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土地規制法で沖縄はどうなる? 馬奈木 厳太郎(著/文 | 編集) - 影書房
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土地規制法で沖縄はどうなる? (トチキセイホウデオキナワハドウナル) 利用される「中国脅威論」、軽視される人権 (リヨウサレルチュウゴクキョウイロンケイシサレルジンケン)

社会一般
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発行:影書房
A5判
縦210mm 横148mm 厚さ12mm
140ページ
定価 1,400円+税
ISBN
978-4-87714-491-3   COPY
ISBN 13
9784877144913   COPY
ISBN 10h
4-87714-491-9   COPY
ISBN 10
4877144919   COPY
出版者記号
87714   COPY
Cコード
C0032  
0:一般 0:単行本 32:法律
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2022年4月28日
書店発売日
登録日
2022年3月16日
最終更新日
2022年3月16日
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書評掲載情報

2022-06-25 東京新聞/中日新聞  朝刊
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紹介

総理大臣が必要と認めれば、基地などの「重要施設」の周辺や国境離島の土地・建物の所有者・利用者の「調査」や「情報提供」を求めることができるとする「土地規制法」が2021年6月16日成立。
「立法事実」はない、安全保障上の不安を訴える「意見書」もない! 防衛省は「自衛隊の運用等に具体的に支障が生じるような事態は確認されていない」と答弁! 勧告・命令・罰則の対象となる、基地などの重要施設の「機能阻害行為」が何なのかも明示されない!!
在日米軍の専用施設が集中する沖縄県は、この法律で区域指定されれば、全県民が調査対象とされる。沖縄戦の混乱の中で土地が米軍に強制収用され、日々、事件・事故の「基地被害」に苦しむ沖縄県民の側が潜在的な犯罪者とされる。調査されるべきは、「被害」を生み出す側のはずだ。
わずか26時間の国会審議で成立した「稀代の悪法」。そう呼ばれる理由、法案の背景にある排外主義、野党の追及で明らかになった政府のごまかし答弁、そして、米軍基地の集中と自衛隊配備の進む沖縄への影響をわかりやすく解説。沖縄在住の市民、ジャーナリスト等のコラムも収録。

目次

はじめに 
  *
1 突出した高市早苗議員のブログ
 10年越しの立法化 
 「外国資本から重要施設を守れ」の雑な危機扇動 
 中国の国防動員法とは
 「国防力を高めたい」=嫌中・嫌韓利用の印象操作
 権力的な法律

コラム 台湾有事は日本の有事???(布施祐仁)

2 どこから切っても憲法違反――稀代の悪法と呼ばれる理由
 立法事実がない
 政府も根拠を示せていない
 何をする法律か? 
 施設対象が限定されていない
 調査対象者も広がっていく
 調査内容もどこまでも広がっていく
 調査手法も限定がない。「密告」も
 調査は恒常的に行われる
 政府を全面信頼することを前提にした法律、国会は責務を放棄
 個人情報漏洩の可能性も
 「勧告」を受けて初めてアウトとわかる「機能阻害行為」
 「機能阻害行為」が何かについては閣議決定で
 あいまいな「機能阻害行為」で処罰
 電波法、航空法、既存の法律でカバーできるのに
 既存の法律よりも犯罪の範囲を広げたい思惑
 「行為」がなくても「おそれ」があればいい――共謀罪の発想
 国民は「権利主体」であって「調査対象」ではない
 現代の「全権委任法」(!?)
 日本国憲法の主権者とは 
 沖縄の声はまたも無視? 
 憲法成立の歴史を忘れた土地規制法
 大田昌秀知事の代理署名拒否

コラム 母親からみた土地規制法と沖縄(与那城千恵美)

3 わずか26時間の国会審議
 軽視された参考人意見
 立憲民主党の態度決定が遅かった
 政府は立法事実についてごまかし答弁をくり返した
 自衛隊の運用に支障は生じていない、と防衛省
 立法事実があるかないかも含めて調査することがこの法案の目的、と政府
 安全保障上の不安を訴える意見書はなかった
 地方議員からも反対の声が上がる
 現行法で十分
 国民民主党は賛成
 立法の根拠は崩れたが、排外主義が利用された
 立法の根拠は答えない、とにかく安全保障上必要なのだ
 法案と関係のない「意見」が許されてしまう国会
 「権力」に対するイメージ 
 自衛隊情報保全隊の違法な情報収集活動
 審議されなかった問題点――22条 
 参考人意見でのターゲットは公明党と国民民主党
 官僚の人たちに一定の影響を与えることはできた
 法律は成立したが、継続的な監視を 

コラム 国会審議から見る土地規制法(山添 拓)

4 土地規制法の第一のターゲットは沖縄
 尖閣諸島の国有化も背景のひとつ
 沖縄は全域が区域指定可能
 基地被害防止のための市民監視活動が「調査」対象に
 基地「被害」側を潜在的な犯罪者とみる発想
 土地利用の調査にとどまらない
 「この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは」
 「その他の協力を求める」が市民運動の弾圧に用いられる可能性
 地方自治体が内閣総理大臣の下請けにされる可能性
 「中国脅威論」の高まりから「沖縄シフト」へ 
 自衛隊の存在意義のために利用された「中国脅威論」
 南西諸島への自衛隊配備と地元  
 だまし討ち的な建設予定地の決定  
 「民意」が確認されないまま進む石垣島への自衛隊配備
 土地の買い取り申し入れが可能に――23条 
 「土地収用法」は防衛にかかわる事業は収容の対象として認めていない 
 土地収用法の原則に対する尊重が求められる  
 「反戦地主」がターゲットに――附帯決議16 
 発動させない、改悪させない  
 「要請」という名の事実上の強制  
 首長の抵抗を市民が支えなくてはならない  
 首長選挙は大事
 政府に地元の声を無視させない 
 「安全保障のために」の絶対化は憲法上許されていない 

