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「お静かに!」の文化史 今村 信隆(著) - 文学通信
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「お静かに!」の文化史 (オシズカニノブンカシ) ミュージアムの声と沈黙をめぐって (ミュージアムノコエトチンモクヲメグッテ)

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発行:文学通信
四六判
304ページ
並製
価格 1,900円+税
ISBN
978-4-86766-070-6   COPY
ISBN 13
9784867660706   COPY
ISBN 10h
4-86766-070-1   COPY
ISBN 10
4867660701   COPY
出版者記号
86766   COPY
Cコード
C0070  
0:一般 0:単行本 70:芸術総記
出版社在庫情報
在庫あり
初版年月日
2024年11月20日
書店発売日
登録日
2024年10月21日
最終更新日
2024年12月4日
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紹介

芸術と出会う場所、美術館。
その鑑賞はどのような環境で行われるのが望ましいのだろうか。
「お静かに!」と言わざるを得ない環境に関わるすべての方に。

作品にじっくりと向き合い、それを味わったり理解したりするための〈沈黙〉か〈静粛〉か。
それとも〈語らい〉や〈対話〉のある空間か。
作品の鑑賞にとっては、どちらが、より好ましいだろうか。
あるいは、どちらがより「正しい」のだろうか。

本書は、美術作品の鑑賞という営みと、「声」や「会話」との関係について考えます。「お静かに!」の背後にひろがる諸問題についてです。

〈沈黙〉や〈静粛〉か。〈語らい〉や〈対話〉か。
対立させて考えるのではなく、両者に真摯に向き合い、人間にとっての根源的な欲求である美術鑑賞、その空間を考えます。

美術館だけではなく、図書館、劇場、コンサートホールなど、公共性のはざまで揺れながら考える人に。ぜひお読みいただきたい本です。

【熟視し、黙想し、芸術作品の深みへと沈潜していくこと。
 対話し、ときには笑い合い、隣にいる人たちとのコミュニケーションを含めて作品を楽しむこと。
 人は、その両方を求めてきたし、今日も求めているのではないか。芸術作品はこれまでその両方の求めに応じてきたし、現在も、そして未来も、応じ続けていく力を備えているのではないか。だからこそわたしたちは、二つの営みのどちらにも、真摯に目を注いでみる必要があるのではないだろうか。】……「はじめに」より

目次

はじめに

凡例

1 美術館という場から考える

芸術と出会う場所/「お静かに」の要請/沈黙と語らいの愉しみ/公共空間としてのミュージアム/消費空間としてのミュージアム

2 雑音と権力

声と音/音読と黙読/図書館と黙読/マナーではなくルールとして/私語の問題/コンサートホールと劇場/「観客」としてのアイデンティティ/雑音と権力/広場と街路

3 会話と雑談

会話の許容度/雑談とは何か/ミュージアムでの正談と雑談/場違いな会話/書きことばの権威/価値の判定者

4 「公共性」を考える

「公共性」の3つの意味/公共性のはざまで/ハーバーマスの公共性/テンプルとフォーラム/賑やかな図書館のイメージ

5 鑑賞と美術

沈黙・静粛の側から/沈黙の求め/館種と声/「美術館」と「博物館」/鑑賞の孤独/「一緒に訪れ、独りで観る」/美術作品という問い/感覚のノズルの細くする/まなざしをデザインする/美を求める心

6 沈黙と静粛に関するケーススタディ

「静坐潜心シテ之ヲ熟視セバ」/「その一言一句も聞き漏らすまいと、息を殺して待っていなければならない」/「甚だしく淋しくなければならぬもの」/「心の奥でしめやかに静かにとめどもなく涙が流れる」/「我々は沈黙する以外にないのだ」

7 声と語らいの価値

誰かのとなりで/『対話型鑑賞のこれまでとこれから』/視覚に障害がある人とない人の対話/対話の力/二重のよろこび 一七世紀フランスの事例から/他者との共感/社会的接着剤としての美的経験/美的共同体を推進する/人びとをへだてている障壁を突き破る

おわりに

著者プロフィール

今村 信隆  (イマムラ ノブタカ)  (

1977年、北海道生まれ。
北海道大学大学院文学研究院准教授。放送大学客員准教授。北海道大学文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。
民間のバス会社で働いた後、札幌芸術の森美術館に勤務。その後、京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)専任講師、同准教授、甲南女子大学准教授等を経て、現職。北海道大学プラス・ミュージアム・プログラム代表(2022~2024年度)。単著に『一七世紀フランスの絵画理論と絵画談義』(北海道大学出版会、2021年)、編著に『博物館の歴史・理論・実践1~3』(藝術学舎、2017~2018年)、共編著に今村信隆・佐々木亨編『学芸員がミュージアムを変える! 公共文化施設の地域力』(水曜社、2021年)、佐々木亨・今村信隆編『改訂新版 博物館経営論』(放送大学、2023年)、共著に『開講! 木彫り熊概論‐歴史と文化を旅する』(文学通信、2024年)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。