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フィクションとしての家族 吉田 耕太郎(編著) - 松籟社
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フィクションとしての家族 (フィクショントシテノカゾク) 近現代ドイツ語圏における家族の文学史 (キンゲンダイドイツゴケンニオケルカゾクノブンガクシ)

文芸
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発行:松籟社
四六判
縦188mm 横128mm 厚さ22mm
重さ 390g
378ページ
並製
価格 3,200 円+税   3,520 円(税込)
ISBN
978-4-87984-461-3   COPY
ISBN 13
9784879844613   COPY
ISBN 10h
4-87984-461-6   COPY
ISBN 10
4879844616   COPY
出版者記号
87984   COPY
Cコード
C0098  
0:一般 0:単行本 98:外国文学、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2025年3月15日
書店発売日
登録日
2025年3月18日
最終更新日
2025年3月26日
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紹介

ゲラート/ゲーテ/レンツ/ブレンターノ/グツコー/シュトルム/トーマス・マン/ザルテン/ツュルン/イェリネク/ヴォーディン。18世紀から21世紀までのドイツ文学が描いた家族という虚構を読みほどく。

目次

はじめに(吉田耕太郎)

第1部 家族の黎明:18世紀
 第1章 感情とカップル―ゲラート、ゲーテ、レンツの小説を例に(吉田耕太郎)
 第2章 「子殺し女」の文学―十八世紀末におけるケア領域の浮上(菅利恵)
 第3章 希求され、拒まれる家族―クレメンス・ブレンターノの『ゴドヴィ』を中心に(宮田眞治)

第2部 家族の危機:19世紀
 第4章 母親たちの女性解放―19世紀の家庭雑誌とカール・グツコー『家のかまどの団欒』誌(西尾宇広)
 第5章 シュトルムの『白馬の騎手』における家族の幻影(藤原美沙)
 第6章 良き家族の恵まれた犠牲者たち―トーマス・マン『ブッデンブローク家の人びと』にみる家父長主義的家族(坂本彩希絵)

第3部 家族をめぐる闘争:20世紀から現代へ
 第7章 ザルテン『バンビ』に見る家族像―異性愛と父子愛の緊張関係(川島隆)
 第8章 近代家族とセクシュアリティ―ウニカ・ツュルンの『暗い春』について(田丸理砂)
 第9章 ジェンダー、痛み、悼み―エルフリーデ・イェリネク『スポーツ劇』における「家族」(福岡麻子)
 第10章 ナチズムとの対決の場としての「家族」と移民の「家族」(徳永恭子)

おわりに(藤原美沙)

前書きなど

本書「はじめに」より

 本書の各論文は、こうした家庭/家族のもつ虚構的な機能というものを強く意識している。それゆえ本書は、歴史人口学としてはじまった、家庭/家族の実証的な家族史研究からおこる批判、例えば「恋愛結婚は、文学作品がつくりあげた理想であり、市民が獲得すべき理想的なプログラムにすぎない」という批判[Burkart: Soziologie der Paarbeziehung, Wiesbaden 2017]に対しては反論するどころか、まさにその通りと引き受ける立場をとることになる。文学が歴史史料たりえないとするこうした批判は、文学テクストのなかに描き込まれた家庭/家族は、作品が執筆された時代の理想的な家庭/家族像、家庭/家族を通して見えてくる社会の変化の兆し、家庭/家族が本質的にはらむ矛盾や問題を描き出すという、文学的テクストのもつ可能性を間接的に示唆するものではないだろうか。例えば、恋愛結婚やそれで結びついた家庭/家族の姿が、文学作品だけでなく、戯曲や映画など様々なメディアを通じて流布することで、恋愛というもののポジティブな価値が形作られ、誰もが恋愛結婚の当事者になるかもしれないという可能性を与え、そして実際に結婚するカップルもでてくるという具合に、文学テクストが構築するフィクションは、一定の具体性をともなった社会的価値をつくりだす制度化の一翼も担っているとわたしたちは考えている。

