の「日本」イメージ 226/日本に対する記憶/経験の強制的忘却 229/台湾人における日本植民地時代経験の身体化および潜在化 231/国民党抑圧下において対抗的記憶を保存しえた原因 233/身体化記憶の再生産 236/戦後世代に内在する二種の集合的記憶 238/表面化する日本への記憶およびその変化 240/「台湾意識」のめばえおよびそれに包含された「日本」イメージ 243/外省人の「台湾意識」に対する反動 248/二つの集合的記憶の相互浸透 248/戦後世代における意識変化の可能性 252/戦後世代に内在する二つの集合的記憶の並存と闘争 255/歴史的連続性の断裂の発生と日本への好感 257/本節のまとめ:反日教育と身体化による日本に対する好感 260

第4節結びに代えて 263
「祖国」イメージの幻滅と中国化政策の実施 263/日本への好感の身体化と再生産―哈日ブームの基礎 265/問題意識の再提起:日本大衆文化の哈日ブームにおける影響力とは? 266


第4章消費と大衆文化によって構築された「日本」イメージ  269

第1節日本文化禁止令の時代における日本大衆文化の発展 274
台湾大衆文化市場の需要および供給の欠乏 274/アンダーグラウンド時代における日本大衆文化の導入および普及:ファンの力 277/大衆文化の特質:①消費者(ファン)のアイデンティティ 278/②ファンの結束力 281/③理性を失った金銭投入を促す 285/④情熱と「非日常性」:日常世界からの避難所 287/⑤「カーニバル的な性質」:情熱の誘発 290/本節のまとめ 293

第2節日本大衆文化が表現した日本イメージ 296
2-1.日本漫画に表現された「日本」イメージ 299
日本漫画の分析例 300/日本漫画の特質:非日常性 309/日本漫画の「文法」:抽象性と記号的表現 310/日本漫画の「叙述体系」 314/日本漫画の叙述体系の持ち合わせる影響力 317/日本漫画による信頼性および消費力 319/まとめにかえて 321
2-2.日本ドラマに表現された「日本」イメージ 323
日本ドラマの分析例 327/日本ドラマの吸引力 338/日本ドラマによる「広告」的「日本」イメージ 339/日本ドラマが促した消費行為 343/想像と実像とのギャップ 349/まとめにかえて 351
2-3.日本漫画と日本ドラマが演じた「日本」イメージ―まとめ 353

第3節「日本」が一種のブラントとなった意義とその維持 359
日本商品における信頼度およびテイストの構築 361/回答者の「日本」商品への印象 363/「日本」というブランドの誕生 364/ブランドの作用:意味の分かち合い 365/「日本」というブランドの成立条件:豊かさと厚み 367/独立した記号となる「日本」ブランド 369/大衆文化における「擬中立性」 372/アイデンティティの対象および意義付与の源となる大衆文化の備え持つ力と限界 376/ブランドおよびブームの維持 378/①鮮度と意味付与における作用 379/②欲望を満たす可能性:「物」に対する憧れと所有欲の誘発 382/③一貫性の維持 387/④同時間性の重要性 388/⑤代替商品の存在 390/哈日ブームと韓流の比較:哈日ブームの特異性 392/本節のまとめ:ポスト哈日ブームにおける「日本」ブランドの地位 395

第4節結びに代えて 397
台湾消費社会の形成 397/日本大衆文化の輸入と消費欲望の満足 398/「日本」ブランドの形成要素:「厚み」 400/「日本」ブランドの虚像性および哈日ブームの日常化 402

第5章結 論――虚像と実像の間  405


戦後台湾における「祖国」イメージと中国における「台湾」イメージの衝突 406/中国化政策と日本文化禁止令 408/反日教育下における日本への好感の四つの要因 409/日本大衆文化を中心とする哈日ブームの出現 413/「日本」を独立したブランドとして 415/哈日ブームの斜陽化 417/日本大衆文化の東アジアにおける発展の共通性および台湾における特異性 419/哈日現象の含む曖昧さの提示:異国イメージの研究における虚像と実像の区別の重要性 421/今後の課題 422


参考文献 425
1. 日本語文献 426
2. 中国語文献 432
3. 英語文献 437
あとがき 439

著者プロフィール

李衣雲  (リイウン)  (

Lee Iyun
東京大学大学院社会情報研究所博士課程修了。同校人文社会系研究科博士号取得。
現在、台湾・国立政治大学台湾史研究所・准教授。
主な著作に、
『読漫画』(台北市:群学出版社、2012)、『變形、象徴與符號化的系譜:漫畫的文化研究』(新北市:稻鄉出版社、2012)。「日本統治期視覚式消費と展示概念の出現」(共著、『近代台湾の経済社会の変遷―日本とのかかわりをめぐって』に掲載、東京:東方書店、2013)、「戦時から戦時まで―国家統制と台湾の「百貨店」、1937-1960」(共著、『新領域・次世代の日本研究[京都シンポジウム2014]』、京都: 国際日本文化研究センター、2016)、「在病態與反抗的夾縫之外―論Boys' Love論」(共著、『圖像敘事研究文集』、台北市:書林出版、2016)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。