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大伴家持 塩沢 一平(著) - 花鳥社
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大伴家持 (オオトモノヤカモチ) 都と越中でひらく歌学 (ミヤコトエッチュウデヒラクカガク)

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発行:花鳥社
A5判
276ページ
上製
定価 7,500 円+税   8,250 円(税込)
ISBN
978-4-86803-019-5   COPY
ISBN 13
9784868030195   COPY
ISBN 10h
4-86803-019-1   COPY
ISBN 10
4868030191   COPY
出版者記号
86803   COPY
Cコード
C3092  
3:専門 0:単行本 92:日本文学詩歌
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2025年2月28日
書店発売日
登録日
2025年2月4日
最終更新日
2025年3月7日
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紹介

家持の歌学はどのように形成されたのか。

大伴書持、池主や田辺福麻呂らとの交流過程で、家持の歌には歌学意識が強く反映されていく。
その様相を、題詞・本文・左注が織りなす世界から読み取り、新鮮な家持像を浮かび上がらせる。

目次

凡例
序章 本書の構成と概要
一 はじめに
二 本書の構成と概要

第一章 巻八の夏雑歌群
一 はじめに――特異な題詞
二 「石竹花歌」
三 「晩蝉歌」
四 微妙な暦日への感興
五 むすび

第二章 大伴書持と大伴家持との贈報歌群
一 はじめに
二 パラテクストが描き出す世界
三 パラテクスト「四月二日」に枠取られる世界
四 パラテクスト「霍公鳥を詠める歌二首」に枠取られる世界
五 書持「贈」歌の意味
六 家持「報送」が創り出す世界
七 家持の序文的題詞
八 欝結の緒を散らさまくのみ
九 むすび

第三章 安積皇子挽歌論
一 はじめに
二 安積皇子挽歌と石見相聞歌・高市皇子挽歌
三 安積皇子挽歌と日並皇子挽歌
四 安積皇子挽歌の構成
五 安積皇子挽歌と久邇京讃歌
六 むすび

第四章 二上山の賦
一 はじめに
二 「二上山の賦」への階梯
三 パラテクストとしての「賦」
四 パラテクストとしての「依興」
五 むすび

第五章 田辺福麻呂の越中家持訪問と福麻呂歌集の追補――家持歌と万葉集編纂にもたらした意味――
一 はじめに
二 福麻呂により届けられた資料
三 巻十九家持歌と福麻呂歌集
四 処女墓への追同歌
五 むすび

第六章 大伴家持が幻視したをとめ
一 はじめに――上代文学と妖怪・幽霊・怪異
二 「桃の花」と「堅香子の花」と「をとめ」
三 「娘子に贈れる歌」
四 井戸に立つ幻想の「をとめ」
五 むすび

第七章 家持が過ごした久邇京時代の催馬楽「沢田川」――「沢田川 袖つくばかり 浅けれど 恭仁の宮人 高橋わたす」――
一 はじめに
二 沢田川=泉川説
三 沢田川=泉川支流説
四 「いひなし」説
五 久邇京に架かる四つ目の橋
六 むすび――「袖つくばかり 浅けれど」

第八章 家持時代の「書かれる歌」と「詠唱される歌」との〈距離〉
一 はじめに
二 音読と黙読との関係
三 万葉官僚歌人達を取り巻く、歌・声が響く環境(1)「宣命」
四 万葉官僚歌人達を取り巻く、歌・声が響く環境(2)「宣」と「読 申公文」
五 「書かれる歌」そして「詠唱される歌」
六 むすび

補論 詠まれる歌・書かれる歌、そして読まれる歌――万葉集から考える――
一 はじめに
二 読まれる歌
三 書かれる歌
四 詠まれる歌
五 むすび

第九章 都が讃美される歌――「藤原宮役民作歌論」――
一 はじめに
二 巨勢道とは
三 知らぬ国 寄し巨勢道より
四 巨勢――序詞と被序詞
五 構造と主題
六 むすび

第十章 『万葉集』と東アジアの恋愛詩
一 はじめに
二 『詩経』と『万葉集』の冒頭「雑歌」
三 『文選』と『万葉集』「相聞」
四 『玉台新詠』と『万葉集』「相聞」長歌
五 むすび

終章 本書の成果と課題
一 はじめに
二 各章を振り返る


初出一覧
あとがき
事項・人名/万葉集歌番号索引

前書きなど

研究を進める中で、どうしても気になることがある。それは、家持らの歌が制作されるときにどのように「詠まれる歌」であったのか、また贈られた歌や資料としての歌がどのように「読まれる歌」であったのか、そして、編纂や贈歌としてどのように「書かれる歌」であったかということである。そのそれぞれのときに、歌は、声に出して詠まれたのであろうか。……ただ、この「詠まれる歌」「読まれる歌」「書かれる歌」については、峻別して議論が行き届いているとは、言えないように思われる。……本書の後半は、この三面を意識したものとなっている。――「序章 本書の構成と概要」

若き家持は、藤原広嗣の乱に端を発した聖武彷徨や久邇京遷都など、激動の歴史の中にあった。また、巻十七以降の末四巻では、宴席歌も多い。歴史やその場から完全に歌を切り離して、家持歌を考えることは、必ずしも有効とは言えないであろう。しかし第二章を中心に、なるべく『万葉集』というテクストに向かい合いながら、題詞が括る本文や左注が枠どる本文という、パラテクスト的要素を重要視し、『万葉集』(家持歌)が、語るものが何であるかを探ったつもりである。その集積の中からでも、浮かび上がってくる家持像というものがあるものと考えている。一三〇〇年前ではあるが、同じように和歌・文学に興味を持ち、その時代を生きていた家持を甦らせたい欲望は禁じ得ない。――「終章 本書の成果と課題」

著者プロフィール

塩沢 一平  (シオザワ イッペイ)  (

桜美林大学大学院国際学研究科修士課程修了。修士(大学アドミニストレーション)。
東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。博士(文学)。
現在、二松学舎大学教授。

著書『万葉歌人田辺福麻呂論』(笠間書院 2010年)。
共著に『『万葉集』と東アジア』(竹林舎 2017年)、『東アジアの知 文化研究の軌跡と展望』(新典社 2017年)、『興福寺に鳴り響いた音楽 教訓抄の世界』(思文閣出版 2021年)、『神話の源流をたどる 記紀神話と日向』(KADOKAWA 2022年)。

上記内容は本書刊行時のものです。