著者プロフィール

吉田 耕太郎  (ヨシダ コウタロウ)  (編著

大阪大学人文学研究科教授。主な業績として、共著書に『啓蒙の運命』(名古屋大学出版会、2011年)、共訳書に『ギャンブラー・モーツァルト―「遊びの世紀」に生きた天才』(春秋社、2013年)などがある。

西尾 宇広  (ニシオ タカヒロ)  (編著

慶應義塾大学文学部准教授。主な業績として、著書に『クライストと公共圏の時代―世論・革命・デモクラシー』(人文書院、2025年)、共著書に『ドイツ文学と映画』(三修社、2024年)などがある。

福岡 麻子  (フクオカ アサコ)  (編著

東京都立大学人文社会学部准教授。主な業績として、共著書に „Fremdes zwischen Teilhabe und Distanz Teil 1“ (V&R unipress, 2021)、翻訳にトーマス・シュタングル「コロナ日記」(西山雄二編著『いま言葉で息をするために―ウイルス時代の人文知』勁草書房、二〇二一年所収)などがある。

藤原 美沙  (フジワラ ミサ)  (編著

京都女子大学文学部准教授。主な業績として、論文に‚Überlegungen zur Behinderung in Stifters „Turmalin“‘, (Wege der Germanistik in transkultureller Perspektive Akten des XIV. Kongresses der Internationalen Vereinigung für Germanistik (IVG) (Bd. 5) Jahrbuch für Internationale Germanistik. Beihefte, Peter Lang 2022)、共著書に『「オリジナル」とはどういうことか―近現代ドイツ語圏文学における複製の問題圏』(日本独文学会、2021年)などがある。

菅 利恵  (スガ リエ)  (

京都大学人間・環境学研究科教授。主な業績として、著書に『愛の時代のドイツ文学―レンツとシラー』(彩流社、2018年)、編著書に『ドイツ語圏のコスモポリタニズム―「よそもの」たちの系譜』(共和国、2023年)などがある。

宮田 眞治  (ミヤタ シンジ)  (

東京大学大学院人文社会系研究科教授。主な業績として、編訳書に『リヒテンベルクの雑記帳』(作品社、2018年)、論文に「二つの「自然に対する矛盾した態度」―ノヴァーリスとリヒテンベルク」(『モルフォロギア』第46号、2024年)などがある。

坂本 彩希絵  (サカモト サキエ)  (

長崎外国語大学外国語学部教授。主な業績として、共著書『晩年のスタイル―老いを書く、老いて書く』(松籟社、2020年)、論文に‚„Quietismus“ und „Aktivismus“ Die sinnstiftende Funktion des gehörten Lauts als Leitmotiv in Thomas Manns Der Zauberberg‘ (Neue Beiträge zur Germananistik, Bd. 15, H. 1, 2016)などがある。

川島 隆  (カワシマ タカシ)  (

京都大学文学研究科教授。主な業績として、著書に『カフカの〈中国〉と同時代言説―黄禍・ユダヤ人・男性同盟』(彩流社、2010年)、『ハイジの生みの親ヨハンナ・シュピーリ』(青弓社、2024年)、訳書にフランツ・カフカ『変身』(KADOKAWA、2022年)などがある。

田丸 理砂  (タマル リサ)  (

学習院大学文学部教授。主な業績として、著書に『「女の子」という運動―ワイマール共和国末期のモダンガール』(春風社、2015年)、訳書にイルムガルト・コイン『この夜を越えて』(左右社、2022年)などがある。

徳永 恭子  (トクナガ キョウコ)  (

近畿大学文芸部教授。主な業績として、論文に「病んだ身体としての家族史―インゲボルク・バッハマンの「家族」の表象」(『上智大学ドイツ文学論集』第61号、2024年)、「ウクライナのディスプレイスト・パーソンを描く―ウクライナ・ロシア系ドイツ語作家ナターシャ・ヴォーディンの『彼女はマリウポリからやって来た』に関して」(『近畿大学教養・外国語教育センター紀要』第14巻第2号、2023年)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。