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増訂新版 正宗敦夫の世界 階上階下すべて書にして 吉崎 志保子(著) - 文学通信
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増訂新版 正宗敦夫の世界 階上階下すべて書にして (ゾウテイシンパンマサムネアツオノセカイカイジョウカイカスベテショニシテ)

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発行:文学通信
A5判
394ページ
上製
価格 4,800 円+税   5,280 円(税込)
ISBN
978-4-86766-126-0   COPY
ISBN 13
9784867661260   COPY
ISBN 10h
4-86766-126-0   COPY
ISBN 10
4867661260   COPY
出版者記号
86766   COPY
Cコード
C0095  
0:一般 0:単行本 95:日本文学、評論、随筆、その他
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2026年5月15日
書店発売日
登録日
2026年4月15日
最終更新日
2026年5月29日
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紹介

近代国文学研究の裾野はこうして広がり、高みに達した。その原点がわかる書。
学術史上の巨人、正宗敦夫(まさむねあつお。正宗白鳥の弟[1881~1958])の幻の伝記、復刊。

在野の学究・正宗敦夫は、地方で国史・国文に親しみ、作歌に励んだ。万葉集に惹かれひとりでこれを繙き『万葉集総索引』を完成させる。書物の閲覧の不便に抗い学問を続けるなか、文献資料の複製・影印・翻刻など出版も手がけ「日本古典全集」(全6期、266冊)を刊行する。果たしてどうやってこれだけの仕事を遺せたのだろうか。何のために取り組んだのだろうか。

本書から見えてくるのは、敦夫の利他の精神である。敦夫は自身の学問上の発見を世に問うこともなかった。

さまざまな理解者、森鷗外、井上通泰(みちやす)・柳田國男兄弟、与謝野寛(鉄幹)・晶子夫妻、山田孝雄(よしお)、齋藤茂吉と、錚錚たる人物のなかで、正宗敦夫は、果たして何を考えていたのか。

近代国文学研究の原点を見つめ直し、今に活かすために、必携の1冊。編集・増補修訂、小川剛生(慶應義塾大学文学部教授)。

本書は、正宗敦夫に私淑した著者が、同じく「利他の精神」で、私家版として1989年に刊行した伝記の、増訂新版である。

目次

はじめに

第一章 正宗家の人々

 一 生家の亀屋について
  四国多度津の岡田家との縁組
  優秀家系
 二 正宗雅敦・直胤の兄弟
  正宗雅敦の伝
  狂歌人による南陀羅像
  正宗直胤の伝
 三 正宗鹿野子をめぐって
  かの子御落胤説
  歌人鹿野子と奉納三十六歌仙
  正宗雅広の離縁

第二章 歌学者への歩み

 一 生い立ち
  父の言葉のままに
  井上通泰との出会い
  「吉備歌人伝資料」より
 二 井上通泰をめぐって
  井上通泰と岡山
  歌人井上通泰
  松浦辰男に入門
  松浦辰男の歌論
  松波遊山に会う

第三章「くいなのおとずれ」にみる青年期

 一 独学の日々
  「くいなのおとずれ」と小野節
  木下幸文日記・萩原広道消息・
  図書館一件(書簡1)
  井上通泰岡山を去る(書簡2)
  くいなのやと号す(書簡3)
  古今集新釈及び広道消息の悪口
  熊沢蕃山のうきことの歌
  井上大人よりの手紙(書簡6)
  水鶏廼舎漫筆(書簡7)
  岡山の同世代の新派歌人
 二 池袋清風と『かゝしのや集』7
  敦夫の師池袋清風
  山陽新報の池袋清風伝
  歌集『かゝしのや集』の編纂(書簡8)
  鎌田正夫の怒り(書簡9~11)
  『かゝしのや集』の刊行(書簡12・13)
  池袋清風の歌
 三 書物への傾斜
  謄写印刷による頒珍会
  『清園後草』その他(書簡14)
  頒珍会の歌文叢書
  二四歳の春(書簡18)
  児童図書閲覧所
  西薇山の自刃(書簡21)
  敦夫の縁談(書簡23)
 四 日露戦争の頃
  正宗得三郎の出征(書簡22~30)
  木下幸文について(書簡31)
  敦夫の幸文研究
  明治三十八年の春(書簡32~35)
  敦夫の「桂園一枝註釈」(書簡36・37)
  通泰校閲を断る(書簡41)

