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REKIHAKU 特集・歴史をつなぐ
- 出版社在庫情報
- 在庫あり
- 初版年月日
- 2023年10月27日
- 書店発売日
- 2023年10月27日
- 登録日
- 2023年9月26日
- 最終更新日
- 2023年10月27日
紹介
過去を振り返るために、人びとは様々な媒体を手がかりとし、資料を通して歴史をつないでいる。
単にモノを残すだけでなく、資料を媒介して人や地域相互が対話を重ね、社会のなかで歴史をつなぐための模索が多方面で行われているが、果たしてそれはどういう営みなのだろうか。その実践や理念から未来を見通す手がかりを考える。
地域歴史資料概論から、多くの事例の紹介まで。さらには、近年の歴史資料保存活動を主導してきた久留島浩、奥村弘両氏のインタビューまで。過去を伝える資料を、未来につなぐことの意味をトータルに考え尽くす。
特集執筆は、奥村弘/久留島浩/天野真志/三村昌司/植松暁彦/安岡健一/相宗大督/田口かおり/中尾真梨子。
特集以外の記事も、好評連載・鷹取ゆう「ようこそ! サクラ歴史民俗博物館」、石出奈々子のれきはく!探検ほか、盛りだくさんで歴史と文化への好奇心をひらいていきます。
歴史や文化に興味のある人はもちろん、そうではなかった人にもささる本。それが『REKIHAKU』です。年3回刊行!
目次
特集・歴史をつなぐ
特集鼎談
歴史をとりまく過去・現在・未来
(奥村弘・久留島浩・聞き手:天野真志)
【歴史研究を通して地域社会のあり方を見直そうとしていた二人の研究者は、阪神・淡路大震災を経て、研究者は地域の歴史を本当に伝えてきたかと問い直すことになり、地域の歴史文化のあり方について実践的に考えるようになる。現代の問題として歴史をどう考えるか、お二人にその足跡とともに聞いてみる。】
1 歴史資料を未来につなぐ
地域歴史資料概論──なぜ今に伝わり、これからどう残すのか
(三村昌司)
2 思い出す出来事●COLUMN
考古学からみた東日本大震災の文化財レスキュー
(植松暁彦)
3 人の語りをどう残すのか
オーラルヒストリー──その歩みと可能性について
(安岡健一)
4 昔の街の様子を知りたい●COLUMN
思い出を集めて分かち合う「思い出のこし」
──大阪市立図書館のプロジェクト
(相宗大督)
5 保存修復の目的とはなにか
作品の「時間 tempo」をめぐって──近現代イタリア保存修復学の挑戦
(田口かおり)
6 文化財のお医者さん●COLUMN
文化財を読み解き、未来へ伝える科学の力
──文化財保存科学と水損紙資料
(中尾真梨子)
特集をもっと詳しく知りたい人へ
おすすめの4冊
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たかが歴史 されど歴史
「もの」をみて「ひと」をしる
(上野祥史)
博物館マンガ 第9回
ようこそ! サクラ歴史民俗博物館
資料が博物館にやってくる!
(鷹取ゆう)
石出奈々子のれきはく!探検 第9回
山地直産・しごとプライド
(石出奈々子)
フィールド紀行
移住持込資料を守り、伝える
北海道開拓移住の記憶と記録
第3回(完)●分散する記録を再構築・共有する
(工藤航平)
誌上博物館 歴博のイッピン
最古の王墓
三種の神器をもつ渡来系弥生人
(藤尾慎一郎)
歴史研究フロントライン
歴史文化を次世代へ伝えるネットワーク
(天野真志)
EXHIBITION 歴博への招待状
企画展示 「陰陽師とは何者か―うらない、まじない、こよみをつくる―」
(小池淳一)
SPOTLIGHT 若手研究者たちの挑戦
これは「被害者意識」なのか? アニメから戦争記憶を考える
(アルト・ヨアヒム)
歴史デジタルアーカイブ事始め 第8回
デジタル版『渋沢栄一伝記資料』
(橋本雄太)
くらしの植物苑歳時記
特別企画「伝統の古典菊」
「冬の華・サザンカ」のご案内
博物館のある街
東京都多摩地域 帝京大学総合博物館
─古代と現代の歴史、そして地域と大学をつなぐ博物館
(甲田篤郎・堀越峰之)
くらしの由来記
木綿―世界の繊維革命―
(松尾恒一)
研究のひとしずく
科学の目でみる歴史資料
第2回●錦絵の色の分析
(小瀬戸恵美)
Kaleidoscope of History
The Exquisite Products of
the Namiki Seisakusho (now PILOT)
The History and Beauty of Maki-e Fountain Pens
(小池淳一)
歴博友の会 会員募集
英文目次
前書きなど
特集趣意文
「されど歴史」を掲げてスタートした『REKIHAKU』も、本号で10冊目を数える。これまで本誌では、交流や疫病、ファッション、匂いなど、歴史のなかから現在を見つめなおすテーマを取りあげた。また、人工知能や太陽フレアといった最新研究、日記やアートを通した歴史文化の捉え直しなど、歴史をとりまく最前線も紹介してきた。刻々と変化する社会状況のなか、過去の事象を多様な角度から考えることは、これまでの特集に共通する視点であった。
過去への眼差しに関連して、新型コロナウイルスの感染拡大直後より、各地で過去の感染症流行の事象を探る動きが活発化した。アルベール・カミュ著『ペスト』など、感染症を取り扱った過去の小説が読み直され、さらに疫病封じの妖怪としてアマビエが注目されるなど、同様の境遇に置かれた過去に対し、人びとは大きな関心を寄せていた。
過去を振り返るために、人びとは様々な媒体を手がかりとする。古文書などの記録物や地域に伝わる道具や建造物など、形ある姿で伝えられるものもあれば、過去を知る人の記憶として残され、世代を超えて語りつがれる言い伝えなども手がかりとなる。これらは「資料」と呼ばれ、私たちが過去を理解するための基礎情報として認知されるが、自然災害や戦争などの変動によって、その存立は常に脅かされている。一方で、人びとの生活様式が変化するなかで価値観は多様化し、過去との向き合い方やそれらを伝える資料も多岐にわたっている。これらの存在が社会のなかで資料として共有される過程で、その存在を見出し、保存や継承を担う人びとの取り組みを看過することはできない。特に近年では、自然災害が多発するなか、地域社会に残された多様な資料を救い出す取り組みも深化している。
めまぐるしく変化する社会のなかで、私たちは歴史を構成する多様な側面に注目して資料を見出し、現在、さらには未来へつなぐ営みを続けている。そこでは、単にモノを残すだけでなく、資料を媒介して人や地域相互が対話を重ね、社会のなかで歴史をつなぐための模索が多方面で行われている。過去を伝える資料をつなぐことは、単にモノを未来に伝えるだけではない。資料を保存し継承する一連の活動に注目すると、資料と向きあうことから形成される歴史認識や、歴史を通して現在・未来を見つめる人びとの眼差しを垣間見ることができる。資料を通して歴史をつなぐ実践や理念から未来を見通す手がかりを考えてみたい。 (天野真志)
上記内容は本書刊行時のものです。
