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冷戦と同盟 菅英輝(編著) - 松籟社
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冷戦と同盟 (レイセントドウメイ) 冷戦終焉の支店から (レイセンシュウエンノシテンカラ)

社会科学
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発行:松籟社
A5判
縦216mm 横154mm 厚さ35mm
重さ 800g
488ページ
上製
定価 6,300円+税
ISBN
978-4-87984-325-8   COPY
ISBN 13
9784879843258   COPY
ISBN 10h
4-87984-325-3   COPY
ISBN 10
4879843253   COPY
出版者記号
87984   COPY
Cコード
C3031  
3:専門 0:単行本 31:政治-含む国防軍事
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2014年3月
書店発売日
登録日
2014年4月9日
最終更新日
2014年4月10日
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紹介

開発と経済発展、国家以外のアクターによる緊張緩和、同盟を支えた文化的・社会的要素を視野に収め、冷戦と同盟の変容を考察する。

目次

序章 冷戦変容と同盟変容(菅 英輝)

  1 冷戦の終焉と冷戦史研究/2 冷戦秩序の変容/3 冷戦体制の変容と同盟変容/

  4 冷戦の変容と日米安保/5 同盟と文化・社会変容


第1部 冷戦秩序の変容―変化する経済秩序と「ソシアル・デタント」

 第1章 冷戦・開発主義とシンガポールの工業化(秋田 茂)

  1 アジアの工業化と冷戦/2 戦後アジアの国際秩序と経済開発の類型/3 歴史的背景/

  4 シンガポールの工業化戦略/5 アジアの開発主義と冷戦


 第2章 「開発」問題の国際的展開と日本のアジア多国間枠組みの模索―1950-60年代を中心に(鄭 敬娥)

  1 冷戦と「開発」/2 日本の戦後地域構想と「東南アジア」開発/

  3 岸内閣の「東南アジア開発基金」構想とアジアのナショナリズム/

  4 1960年代における「開発」の方法論的転換と日本の役割模索/5 東南アジア開発閣僚会議の開催/

  6 日本の地域的役割模索とアジア地域秩序


 第3章 反核運動と冷戦の変容―1950年代後半から1960年代初頭におけるヨーロッパ反核市民運動とそれに対する政府の対応(芝崎 祐典)

  1 核兵器の登場/2 反核平和運動への積極的対応/3 反核平和運動の押さえ込み/

  4 反核運動への選択的対応/5 冷戦の中の政府・同盟・市民


 第4章 人の移動・交流と同盟関係の変容―ハンガリー動乱難民へのアメリカ、イギリスの対応から(都丸 潤子)

  1 背景:ハンガリー動乱と難民/2 アメリカの対応/3 イギリスの対応/

  4 ハンガリー難民対応をめぐる英米関係/5 トランスナショナルな支援・交流の活発化


第2部 冷戦体制の変容と同盟変容―存続する同盟と崩壊する同盟

 第5章 ひ弱な同盟―冷戦下アジアにおけるアメリカの安全保障関係(ロバート・J・マクマン)

  1 東南アジアと南アジアにおける同盟の形成/2 東南アジア条約機構(SEATO)の誕生/

  3 北東アジアにおける同盟の形成/4 ヴェトナム戦争とASEANの誕生/

  5 ヴェトナムからの撤退とその影響/6 歴史的教訓とは?


 第6章 中ソ同盟の起点―緩やかな統制と分業(松村 史紀)

  1 東アジアのなかの中ソ同盟/2 緩やかな分業/3 中ソ同盟の誕生/4 三つの考察に代えて


 第7章 「二重の封じ込め」の動揺―1960年代における米独関係と冷戦の変容(倉科 一希)

  1 核兵器共有と米欧同盟/2 エリゼ条約と核兵器共有/3 ジョンソン政権とMLF/4 MLF交渉の継続


 第8章 ドイツ統一とNATOの変容―統一ドイツのNATO帰属合意をめぐる政治と外交(森 聡)

  1 二つのドイツ問題/2 米ソのヨーロッパ秩序構想/3 アメリカの対ソ安心供与策の形成と外交/

  4 アメリカ主導のNATO改革とコール訪ソ/5 ソ連が統一ドイツのNATO帰属を容認した理由


第3部 冷戦の変容と日米安保―変質する日米安保体制

 第9章 「安保の論理」の歴史的展開(豊下 楢彦)

  1 安保条約の「四つの論理」/2 「安保村」と「冷戦」の展開/3 安保体制と「同意の獲得」/

  4 構造的変容とその背景


 第10章 冷戦秩序の変容と日米安保体制―同盟の対等性のあり方をめぐって(中島 琢磨)

  1 日米の同盟内政治の論点/2 日米安保条約の成立とその問題点/3 安保改定/

  4 国際政治の多極化と日米関係/5 対等性の実現という論点


 第11章 「日米安保再定義」―日米安保体制を抱きしめて(初瀬 龍平)

  1 同盟の尺度/2 日米安保体制/3 日米関係と日米同盟/4 バランスシート


第4部 同盟と文化・社会変容―同盟の文化的・社会的基盤

 第12章 日米安保体制を支える日米「文化・教育」ネットワークの構築―「日米文化教育交流委員会」設立の歴史的背景を中心に(松田 武)

  1 冷戦と日米関係の基層/2 ライシャワーとその時代


 第13章 冷戦とアメリカ社会の変容―反戦ヴェトナム帰還兵による「冬の兵士」調査会開催(1971年)と「正義の戦争」観への挑戦(藤本 博)

