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杉浦明平 暗夜日記1941-45
戦時下の東京と渥美半島の日常
- 書店発売日
- 2015年7月5日
- 登録日
- 2015年8月13日
- 最終更新日
- 2015年8月13日
書評掲載情報
| 2015-09-20 |
毎日新聞
評者: 加藤陽子(東京大学教授・日本近代史) |
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紹介
危機的な今、
警鐘と予言、そして意外性に満ちた
戦後文学者の戦時下日記を初公開!
「公表を控えるように」という本人の遺書もあって、これまで公にならなかったばかりか家族でさえも読むことを禁じられていた戦後文学者の一人・杉浦明平の日記が、今回、特に戦時下の1941~45年の部分に限って、遺族の英断と特別な許可のうえで初めて公刊されたのがこの本。
そこには、後に杉浦が評論集『暗い夜の記念に』で表したあの時代の閉塞感が生々しく記されているが、と同時に意外にもそれとは相反するような恋と食と書物に明け暮れる杉浦が頻繁に登場する。
一見すると、その大きな隔たりに戸惑うかもしれないが、実はその何物――国家や権威はもちろん大勢や空気感さえ――にも囚われずに、ただ自分自身をのみ恃み、名前どおりに明るく平らかな「明平さん」の自由で破格なふるまいこそが、この戦争前夜とも呼べる閉塞感に覆われた危機的な現在を生きる私たちに、大きな勇気と希望と示唆を与えてくれるのではないかと思う。
また、「敗戦」などと口走ることはもちろん、そう思うことさえも許されない「一億総火の玉」真っ只中の戦時下に、杉浦は「敗戦後に一箇の東洋的ヒットラーが出現し、民を殺すことを……粛然として声なからしめるかもしれないのである。しかしてその可能性は、あらゆる民衆利益の擁護者を掃蕩することによって、今日本においては準備せられつつあるのだ」と驚くべき予見性を発揮し、「まことに陰惨苛烈なる運命が日本人の前には待っているといってよい。歴史を正しく成長させねばならぬ」(1944年1月19日の日記より)と、今日の日本の現況を見事に言ってのけている。
いわば「暗い夜」ともいえるあの時代に、それでも世の趨勢に抗して“非国民”的態度を明るく貫いた杉浦のこの日記は、現代においての優れた抵抗と警鐘の書にもなっている。
目次
まえがき 若杉美智子
日記の形体
活字化にあたっての原則
一九四一(昭和十六)年
一九四二(昭和十七)年
一九四三(昭和十八)年
一九四四(昭和十九)年
一九四五(昭和二十)年
解 説「暗い夜」の夢想から戦後の活躍の助走へ 鳥羽耕史
あとがき 若杉美智子
杉浦明平 略年譜
上記内容は本書刊行時のものです。
