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通州事件 笠原 十九司(著/文) - 高文研
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通州事件 (ツウシュウジケン)

歴史・地理
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発行:高文研
四六判
縦195mm 横135mm 厚さ18mm
重さ 340g
360ページ
定価 3,000円+税
ISBN
978-4-87498-808-4   COPY
ISBN 13
9784874988084   COPY
ISBN 10h
4-87498-808-3   COPY
ISBN 10
4874988083   COPY
出版者記号
87498   COPY
Cコード
C0021  
0:一般 0:単行本 21:日本歴史
出版社在庫情報
不明
初版年月日
2022年9月9日
書店発売日
登録日
2022年5月9日
最終更新日
2022年6月30日
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書評掲載情報

2022-11-05 東京新聞/中日新聞  朝刊
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紹介

「通州事件」とは、北京郊外の盧溝橋で日中両軍が衝突(1937年7月7日)した22日後、北京から東へ20キロの都市・通州で、日本の傀儡政権・冀東防共自治政府保安隊が挙兵し、日本軍特務機関長以下の軍人・在留邦人(うち約半数が朝鮮人)が殺された事件である。
 
通州事件は日本軍の従属下にあった傀儡軍の保安隊が起こした虐殺事件であり、中国国民政府軍ではなかった。しかし当時の日本では中国軍による日本人居留民虐殺事件としてセンセーショナルに報道した。当時の新聞には、「戦慄! 通州反乱隊の残虐 突如全市に襲撃」「恨み深し! 通州暴虐の全貌 保安隊変じて鬼畜、罪なき同胞を虐殺」「悲痛の通州城! 邦人の鼻に針金とおして 鬼畜暴虐の限り」「世紀の残虐・ああ呪ひの通州 夫より迸る血の海に 鬼畜! 臨月の腹を蹴る」といった見出しが躍った。保安隊の残虐、残忍性を強調し、日本人居留民がいかに残酷な手段と方法で虐殺されたかを強調して、保安隊そして中国軍にたいする憎しみを喚起して、敵愾心、報復心、復讐心をき立てて、「暴戻なる(あらあらしくて道理にもとる)中国、中国人を懲らしめる」、当時の言葉でいえば「暴戻なる支那の膺懲」すなわち「暴支膺懲」のための正当、正義の戦争が「支那事変」(日中戦争)であると日本国民に思い込ませる意図をもっていたことにある。
 
現在でも、5カ月後の37年12月、日本軍が引き起こした南京大虐殺に影響を与えた事件として推測されているように、通州事件は官民挙げて日中戦争へ突き進んだ、大きな要因となった事件である。
 
本書は、その通州事件に至る「前史」「前夜」の歴史的背景、事件の全貌、そして、恩讐を乗り越え、反戦の思想にたどり着いた遺族の「戦後」をたどった貴重な記録である。

目次

序 章 通州事件の歴史背景
第1章 冀東保安隊はどのような軍隊だったのか
第2章 冀東防共自治政府と冀察政務委員会
第3章 中国国民の怒り、怨嗟の的になった冀東政権
第4章 華北における抗日戦争気運の盛り上がり
第5章 通州事件の発生と全貌

第Ⅱ部 憎しみの連鎖を絶つ──通州事件被害者姉妹の生き方

第1章 満州への移住と病院開設
第2章 通州事件に遭遇した鈴木家
第3章 〝戦争孤児〟になった姉妹
第4章 憎しみの連鎖を絶つ

おわりに──「通州事件」から何を学ぶのか

著者プロフィール

笠原 十九司  (カサハラトクシ)  (著/文

1944年群馬県生まれ。最終学歴:東京教育大学大学院修士課程 文学研究科東洋史学専攻 中退。学位:学術博士(東京大学)。職位:都留文科大学名誉教授。専門分野:中国近現代史、日中関係史、東アジア国際関係史。
主な著書:『南京事件』(岩波新書、1997年)、『日中全面戦争と海軍─パナイ号事件の真相』(青木書店、1997年)、『南京難民区の百日』(岩波現代文庫、2005年)、『日本軍の治安戦』(岩波書店、2010年)、『海軍の日中戦争─アジア太平洋戦争への自滅のシナリオ』(平凡社、2015年)、『日中戦争全史 上・下』(高文研、2017年)、『増補 南京事件論争史』(平凡社、2018年)、『憲法九条と幣原喜重郎』(大月書店、2020年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。