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復興の文化空間学
ビッグデータと人道支援の時代
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2014年3月1日
- 書店発売日
- 2014年4月7日
- 登録日
- 2014年3月13日
- 最終更新日
- 2014年7月1日
紹介
スマトラ島沖地震・津波やベンクル地震を例に、現地をよく知る地域研究者が様々な情報を分析し、時に防災や人道支援の専門家と協力しながら地域の形を読み解いていく。災害に強い社会を構築するには被災後だけ、被災地だけに留まらない時・空間的に広い視野が必要である。キーワードは記憶と物語、合意形成。スマトラから日本社会のあり方を考える。
目次
口絵
「災害対応の地域研究」シリーズの刊行にあたって
関連地図(二〇〇四年以降のインドネシアにおける主な地震)
はじめに
復興をどう捉えるか―地球市民の一員として/国家と民族の現在―ネットワークで世界は救えるか/世界の災害対応に学ぶ―スマトラの事例から/人道支援とビッグデータ―東日本大震災に見る/本書のねらいと構成―地域のかたちを読み解く
第一部 情報と地域文化
第1章 災害情報を地図化する―スマトラ島沖地震・津波(二〇〇四年)
災害報道の空間学
1 緊急時の情報収集―グローバルに捉える
2 新聞の災害報道―個人の顔に迫る
3 情報の「トリアージ」―地域で区切る
4 災害情報の空間学
第2章 災害への関心を重ねる―スマトラ島沖地震・津波(二〇〇四年)・ニアス地震(二〇〇五年)
被災地の内と外
1 翻訳と仕分け―被害・救援情報の発信
2 地図と写真―外部社会の関心
3 天罰と商機―被災国内の関心
4 情報の波を読む
第3章 誰が「地元」を語る?―ジャワ地震(二〇〇六年)
コミュニティ・ペーパー
1 支援者を監視する―『地震の目撃者』
2 被災者に寄り添う―『災害被害者の声』
3 伝統文化を説く―『ジョグジャの守り』
4 「地元文化」を語る難しさ
第4章 「正しさ」が招く混乱―西ジャワ地震(二〇〇九年)
インターネット
1 二つの被災地―首都と後背地
2 高層ビルの狭間―避難と帰宅ラッシュ
3 机の下か屋外か―混線する防災知識
4 場所が決める「正しさ」
第二部 支援と格差、そして物語
第5章 米を捨てる人―ベンクル地震(二〇〇七年)
支援と階層格差
1 米を捨てる人、車を止める人
2 避難の二つの形―自宅前と集団避難
3 「海の民」と「丘の民」―浮かび上がる階層格差
4 よそ者が果たす役割
第6章 尾根筋に住む―西スマトラ地震(二〇〇九年)
災害に強い社会の構築
1 尾根筋に住む人々
2 水と衛生―家を守る
3 耐震建築―水を守る
4 決まりと運用―単年度主義・前例重視・流用禁止に囚われない
第7章 浪費と駆け引き―スマトラ島沖地震・津波(二〇〇四年)
記憶に残る支援
1 健康腹巻―浪費を楽しむ被災者
2 土壌改良の試み―記憶に残る支援
3 住宅再建―駆け引きする被災者
4 支援現場に物語を―住民参加型から住民納得型の支援へ
第三部 流動性と想像力
第8章 人道支援とビッグデータ―物語や意味を掬い取る
災害対応と物語
1 「受援力」をこえて―「外助」の功を生かすために
2 「地域の知」―ビッグデータから世界を読む
3 経験の共有―デジタル・アーカイブとデータベース
4 今こそ「災害対応の地域研究」を
第9章 そして日本―東日本大震災(二〇一一年)
文化空間の復興に向けて
1 ペットとケータイ―人道支援の戸惑い
2 言葉の力―震災をどう語るか
3 震災映画―異なるリアリティを架橋する
おわりに
防災スマトラ・モデル/「防災」から「bosai」へ―混沌の時代に光を探る/地域研究的想像力と創造的復興
補 論 災害・復興研究の系譜―地域研究の視点から
1 スマトラ島沖地震・津波と地域研究
2 災害対応を通じた社会の再編
3 情報共有とレジリエンス
参考文献
あとがき
索引
上記内容は本書刊行時のものです。