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ハイネのことばの絨毯
物と動物の形象表現に関する研究
- 出版社在庫情報
- 品切れ・重版未定
- 初版年月日
- 2007年11月
- 書店発売日
- 2007年11月15日
- 登録日
- 2010年2月18日
- 最終更新日
- 2023年2月1日
紹介
日本では「歌の本」などで著名なハインリヒ・ハイネ。本国ドイツでは、彼の散文が近年注目を集めている。日常的な語彙、帽子や手袋、紙、犬や蛇、そして蚤などが織り込まれているのがハイネのテキストの特徴である。ハイネの手にかかると、それらありふれた語彙がことごとく比喩の電気を帯びてにわかに強烈な魅力を発しはじめる……本書は、ハイネ散文中の事物と動物に関する表現をたどりながら、《詩人・作家・ジャーナリスト》たるハイネの秘密を、詩とレトリックが、文芸と話術が渾然一体となったハイネ散文の秘密を探る。
目次
はじめに
第1章 衣 服
第一節 身体から被り物へ
第二節 王者の被り物
一 王冠
王冠の政治的比喩用法/ 王冠の非政治的比喩用法/ 王冠とその中身/ 王冠の《二重装・変装》/ 王権とその象徴の品々/ ルイ・フィリップと王冠
二 月桂冠・月桂樹
月桂樹と月桂冠/ 月桂冠・月桂樹の所作・動作/ 月桂冠と―弁髪、パンチ、札束、ステーキetc./ 月桂冠と―荊冠、樫の冠、道化帽/ 文学と政治―アイデンティティーをめぐって/ 花、ブドウ、 ケシ、ヤナギの冠
第三節 戦いの被り物
一 兜・甲冑
兜の矛先と羽飾り/ 兜と甲冑の変奏
二 熊皮帽子
熊皮帽子と国民衛兵
三 三角帽子
ナポレオンの聖遺物とその委譲
第四節 市民の被り物
一 ジャコバン帽
ジャコバン帽の所作・動作/ ジャコバン帽と樹木メタファー/ジャコバン帽の悪夢/ ジャコバン帽と自由の女神/ ジャコバン帽と十字架/ ジャコバン帽と弁髪/ ジャコバン帽と王冠/ ジャコバン帽と道化帽/ ジャコバン帽と赤頭巾/ ジャコバン帽とシャルル王党派の帽子
二 道化帽
道化帽とドイツ/ 郷愁を誘う道化帽の鈴の音/ 道化帽と愛国心/ 大道化師と小道化師/ 道化帽の色彩/ 道化帽の所作・動作と二重装
三 ナイトキャップ
俗物性/ ナイトキャップの色彩/ ナイトキャップの素材/ ナイトキャップの二重装と所作・動作
第五節 その他の被り物・帽子
ボリーバル帽/ 靭皮帽子/ 霧の頭巾と鉛の頭巾/ 婦人帽のベール/ 帽章
第六節 手と足の履物
一 手袋
ガラスとビロードの手袋/ キッド革手袋/ 野牛革手袋/ 黄色い手袋/ 黒い手袋/手袋の所作・動作
二 長靴
靴の用法/ 長靴の滑稽さ/ 長靴と泥/ 歩く長靴/ 革の芸術家/ 貴族の靴造り
三 その他の履物
スリッパとコトゥルン
第2章 器具・道具
椅子の比喩的用法――分娩椅子、絶縁椅子etc.
第一節 紙
紙オンパレード/ 吸取紙/ 羊皮紙/ 混凝紙・紙粘土/ 反故紙
第二節 皮革
革オンパレード、革の胸、革の道化/ 革の理念/ 縮んだ革とドイツの愛国心/ 革の臭い/ 毛皮
第三節 棒
一 丸太、割り木、ボウダラ
二 支えとして
杖、ステッキ/ 突っ支い棒、支柱/ 松葉杖、義足
三 攻撃・防御のため
棒、棍棒/ 竹竿
四 統率・指揮・命令のため
王笏/ 元帥杖、束桿/ 牧人の杖/ 魔法の杖、占い棒
五 その他の用途
木の棒/ 宝の棒/ テュルソス
第四節 容器
一 壺
鉄の壺/ 砂糖壺、ジャム壺、ミルク壺、坩堝/ ゴミ壺、痰壺、“便壺”
二 さまざまな器
オーデコロンの容器/ 酢と油の小瓶/ 魔物を秘める瓶/ おまる
第3章 動 物
第一節 哺乳類
一 哺乳類オンパレード
産めば産むほど良くなるわけでなし/ 動物世界の支配者・人間、内なるオリエンタリズム/ 人間の条件とシッポの有無/ 祖国への思いと動物愛/ 社会的エントロピーとフランス社会/ 動物語彙と他領域への越境/ 動物の鳴き声オンパレード/ 人類の動物抑圧と虐待の歴史/ オオカミたることの誓い
二 人間動物園
三 イヌ(オオカミ、ネコ)
犬オンパレード/ 格言ふうの言い回し/ イヌにされた人たち/ オオカミと反ユダヤ主義/ イヌになったその他のもの/ 直喩としてのイヌ
第二節 鳥類
一 鳥類オンパレード
歌鳥とその聴衆/ サン・シモニズムの鳥たち/ 鳥と女優たち/ 鳥の評論家たち/ 鷲ゲーテとその他の鳥詩人/ 鳥メタファーによる暗号化/ 怪鳥・怪物バジリスク/ 鉛のナイチンゲール
二 ナイチンゲール
小さな身体で大きく美しい囀り/ ハイネはナイチンゲールの囀りを聞いたか/ナイチンゲールとドイツ/ ナイチンゲールと抒情的心情/ ナイチンゲールと太陽・春・希望・自由/ 花とナイチンゲール党、啓蒙の弁証法/ ロマン主義的・反近代的ナイチンゲール/ 不必要なものを必要とする倒錯した人間社会/ その他の用例
三 カラスとフクロウ
カラスと中世的カトリック・イデオロギー/ フクロウと暗い時代/ アテネにフクロウ、ハンブルクにボウダラ
第三節 魚類、爬虫類、昆虫類ほか
一 両生類、魚類のオンパレード
二 ヘビ
蛇オンパレード/ ヘビにされた人たち/ 心のなかのヘビ/ ヘビと花/ ヘビと女/ 直喩としてのヘビ
三 ノミ、シラミ
シラミとの出会い/ 毛ジラミと自由の女神/ノミのサーカス/ノミとシラミと改宗者と/ 精神のノミ、頭脳のノミ/ 厚かましいノミ/ ノミの夢、零の影/ノミとクジラ、ノミとワニ/ 緑色のノミ
四 ハエ
ハエにされた人や物/ ハエと駿馬、ハエとミルク壺
むすび──ことばの絨毯
ハイネの観念連合を導く四つの動因/ 魔法の絨毯、ハイネ散文テキストの構造
注
あとがき
使用ハイネ作品一覧
人名索引
上記内容は本書刊行時のものです。