第四章 歌学雑誌『国歌』

 一 出版事業の計画
  印刷機械の購入と歌文叢書(書簡38・39)
  『扶桑』と『たづぞの』
  敦夫の出版業
  『国歌』の発刊計画(書簡40・42)
  菅沼斐雄について
  『菅沼斐雄家集』
 二 『国歌』の創刊
  創刊号について
  鎌田正夫の反応(書簡44)
  井上通泰の立腹(書簡46)
  フケば飛ぶような叙景歌
  西山拙斎翁詩鈔略見積書(書簡47~49)
 三 『国歌』をめぐって
  井上通泰の小野節宛て書簡
  雑誌継続上の困難(書簡51)
  源語歌註のもつれ(書簡52)
  常磐会と『国歌』第十六号の目次
  松浦辰男と会う(書簡53)
  「くいなのおとずれ」終わる(書簡54)
 四 『国歌』の終刊
  『国歌』誌上の左千夫と千樫
  伊藤左千夫と『国歌』
  古泉千樫と『国歌』
  左千夫・千樫と敦夫との出会い
  『国歌』終刊と歌文珍書保存会

第五章 国文学者としての展開

 一 壮年期のみのり
  『万葉集新考』と『伊呂波字類抄』の出版
  歌集『鶏肋』
  『万葉集総索引』
  森鷗外と敦夫
 二 与謝野寛、晶子と敦夫
  与謝野寛との出会い
  日本古典全集の刊行
  与謝野夫妻の岡山来遊
 三 正宗文庫
  財団法人正宗文庫の設立

第六章 晩年について

 一 戦時体制の下で
  『蕃山全集』刊行と井上通泰の死
  歌集から見た戦中戦後
 二 老碩学として
  大学教授となる

正宗敦夫逝く


補注

(付)
正宗白鳥の少年時代とキリスト教
正宗敦夫著作目録(編纂・解題・刊行書を含む)
正宗敦夫略年譜

おわりに

書評(工藤進思郎)
解説(小川 剛生)

索引【原則として本文中の主要な人名・書名・作品名、一部の結社名を立項した(書名・叢書名は引用文中からも採った)。備前・備中に関する事項を優先して採用した】

著者プロフィール

吉崎 志保子  (ヨシザキ シホコ)  (

出身、東京都台東区。1927年生、2001年没。
著書に、歌集『しるびやしじみ』・『サフランの蘂』・『写真集 備前』(吉崎一弘と共著)、『幕末女流歌人の研究』・『歌人小野節の略伝』。論文に「備前社軍隊」・「明治三十年代の岡山の文芸雜誌」など。郷土史研究優秀賞(新人物往来社)1979、岡山県文化奨励賞(学術部門)1984、岡山出版文化賞(日本文教出版社)1987、両備檉園記念財団学術文化教育部門賞1988。
所属、樹木社(短歌)会員・現代歌人協会会員、岡山地方史研究会会員・地方史研究協議会会員。

小川 剛生  (オガワ タケオ)  (編集・増補修訂

1971年、東京都生まれ。1997年、慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程中退。熊本大学、国文学研究資料館を経て、現在、慶應義塾大学文学部教授。
【主要編著書】『正宗敦夫文集 ふぐらにこもりて』(東洋文庫 916,928、2024,25年)、『中世和歌史の研究 撰歌と歌人社会』(塙書房、2017年)、『兼好法師』(中公新書、中央公論新社、2017年)、『二条良基』(人物叢書、吉川弘文館、2020年)など。

上記内容は本書刊行時のものです。