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指揮者の使命 ラルフ・ヴァイケルト(著) - 水曜社
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指揮者の使命 音楽はいかに解釈されるのか

発行:水曜社
A5変型判
160ページ
並製
価格 2,200円+税
ISBN
978-4-88065-471-3
Cコード
C0073
一般 単行本 音楽・舞踊
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2019年9月25日
書店発売日
登録日
2019年7月30日
最終更新日
2019年9月26日
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紹介

指揮者と指揮者をめざす方、そして音楽を愛する方に……

 原題は「指揮者という職業」で、プロ向けの記述が多いものの、クラシック好きなら本書に込められた著者の思いを共有できる一書になっている。モーツァルテウム管弦楽団元首席指揮者のラルフ・ヴァイケルトが、アマチュア向けとしても著した。

 冒頭に「この本は、音楽、すなわち私たち指揮者が“解釈”と呼んでいるものに近づくためのものです」とあるように、指揮者が音楽をどう「解釈」するかをテーマにしている。本書はまた、スコアの本でもある。著者にとってスコアは作曲家の魂を刻み込んだ「聖書」であり、スコアをどう解釈するかが指揮者の使命なのである。

 スコアにどんなアプローチすればよいか、オペラはどのように指揮するのか、アンサンブルのバランスをどう保てばよいか、声と音響について知っておくべきこと、そしてどのようにしたら作品について理解し正しい指揮者になれるのか、が本書の説く内容である。

 本文は、指揮者が備えるべき素質と教養から書き起こされる。専門教育はもちろん必要だが、なによりも経験から得るものの大きさと、経験を活かせる人間性を重要視する。すなわち「この職業においては、多くのことが、否ほとんど全てのことが学ぶことができ、学ぶことによってのみ身につけることができるのです」というのが、著者にとっての指揮者像であり、人間観である。師のスワロスキーが伝えた「我々は行間ではなく各行の中を読まなければならない」という言葉が著者の信奉するところである。

 もちろん指揮技術についての専門的な記述も多いわけだが、名言や逸話が随所に挟み込まれているため、一般読者も退屈せずに読了できるかもしれない。たとえば、カルロス・クライバーがプローベの最中に携帯のコールが鳴り響き、彼は激怒したがそれは彼自身の携帯だったなどの逸話も数多く紹介されている。ヴァーグナー、シュトラウスやモーツァルトなど作曲家に対する著者の思いも率直に吐露され、オペラの指揮についても多くの紙幅が割かれ、著者のオペラに対する愛情のほどもよく伝わってくる。

目次

Ⅰ.専門教育と活動
指揮者になるための条件
指揮は修得するもの
カペルマイスター
命を吹き込む

Ⅱ.スコアへのアプローチ
アプローチの方法
形式とテンポ
テンポと拍子
スコアの不可侵性
アーティキュレイションと強弱
リハーサルにおける細部の打合せ

Ⅲ.オペラの指揮とコンサートの指揮
歌劇場とコンサートホール
指揮のテクニック
自己理解

Ⅳ.声と楽器
手本は声
カンタービレとベルカント
アンサンブル

Ⅴ.空間と編成
コンサートホール
オーケストラの配置と編成
デュナーミク
暗譜して指揮すること

Ⅵ.歴史と現在
いまどきの指揮者
レパートリー
専門性

Ⅶ.リハーサルと本番
準備
予測不能なこと

*参考文献一覧、著者略歴、ディスコグラフィー、音楽用語解説、人名・作品名索引

著者プロフィール

ラルフ・ヴァイケルト  (ラルフ ヴァイケルト)  (

リンツ・ブルックナー音楽院を経てウィーン国立音楽大学。ハンス・スワロフスキー教授に指揮法を師事。65年ニコライ・マルコ指揮者コンクール優勝、翌年オーストリア文化省による優れたモーツァルト解釈に対する特別賞を受賞。75年にカール・ベーム自身によりカール・ベーム賞を授けられた。ボン歌劇場音楽監督、フランクフルト歌劇場音楽総監督を務め、81年ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団及び州立劇場首席指揮者、チューリッヒ歌劇場音楽監督を経て、74年ウィーン国立歌劇場。75年ハンブルク国立歌劇場デビュー。その後もウィーン国立歌劇場、バイエルン国立歌劇場、ドレスデン国立歌劇場、ベルリン・ドイツ・オペラ、ハンブルク国立歌劇場、メトロポリタン歌劇場、サンフランシスコ・オペラ、フィンランド国立歌劇場、スウェーデン王立歌劇場等に登場。世界の主要音楽祭にも定期的に招聘されている。

井形 ちづる  (イガタ チヅル)  (

東京藝術大学大学院音楽学専攻修了。訳書に『ヴァーグナーオペラ・楽劇全作品対訳集』『オペラの学校』『オペラの未来』(以上水曜社)『宗教音楽対訳集成』(共訳、国書刊行会)ほか、著書に『シューベルトのオペラ』(水曜社)。オペラの字幕、ドイツ・リートの字幕および対訳も多い。元東京藝術大学音楽学部オペラ科、明治大学文学部非常勤講師。

上記内容は本書刊行時のものです。