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当事者と援助者の「共助する関係」 水藤昌彦(著/文 | 編集) - 現代人文社
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当事者と援助者の「共助する関係」 (トウジシャトエンジョシャノキョウジョスルカンケイ) 刑事司法領域での対人援助の基本 (ケイジシホウリョウイキデノタイジンエンジョノキホン)

社会科学
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発行:現代人文社
A5判
232ページ
定価 2,400円+税
ISBN
978-4-87798-763-3   COPY
ISBN 13
9784877987633   COPY
ISBN 10h
4-87798-763-0   COPY
ISBN 10
4877987630   COPY
出版者記号
87798   COPY
Cコード
C3032  
3:専門 0:単行本 32:法律
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2020年9月25日
書店発売日
登録日
2020年9月1日
最終更新日
2020年9月1日
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紹介

 2011年度末に全国の各都道府県において設置が完了し事業を開始している「地域生活定着支援センター(以下、定着支援センター)」。この事業の主たる目的は、対象者を帰住先における社会福祉サービス事業者に適切につなぎ、社会資源の利用を促進することを通じて、本人の生活の安定と生活の質の向上を図ることである。

 定着支援センターに期待される機能として、地域資源の開拓や個別ケースの支援のためのネットワーク形成があり、コーディネーションの役割を担い、地域にある既存の社会福祉サービス事業者が実際の支援を提供している。これに加えて、ここ数年のあいだに、被疑者・被告人段階の高齢あるいは障がいのある人に対しても、さまざまな社会資源を利用したり、福祉サービスを導入したりする試みがはじまっている。今後、こうした取組みが進展していくに従って、社会福祉サービス事業者が非行・犯罪行為に至った人への支援に関わる機会は増えていくことが予想される。

 しかし、これまで社会福祉の分野では非行や犯罪行為に至った人に対する支援は決して一般的なものとなってこなかった。ごく一部の社会福祉施設等では支援が行われてきた実績はあるが、それによって得られた経験や知見はこれまで十分に蓄積・発信されてはこなかった。そのため、近年の制度整備の進展によってサービス提供者の役割を期待されるようになった支援者のあいだでは、戸惑いが大きいと言われる。

 このような状況にあるにもかかわらず、福祉専門職を主な読者層に想定した、非行・犯罪行為に至った人への具体的な支援の内容、支援にあたって重要かつ不可欠な項目についての情報を一元的に提供する資料は不足している。本書では、非行・犯罪行為に至った人への具体的な支援の内容、とくに支援者の自己覚知、対象者との関係の形成や維持といった支援にあたって重要・不可欠な項目についての情報を提供し、実際に支援にあたる者の理解の促進、支援技術の向上に資することを目指す。

目次

第1部 導入編 「共助する関係」という提案
・本書のタイトルの意味
・「共助する」とはどういうことか――It takes two to tango.
・なぜ、刑事司法領域を取り上げるのか
・司法と福祉の連携の動き
・入り口支援と再犯防止推進法
・刑事司法のみによる対応の難しさ
・援助者の戸惑いや不安
・当事者との関係性への着目
・共助する関係の七つの要点
第2部 物語編 「共助する関係」の形成・維持の基本
・エピソード1 本心はなかなか言えない――本人の事情に配慮し、周囲の事情に注意する
・エピソード2 怒っている人は困っている人――正論で相手を説得しようとしない
・エピソード3 コントロールではなくコミュニケーションを――安心・安全な空間を用意して、感情よりも内容に注目する
・エピソード4 相手の考えや行動は、自分の期待と違っていて当然――状況を客観視してみる
・エピソード5 他人の問題点は目につきやすい――トラブル時こそ非審判的態度を保つ
・エピソード6 自分で決める、という経験の意味――自己決定を支援して、尊重する
・エピソード7 言いたくないこと、言えないことは誰にもある――秘密を守る
第3部 発展編 「共助する関係」に役立つ知識
・援助にあたっての原則
・当事者を理解するための視点
・援助者が自己理解を深めるためのヒント
コラム
・地域生活定着支援センターの役割
・通訳者・解説者としての地域生活定着支援センター
・支配しない、支配されないために
・依存症
・身体を拘束された状態での面会の実際
・ツールの紹介
・友人、知人や家族とのかかわり

著者プロフィール

水藤昌彦  (ミズトウマサヒコ)  (著/文 | 編集

水藤昌彦(みずとう・まさひこ) 山口県立大学社会福祉学部教授。専門は司法福祉、フォレンジック・ソーシャルワーク、刑事政策。研究テーマは、刑事司法と福祉の連携論、犯罪行為を含む多様で複雑な支援ニーズのある人に対するソーシャルワーク、知的障がいのある性加害行為者への対応など。モナシュ大学大学院修了(Master of Social Work)。二〇〇一年からオーストラリア・ビクトリア州政府ヒューマン・サービス省にて、障がいのある犯罪行為者への対応などに関わる。二〇〇八年より社会福祉法人北摂杉の子会勤務、二〇一一年より山口県立大学社会福祉学部准教授。二〇一七年より現職。独立行政法人国立のぞみの園参事を兼務。地域生活定着支援センター、障がい福祉サービス事業所、学校、自立支援協議会などへのコンサルテーションや研修会にもかかわっている。主な共著書に、『「司法と福祉の連携」の展開と課題』(現代人文社、二〇一八年)、『触法障害者の地域生活支援』(金剛出版、二〇一七年)、『更生支援計画をつくる』(現代人文社、二〇一六年)などがある。

関口清美  (セキグチキヨミ)  (著/文

関口清美(せきぐち・きよみ) 社会福祉士。一九八二年から二〇〇一年まで宇都宮市役所に勤務。二〇〇一年四月より社会福祉法人飛山の里福祉会にて障がい児・者の相談支援業務に従事。二〇一〇年から二〇一四年三月まで栃木県地域生活定着支援センターに出向し、センター長を務める。二〇一五年から二〇二〇年三月まで独立行政法人国立のぞみの園にて、矯正施設を退所した障がい者の生活支援および支援者養成研修事業、支援に係る研究事業に従事。重度の知的障がいのある男性が連続強盗犯として逮捕・起訴され、判決言渡し直前に真犯人が現れた冤罪事件で、釈放後の男性の生活支援にかかわり刑事司法と福祉の連携の必要性を強く感じた。

益子千枝  (マシコチエ)  (著/文

益子千枝(ましこ・ちえ) 精神保健福祉士、公認心理師、福祉心理士。二〇〇〇年四月~二〇一三年三月まで社会福祉法人大阪自彊館入職にて救護施設、大阪市野宿生活者巡回相談室に勤務、二〇〇九年八月同法人から大阪府地域生活定着支援センターの立ち上げ時に出向。二〇一三年五月から社会福祉法人みつみ福祉会入職にて兵庫県地域生活定着支援センターに主任相談員として勤務。関連する活動とし

服止ネネ  (フクドメネネ)  (イラスト

服止ネネ(ふくどめ・ねね) 兵庫県出身。大学卒業後、外壁工事業に従事する傍ら趣味の一環で漫画を描き始める。高校時代の先輩が兵庫県地域生活定着支援センターの相談員をしていたことが縁で本書の漫画の作画担当を勤めることになる。

上記内容は本書刊行時のものです。