コラム 恣意的な運用 イエローラインで先取り(島袋貞治)

5 これからの市民運動――民主主義を強化するために
 野党議員との協働 
 メディアが問題点を伝えることは重要 
 SNSも駆使しながら、どう無関心層に届けるのかが課題 

コラム 沖縄の基地問題解決のために小金井で何ができたか(片山かおる)
コラム 自衛隊配備の進む石垣島から(宮良麻奈美)
   *
◎資料1 重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律
◎資料2 附帯決議 衆議院/参議院
◎資料3 廃止を求める意見書(沖縄県中頭郡北谷町議会)/即時廃止を求める意見書(沖縄県名護市議会)

著者プロフィール

馬奈木 厳太郎  (マナギ イズタロウ)  (著/文 | 編集

弁護士。1975年生まれ。福岡県出身。大学専任講師(憲法学)を経て現職。
福島原発事故の被害救済訴訟(生業訴訟)に携わるほか、演劇界や映画界の#MeTooやハラスメント問題などにも取り組む。ドキュメンタリー映画『大地を受け継ぐ』(井上淳一監督、2015年)の企画、『誰がために憲法はある』(井上淳一監督、2019年)の製作、『ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記』(平良いずみ監督、2020年)の製作協力、『わたしは分断を許さない』(堀潤監督、2020年)のプロデューサー、『Blue Island 憂鬱之島』(チャン・ジーウン監督、2022年)のプロデューサーを務めた。
著書に『<徹底検証>住民・市民を監視する土地規制法』(土地規制法を廃止にする全国自治体議員団との共著、かもがわ出版)など。

片山 かおる  (カタヤマ カオル)  (著/文

東京都小金井市市議。1966年長崎県生まれ、東京都出身。2009年小金井市議会議員に初当選、現在4期目。
Okinawa-Koganei(沖縄の基地問題を考える小金井の会)、いかそう!子どもの権利条例の会、「教育ってなんだろう?」こがねい連絡会、武蔵野はらっぱ祭り実行委員会、新型コロナ災害緊急アクション、日韓市民交流を進める希望連帯、市民自治をめざす三多摩議員ネット、福島原発震災情報センター、全国フェミニスト議員連盟などに所属。

島袋 貞治  (シマブクロ サダハル)  (著/文

琉球新報記者。1977年沖縄県那覇市生まれ。2001年琉球新報社入社。北部情報部長、社会部長、論説委員を経て、21年10月から編成グループ副グループ長。
著書に『奔流の彼方へ 戦後70年沖縄秘史』(琉球新報社)など。琉球新報・山陰中央新報合同企画『環りの海 竹島と尖閣 国境地域からの問い』(岩波書店)の取材班で2013年新聞協会賞。2011年から里親登録。一時保護など子どもの社会的養護などにも取り組む。

布施 祐仁  (フセ ユウジン)  (著/文

ジャーナリスト。1976年東京都生まれ。
著書に『経済的徴兵制』(集英社新書)、『日米密約 裁かれない米兵犯罪』(岩波書店)、『主権なき平和国家 地位協定の国際比較からみる日本の姿』(伊勢﨑賢治氏との共著、集英社クリエイティブ)など。『ルポ イチエフ 福島第一原発レベル7の現場』で平和・協同ジャーナリスト基金賞、JCJ賞を、『日報隠蔽 南スーダンで自衛隊は何を見たのか』(三浦英之氏との共著、集英社)で石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞を受賞。

宮良 麻奈美  (ミヤラ マナミ)  (著/文

石垣市住民投票を求める会・事務局。1992年生まれ。沖縄県石垣市出身。
石垣市平得大俣への陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票の実施を求め、2018年より活動を開始。

山添 拓  (ヤマゾエ タク)  (著/文

参議院議員(日本共産党)。弁護士。1984年京都府出身。2011年弁護士登録。2016年参議院議員初当選。
弁護士登録後、福島第一原発事故の被害救済に取り組む弁護団、過労死弁護団、首都圏青年ユニオン弁護団、国公労連賃下げ違憲訴訟弁護団などに加わる。自由法曹団、日本労働弁護団、青年法律家協会に所属。明日の自由を守る若手弁護士の会会員。

与那城 千恵美  (ヨナシロ チエミ)  (著/文

普天間第二小学校保護者。沖縄県宜野湾市出身。
2017年、長女の通っていた沖縄県宜野湾市の緑ヶ丘保育園に米軍ヘリの部品が落下した事故をきっかけに、保護者らとともに「チーム緑ヶ丘1207」を結成(現在は「#コドソラ」)。同保育園ほか普天間小学校、普天間第二小学校などの上空での米軍機飛行禁止を求め活動中。

上記内容は本書刊行時のものです。