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談 no.102
レジリエンス……都市への視線
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2015年3月
- 書店発売日
- 2015年3月10日
- 登録日
- 2015年3月4日
- 最終更新日
- 2015年3月4日
紹介
今、さまざまな分野で注目されている概念に「レジリエンス」がある。
都市社会学の文脈に落とし込めば、都市の社会変化に対する適応力、柔軟性、回復力、応答可能性といった意味になるが、それは、とくに「公共性」の議論に重要な知見を与えてくれる。
公共空間の再生は、端的に都市のレジリエンスを高めることにつながるからだ。消費に特化したモノカルチュラルな都市の内部に、多様で複合的な公共空間を回復していくことであり、都市の持続・再生には不可欠な要件である。
排除の空間になりつつある現在の都市の公共空間を真の意味での「公共性」の場(トポス)として再創造することはいかにして可能か。都市のレジリエンスを視野に入れた新たな「都市の社会学」を構想する。
目次
グローバリゼーションと再都市化…都市は創造の拠点になり得るか
・松本康(立教大学社会学部教授)
一般的に西ヨーロッパの都市は、都市化、郊外化、逆都市化、再都市化の4段階の発展段階が確認できるが、日本の都市は、極端な都市衰退を経験せずに、再都市化の段階を迎えたという。
松本康は、グローバル経済と再都市化のプロセスにフォーカスして、大都市における都市社会構造の変容を検討してきたが、その眼には日本の大都市圏はどのように映るのだろうか。
都市戦略で有望視されている「創造都市」をモデルに、レジリエンスの視点を加えて、都市と社会の関係を紐解く。
生きている社会を記述する…生態社会学の視座
・山下祐介(首都大学東京都市教養学部人文学科社会系コース准教授)
人びとの生命を守るはずの政策が、社会を根絶やしにする帰結を生じ、人の暮らせない地域を生みつつある。
社会が死んでしまえば地域再生もない。社会は生きているという認識がないために、何を再生させるのかわからない事業が展開していると山下祐介はいう(「社会は生きている」)。社会は生きているという位置付けのうえで社会学を構想する。
しかし、そもそも「生きている」とはどういうことをいうのか。「地域=生態社会学」の確立を目指す山下に、自然治癒力=生命力を原義とするレジリエンスを参照しながら、その意味、意義を考える。
他者へ開かれた空間、応答可能な社会関係をいかにしてつくりだすか
・園部雅久(上智大学総合人間科学部社会学科教授)
概念で把握し、都市空間論の射程には公共性論の展開が不可避であるという。
そのうえで、「社会としての都市」と「空間としての都市」という二つの軸が交差する地平に分析の視点を据えた議論を展開している。
その議論にあえてレジリエンスという概念枠を導入することはどのような意味をもつのか。都市社会学それ自体の更新を視野に入れた都市空間論の構想を開陳する。
※所属などは本書発売時のものです。
上記内容は本書刊行時のものです。