  1 本章の目的と課題/2 反戦帰還兵による「戦争犯罪」告発と「冬の兵士」調査会の開催への道/

  3 「冬の兵士」調査会開催と反戦帰還兵による問いかけ/

  4 「冬の兵士」調査会開催の歴史的意義と調査会後における戦争の道義性への問いかけをめぐる相剋/

  5 「冬の兵士」調査会の遺産


 第14章 大西洋同盟の文化的基盤―NATOの発信するテクストとその変遷(齋藤 嘉臣)

  1 同盟の表象学/2 NATISの発信する1950年代のNATO/3 デタントの到来と1960年代のNATO/

  4 「交渉の時代」と1970年代のNATO/5 大西洋同盟の文化的基盤と同盟表象の政治作用


あとがき

事項索引

人名索引

前書きなど

本書序章「冷戦変容と同盟変容」(菅英輝)より抜粋

 編著『冷戦史の再検討』*を刊行してから三年が経過した。そのとき、「日本での冷戦史研究は、諸外国に比べてそれほど活発ではない」と書いた。だが、この数年の間に、日本における冷戦史研究も活性化し、注目すべき研究成果が相次いで刊行されるようになっている。なかでも、近年、沖縄返還交渉、日米安保条約と日米関係、日中正常化交渉をめぐる戦後史についての研究が目立つ。研究の性格上、歴史研究者は、新たに解禁された公文書に制約されるため、テーマも新史料の公開状況に左右されるところが大である。


 しかし、冷戦に関するこれらの研究の多くは、冷戦期全体を視野に入れた、しかもそれなりの歴史意識に貫かれた冷戦史研究というよりは、どちらかというと、政策決定過程の実証的研究という性格が強い。


 そうした中、本書は、冷戦の終焉という視点を踏まえたうえで、冷戦秩序の変容に焦点を当て、同盟変容と変容に伴う諸問題の歴史的考察を行なうものである。


 第一に、本書は、ヨーロッパとアジアにおける冷戦変容を相互に比較することを心掛けると同時に、冷戦秩序の変容を促す要因の中でも、先行研究で比較的看過されてきた経済的側面に焦点を当てる。具体的には、開発や経済発展が冷戦の変容にどのような影響を及ぼしたかを考察する。


 第二に、冷戦の変容はデタントと不可分の関係にあるが、先行研究はデタントの担い手として、米ソを中心に考察してきた。しかし考察の対象を米ソ間のデタントに限定することによっては、なぜ冷戦に終止符が打たれることになったのかを十分に説明できないと思われる。というのは、米ソ間のデタントが進行する過程で、両超大国は核戦争の回避に加えて、核兵器を独占することによって冷戦体制を管理することに共通の利益を見出すようになったからだ。その意味で、冷戦体制の安定と維持は米ソにとって好ましい側面をもち、米ソ中心のデタントに冷戦の終焉をもたらす強い動機を見出すことは困難である。


 それゆえ、冷戦の終焉という現実を踏まえるならば、米ソ中心のデタントの進展の分析だけでなく、米ソ以外の国家の挑戦や非国家的アクター間のトランスナショナルな連携運動が冷戦秩序の変容を促すという側面にも目を向ける必要がある。本書はそれゆえ、「ソシアル・デタント」、「下からのデタント」という視点を重視し、国家以外のアクターの運動にも焦点を当てることによって、冷戦の変容過程に光を当てる試みである。


 第三に、本書は比較の視点を重視し、アジアとヨーロッパにおける冷戦変容が同盟関係に、それぞれどのような変化をもたらしたのかを考察する。そのさい、同盟の文化的・社会的基盤を視野に入れた検討を行なう。


 同盟が形成され存続するための基盤としては、共通の敵や脅威認識の存在が指摘される。また、同盟から得られる経済的利益の存在も同盟の安定と存続には必要であると考えられてきた。しかし、冷戦期に崩壊した同盟もあれば、ソ連や共産主義の脅威が消滅した後も存続している同盟もある。だとすれば、同盟が崩壊するか存続するかは、脅威認識や経済的利害の有無だけではかならずしも説明できない部分が残る。


 そこで、本書は同盟の文化的・社会的基盤にも目を向けることによって、先行研究で従来見過ごされてきた同盟の力学を解明することを目指す。


*菅英輝編著『冷戦史の再検討 変容する秩序と冷戦の終焉』(法政大学出版局、2010年)

著者プロフィール

菅英輝  (カン ヒデキ)  (編著

京都外国語大学客員教授

秋田茂  (アキタ シゲル)  (

大阪大学教授

鄭敬娥  (ジョン キョンア)  (

大分大学准教授

芝崎祐典  (シバザキ ユウスケ)  (

筑波大学准教授

都丸潤子  (トマル ジュンコ)  (

早稲田大学教授

ロバート・J・マクマン  (ロバートJ,マクマン)  (

オハイオ州立大学教授

松村史紀  (マツムラ フミノリ)  (

宇都宮大学講師

倉科一希  (クラシナ イツキ)  (

広島市立大学准教授

森聡  (モリ サトル)  (

法政大学教授

豊下楢彦  (トヨシタ ナラヒコ)  (

前関西大学教授

中島琢磨  (ナカジマ タクマ)  (

龍谷大学准教授

初瀬龍平  (ハツセ リュウヘイ)  (

京都女子大学客員教授

松田武  (マツダ タケシ)  (

京都外国語大学教授、学長

藤本博  (フジモト ヒロシ)  (

南山大学教授

齋藤嘉臣  (サイトウ ヨシオミ)  (

京都大学准教授

上記内容は本書刊行時のものです。