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沖縄「戦争マラリア」―強制疎開死3600人の真相に迫る
- 初版年月日
- 2020年2月
- 書店発売日
- 2020年2月17日
- 登録日
- 2020年1月27日
- 最終更新日
- 2020年1月31日
紹介
日本で唯一の地上戦が起きた沖縄。
しかし戦闘のなかった八重山諸島で3600人もの住民が死んだ。
誰によって、なぜ、これほどの住民が死に至ったのか ?
映画『沖縄スパイ戦史』の共同監督が沖縄戦の最暗部に迫ったルポルタージュ。
そして、明らかになったのは、軍命による強制移住、
住民のためではなく、軍のための強制移住、
住民からは「マラリア有病地」と恐れられていた地への強制移住、
それが引き起こしたマラリアによる膨大な病死。
これが沖縄で「もうひとつの沖縄戦」と呼ばれてきた「戦争マラリア」だ。
10年にわたる長期取材で迫った、75年前の住民犠牲の実態。
それは地下水脈のごとく、今現在、私たちの足元へと続いていた…。
「戦争マラリア」の事実を多くの方に伝えるための大労作であると同時に、
ジャーナリストとしての誠実さ、気概が伝わる一冊、
そして、ジャーナリズムの社会的責務を考え合う一冊でもある。
推薦:金平茂紀、望月衣塑子、ジャン・ユンカーマン
本年度山本美香記念国際ジャーナリスト賞奨励賞受賞
目次
はじめに―もうひとつの沖縄戦
1章 住民3600人の死の真相を追って
(2009年夏~2010年夏・石垣島)
65年前の今日
地上戦なき島々の沖縄戦「戦争マラリア」との出合い
軍国少年 潮平正道さん
沖縄戦までのカウントダウン
移住開始
死者たちが眠る山
日本軍はマラリアの危険性を知っていた
政治的解決
慰謝事業で手に入れたものとは
戦争マラリアは本当に解決したのだろうか
2章 島で暮らしながら撮る
(2010年冬~2011年夏・波照間島)
さよなら、東京
「今日から家族として、苦楽を共にしましょう」
初めてのサトウキビ刈り
ベスマムニ
戦争マラリアが孝子おばあから奪ったもの
波照間の強制移住
「あんたには分からないよ」
謎の男・山下虎雄
慰霊の日
さよなら、波照間
3章 戦争マラリアはまだ終わっていない
(2017~2018年 東京、米国、波照間島、石垣島)
ドキュメンタリー映画『沖縄スパイ戦史』制作へ
沖縄戦参戦兵のロバートさん
浩おじいの死
山下の影を追う
最後の挺身隊員と死ぬための訓練
「波照間島民は犠牲になっても構わない」
監視下に置かれた住民たち
山下の肉声
三線とおばあの涙
最終章 なぜ今、戦争マラリアなのか
(2018年 与那国島、石垣島、米国)
日本最西端の自衛隊基地・与那国島
自衛隊誘致したけれど…
島民に秘密で弾薬庫配置
「自衛隊と心中する覚悟を」
在沖米軍の意味
米国による日本の再軍備化
「また戦争をするんかやぁ」
おわりに―みんなが生きてきた証を残す
上記内容は本書刊行時のものです。