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談 no.98
誰のための公共性?
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2013年10月
- 書店発売日
- 2013年10月10日
- 登録日
- 2014年3月20日
- 最終更新日
- 2014年3月20日
紹介
特集「誰のための公共性?」
公共性をめぐる議論は、1990年代後半から政治学、法学、社会学、経済学、歴史学などのさまざまな分野で盛んになってきた。しかし、公共性論の活況にもかかわらず、公共性をめぐる議論はかえって混乱の度を深めつつある。公共性という概念についてさえ共通の理解を欠いたまま、各自が独自の公共性論を立ち上げるため、その相互関係すら理解できずに狼狽えているのが現状ではないだろうか。そこで、一度公共性概念の理論的整理を行ったうえで、なぜ今、公共性を問うことが必要なのか、端的にそれは誰にとって重要なのか、公共性の理念に立ち返って検討する。
目次
インタビュー
山脇直司(星槎大学教授、東京大学名誉教授)
「3・11以後の公共性…正義のあやうさにどう対処するか」
3・11の出来事は、「善き公正な社会を追求する」公共哲学という学問に、さまざまな問いを投げかけた。東日本大震災、大津波、それにともなう福島の原発事故、そして風評被害……、こうした公共的問題に対して、公共哲学はどう応えるのか。公共哲学の「人間-社会」観と倫理観(「滅私奉公・滅公奉私」対「活私開公・滅私開公」)の議論を踏まえつつ、何が争点なのかを明らかにし、「新しい公共」概念を再検討する。
稲葉振一郎(明治学院大学社会学部教授)
「公共圏、人々が個性を発揮できる場所」
存在感をもった個人として出会い、真正面から向き合うこと。近代以降、失われつつあるそうした領域が、今、公共圏のなかに甦る。共和主義の議論を通して、リベラリズムと公共圏の未来を考える。
橋本努(北海道大学大学院経済学研究科教授)
「ロスト近代において公共性をいかに担保するか」
勤勉な労働によって駆動された「近代」から人々の欲望消費の増大によって駆動された「ポスト近代」へ、社会は大きく変貌した。だが現代は、勤労精神を喪失(ロスト)し、また欲望すらも喪失した「ロスト近代」の様相を呈するようになったと橋本氏は診断する。「ロスト近代」の視点から現代の日本社会を捉え直し、そのなかで見えてきた新たなる「公共性」について考察する。
上記内容は本書刊行時のものです。